モチベーションは楽しさ創造から

自分自身のモチベーションアップ、仕事を楽しくする方法から、部下・上司・顧客のモチベーションアップのヒントとなるノウハウ、コラムをまとめたブログです

成功しないと、仕事や人生は楽しくないのか?


成功した人、自分が好きな仕事につけた人だけが、仕事や人生を楽しめるのか?
そう考えると、仕事や人生を楽しめる人、幸福になれる人は一部の人だけになってしまう。
我々は、「楽しさ」を求めている。しかし「どんな条件になれば我々は楽しさを感じるのか?」といった事は真剣に考えるキッカケがない。そこで仕事を楽しくする為の心理学、フロー理論をご紹介したい。代表的な書籍では、「フロー体験 喜びの現象学」という本がある。

フロー体験 喜びの現象学 (SEKAISHISO SEMINAR)

フロー体験 喜びの現象学 (SEKAISHISO SEMINAR)

私が、楽しさ創造を考えるキッカケになった理論だ。フロー理論はアメリカの心理学者のチクセントミハイという心理学者が提唱した心理学で、彼は人間の楽しさとは何かを研究している。その理論は、「退屈で無意味な生活を楽しさに変えていく」ための心理学をまとめたものだ。今回は、そのベースとなる考え方をご紹介する。


1.成功しなければ幸福ではないのか?
幸福を求めていない人は、あまりいないと思う。しかし、思春期以降、あまり幸福という事を考える機会が我々は少なくなった。同意語として、成功であるとか、夢とかいう言葉をよく使う。それでは成功とか、夢が実現できれば幸福なのか?
私も、「年収1億を実現してセミリタイアで仕事ができたらいいなぁ」とか「めちゃワク研修を全国に広げて、日本の全ての人々が、ワクワクしながら仕事ができるお手伝いができたらいいなぁ」とかいう夢がある。
みなさんにも、これくらいお金が欲しい、こんなものが買いたい、こんな所に旅行に行きたい、こんな家に住みたい等々、いろんな成功イメージ、夢、目標があるでしょう。しかし、これが実現できれば幸福なのだろうか?よく、成功哲学について書かれた本がある。それに書かれてある事を実現して、夢が実現すればホントに幸福なのか?

2.成功者の不満
チクセントミハイは、言います。「恐らく、その夢が達成できたら、また新たな夢がでてくる」と。つまり、永遠に幸福はこないという事です。また、成功への欲求イメージが強ければ強いほど、現状に対する欲求不満も強くなり、不幸感が高まります。(誤解されると困るが、夢や目標を持つのが危険であるとか、無意味だと言っているのではない。)

3.成功した人以外は幸福になれないのか?
現実は厳しい。夢や目標がかなう人はほんの一握り。どんなに一生懸命に努力しても夢や目標をかなえることができない人の方が多い。幸福を追求していても、地震や台風等の災害や交通事故等の不慮の事件に出会ってしまい、夢をあきらめなければいけなくなった人も世の中にはたくさんいます。都合のいいことはなかなか起きず、逆に都合の悪いことが次から次に起こってくるのが現実だ。

夢や目標をかなえることができない人は不幸なのか?それだったら、ほとんどの人は不幸になるのではないか?
不慮の交通事故に出会って、下半身麻痺になってしまい、ほとんど何もない状況でも幸せと感じて暮らしている人はたくさんいます。アフリカの方に行くと、日本では考えられない貧困の中で、楽しく幸福にくらしている人々がたくさんいます。彼らは夢の実現に幸福を求めているのではなく、日々の活動の中に幸福を求めている。

4.夢や目標の達成は、楽しさの副産物
フロー理論では、夢や目標の達成は、副産物でしかないと考えている。
日々の楽しさの活動の副産物が夢の実現、成功の実現であると。

お金や物の獲得だけを成功の基準として頑張っていっても、それを手に入れる人はわずかです。達成した瞬間しか幸せを感じません。成功だけを目的とすれば、その為の日々の仕事は、目標や夢達成の為の苦役となってしまいその活動や努力も長続きしません。多くの人は、努力が長続きしないから夢は夢で終わってしまうのです。人間、苦痛を続けるのは難しい。だから根本の考え方を変えようという事!


日々を目の前の活動を徹底的に楽しむ。楽しんだからが故に成果もでる。成果の副産物として成功があるという考え方。目標未達、夢の未達の状況があっても不幸ではない。それに向かっての活動そのものが幸福であるという考え方だ。

成功を強く願えば願うほど、成功しなかった際の失望イメージも強くなり、それにさいなまれていく。失敗したらどうしようというマイナスな気持ち。夢や目標は持つ必要がある。しかし、その副作用もあるのだ。絶対に達成しようというような思いこみが強ければ強いほど、夢に向かっている日々の活動に楽しさを感じる事ができなくなってしまうという事。夢を持つ際は、「成功するのは間違いない話」なんだから、「なったらいいな!」くらいのココロの余裕が必要となる。

仕事で言えば、仕事を徹底的に楽しむ事という事。目の前の仕事に没頭する事。そうすれば、必ず成果はついてくる。仕事を楽しむ事ができた人にお金はついてくる。夢は実現できるという考え方だ。こう考えると、お金を追求して仕事をしていくより、簡単な話になってくる。その為には、楽しさの心理学を知り、実践できなければいけないのだとチクセントミハイ博士は主張しているのである。

「仕事を楽しむ」事を考える、キッカケになる考え方ではないだろうか?

5.フロー理論の背景のまとめ

  1. 幸福を求めていない人間はいない。幸福と快楽は違う。単純に金や女、美味しい食べ物、ブランド品等の欲望が満たされても快楽が手に入っただけで、それが幸福にはならない。(大金持ちの幸福感の研究結果より)
  2. 幸福になるには、欲望を否定するワケではないが、欲望を満たすことに頼らずに、生きていく活動の中に楽しさを見つけていく必要がある。
  3. 時の流れも感じず、自分という存在すら忘れてその活動に没頭している状況になると人は楽しいと感じる=これをフロー状態という
  4. このフロー状態を、人は趣味の世界、仕事の世界等、様々な活動の中で感じることができている
  5. どんな活動を行っている中でもフローを作り出す事=楽しさを作り出すことは可能である