モチベーションは楽しさ創造から

自分自身のモチベーションアップ、仕事を楽しくする方法から、部下・上司・顧客のモチベーションアップのヒントとなるノウハウ、コラムをまとめたブログです

職人気質の悲劇

私達は、いろんな作り手の立場になります。商品開発はもちろん、販売促進策を作ったり、ブログを書いたり、何かの発表を行ったり。作り手の立場に立った時、私達は、作り手の際、「全く新しいモノ」「今までにないモノ」を作って、驚かせてやろう!既存のモノと同じようなモノを作っても価値がないと思いがちになります。真面目な物作りをしている人ほど、職人気質が強い人ほど、このような状態に陥ります。





作り手の立場の時は、ライバル等の何かを少しパクッているようなヒットしているものを見たら、軽蔑したりもします。「こいつ、なんかアイデアに乏しいなぁ」等と。消費者の立場の際でも、作り手側の感覚に近いオタクっぽい消費者になると同じような感覚になります。私も音楽オタクなんで、ヒットしている曲を聴いたとき、「○○をヒントにこの曲を作ったんだな」などという背景が見える曲を聴くと、いい曲だななんて思いながらも、「○○のパクリじゃん」等とバカにしたりする時もあります。





しかし、この作り手の「今までにないモノ、全く新しいモノ」を作ってやろうという気持ちは、顧客ニーズとマッチしているのか?と言えば、悲しいかなそうではありません。





以前、ラジオのキラキラだったと思うが、「人は知っているものを、見たがったり、聞きたかったりする」という話がありました。

例えば、オルセーの美術展に行く。そうすると、有名な、既にTVや本、複製品をどこかで見たモノに人だかりができる。私も、8月が頭に行ってきたのですが、やはり、「知っている作品」の前に立っている時間と、あまり知らない作品の前に立っている時間の比率は8対2くらいの割合だったと思います。





これってコンサートとかでも同じで、やっぱり「知っている曲」が盛り上がり、そのミュージシャンが新しく作った新曲なんかを演奏すると盛り上がりに欠けたりします。ホントは、その新曲はコンサートに行った人だけしか聞けない貴重な曲なんだから、そっちの方が有り難いと思うんだけど、実際はヒット曲を演奏してくれたほうが盛り上がる。



もう知っているのだから、わざわざ美術館(コンサート)に行ってまで見る必要がないといえば、それまでなんですが、「実物を見たい」という気持ちなんですよね。もう少し「実物を見たい」という気持ちを詳細に分析すれば、「本物をいろんな角度から見てみたい」とか「本物の微妙な色彩感覚を感じたい」とかいう気持ち。





そう思うと、人の心を動かすモチベーションの原理原則も見えてきます。

人は全く新しいモノ、全く見たことのないようなモノは、よほど革新的に衝撃を与えるようなモノ、素晴らしいモノでなければなかなか受け入れない。(そのようなモノをそんなにできない)

人が普通に求めているモノは「既に知っているモノ・持っているモノ」と、ちょっとだけ違った角度から味付けがしてあるモノを求めているのだ」という事。





プロの作り手としては、顧客側のこの心理を十分に理解した上で、物作りを行っていく必要があるのでしょう。

顧客が知っているモノのまんまだと反応がない。また、全く知らないものでも反応がない。

顧客が知っているモノに、ちょっとだけオリジナルの角度から味付けをしてあげる。それが顧客が求めているもの。そう考えると、気も楽になるものです。