なぜ、あなたの問題は解決しないのか?問題はパズル型か?ミステリー
マルコム・グラッドウェルの「失敗の技術」という本。(講談社様、ありがとうございました!)
とっても面白かったので、ご紹介。
マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選2 失敗の技術 人生が思惑通りにいかない理由 (マルコム・グラッドウェルTHE NEW YORKER傑作選)
- 作者: マルコム・グラッドウェル,勝間和代
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/08/06
- メディア: 単行本
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エッセイとして、失敗について語ってグラッドウェルが語っています。
その中で、特に私が考えさせられた事を、ご紹介。
それは、「パズルとミステリーの違い」という話。
私達は、解決すべき様々な問題に囲まれています。
ビジネスで言えば
- 現状を打破する新商品はどのようなコンセプトで作っていくか?
- 経営戦略ビジョンをどのようにするのか?
- 大手クライアントをクロージングするには、どんなプレゼンをすべきなのか?
- 部下達をモチベーションUPする為にどうすればよいか?
- 等々
そのような問題に私達は出会ったとき、過去から最近まで、パズル型の解決法をとっていました。「問題というパズルを解決する為にはピース」が欠けており、ピース探し、ピース作りを行うということです。問題解決のため
- 必要な情報が欠けているのではないか?もっと情報収集していけば、きっとピースが見つかり問題解決出来るはず!
- 必要なノウハウが欠けているのではないか?もっと本を読んでノウハウを学習すれば、きっとピースが見つかり問題解決出来るはず!
- 必要な人材が欠けているのではないか?優れた力のある人材を採用すれば、問題解決の為の残りのピースになってくれるハズ!
等、「問題解決の為のピース」探しに、時間を費やしています。しかし、それでホントに問題解決できるのか?と言えば、それは「幸せな青い鳥」探しなのかもしれません。逆に、情報が集まれば集まるほど、物事が悪くなるケースも、現在では増えている。情報開示や、情報オープン化が進めば進むほど、よりよい方向に向かうという常識がありますが、それはホントか?という事にブラックウェルは疑問を投げかけています。
それは、問題には「ミステリー型の問題」というものがあるから。ミステリー小説には「全ての情報」がそろっています。現場にそろっている情報を整理していきながら、解決を図っていくのがミステリー。ミステリー型の問題は、情報がたくさんあればある程、複雑になり、問題解決が難しくなってきます。(この本では、エンロン問題を取り上げられています。エンロンは情報を隠して詐欺を働いていたのではなく、たくさんの情報はオープンになっていたのだが、それが多すぎるために整理することができずに、騙された人が多かったというのです。)
今、インターネットがこれだけ普及しており、情報公開もあらゆる所でなされるようになってきました。確かに、情報がカンタンに揃い、資産が揃い、それが故に解決できない問題が増えてきたようにも思えます。情報過剰等の「過剰」が邪魔して、問題解決のネックになっているケースです。
今、たくさんの情報や資産が溢れすぎ、本質が分からなくなり、「大事な事」が見失われている人も数多くいるようにに思えます。ブラックウェルは、この「過剰」による問題の解決がムズカシイというのです。
私達の身の回りでもそのような人をよく見ます。例えば、学習オタクのような人。速読なんかも学び、一日一冊は本を読んでいる人がいます。そのような人の中には「たくさんの情報が入ってくる為に、本質的に、今抱えている問題を解決すべき為に、何が大切なのか?」が見えない人達もいます。ホントは解決に必要なノウハウ、考え方は既に学んでいるのに、新しい情報が次から次に入ってくる為に、その整理ができずに、結局は解決できないままでいる。
パズル型問題とミステリー型問題を整理すると
パズル型情報不足が原因。情報収集が大事になる。情報が集まれば集まる程、パズル解決は易しくなる。ビンラディンの行方。
ミステリー型情報過剰が原因。情報整理が大事になる。情報が集まれば集まる程、パズル解決は難しくなる。情報量が多すぎると、誰も理解ができなくなる
私達は、人類史上今まで「情報・資産」等が不足している中で生きてきました。パズルのピース不足の中で、どうピースを探すのかというパラダイムの中で生きてきました。しかし現代は、かって人類が享受したことがない豊かさと情報がすぐに入ると時代です。
そうなると、直面する問題は、何もせずとも、もう既にピースはカンタンに揃っているという場合さえある。
現実の問題は、「ズバリのパズルのピース」は存在しません。自分で、若干のカスタマイズが必要になる。「ミステリーの探偵が状況証拠をもとに推理していくように、情報の分析・加工」が必要になる。それを面倒くさく考え、そのものズバリの解決策というピースを求め続け、解決できないまま時間を浪費しているケースが多々ある。ピースを探しをしても、解決できない問題は、実はパズル型の問題ではなく、ミステリー型の問題というケースが、現代は増えているとブラックウェルは指摘しています。情報収集力に価値があった時代から、情報解析力、行間を読む力こそ価値がある時代への転換なのでしょう。
パズル型思考を続けてもなかなか問題が解決しない時は、その問題は、実はミステリー型問題かもしれせん。
その時は、パズル型パラダイムから、ミステリー型パラダイムへ思考転換が大事なのではないでしょうか?
今、あなたの抱えている問題は、パズル型?それともミステリー型?その見極めが大切ですね。