モチベーションは楽しさ創造から

自分自身のモチベーションアップ、仕事を楽しくする方法から、部下・上司・顧客のモチベーションアップのヒントとなるノウハウ、コラムをまとめたブログです

あなたの会社の課長はどう?成長する会社の課長の役割十箇条

ちょうど、これから管理職への研修の仕事が入っているので、、酒井穣さんが書かれた「はじめての課長の教科書」を読みました。課長の役割、それに必要となるスキル、巻き込まれる問題、課長が考えるべきキャリアプランといった事が一冊にまとめてある本。

はじめての課長の教科書

はじめての課長の教科書

初めて、課長さんになる人、管理職になる人には参考になるのではないでしょうか?





特に、私が参考になったのは「課長の役割」という部分。みなさんの会社にも職務記述書には、「課長の役割」が書いてあると思うのですが、それを見るだけではなんだか分からない課長の役割。案外それがまとめてあるものが実はあまりありません。



以下は、「はじめての課長の教科書」を読んで、私なりにまとめた「課長の役割 10箇条」です。ご興味を持たれた人は、本を読んで更に学んでいただければと思います。

  1. 予算管理
    予算は、会社とチームの間に取り交わした約束である。
    自らのチームの自力と会社の目標のバランスを取りながら、予算目標を立てることが肝要。

    決して、部下が「無理だ」と諦めるような目標ではなく、逆に、「全力を出さないでも大丈夫」と退屈するような目標でもない、メンバーがモチベートされるような目標設定をしていくこと。(100%達成の為に、「悲観的な視点」も取り入れながら)


  2. 部下のモチベーション管理
    課長が任されているのは、課の「人、モノ、カネ」
    特に、「人」に関しては課長以上では、現場を把握できない。「課」の一人一人にフォローしていきながら、彼らのモチベーションを上げていく事が課長の仕事である。

    落ち込んでいる社員がいれば励まし、気持ちが緩んでいる社員がいれば、叱咤激励していく。また、モチベーションが下がっている原因が「会社側の施策」であるとすれば、部下にはフォローしていきながら、部下の気持ちを会社側に伝えていくことも重要な仕事になっていく。


  3. 「会社から大事にされている」という実感を部下に感じて貰うこと
    これは、モチベーションにも関わる事。「会社からの恩義」「上司からの恩義」によって人は、忠誠心を持ち、モチベーションを高めていくことになる。
    課長は、「会社が部下や社員について大事に考えている。大切に考えている。」という事を説明していく役割がある。

    また、それができていないようであれば、会社に「もっと社員を大切に扱う制度」を経営陣に提言していく役割がある。


  4. 部下の査定 (部下を徹底的に熟知していくこと)
    部下をモチベートしていこうとする際、一律にはできません。
    各人の個性、特色によってチベーションの仕方が変わってくる。まずは、各人の個性を徹底的に熟知していく事から始まる。


    部下の査定も、単に表面的な数値だけを見るのではなく、実際の裏で行っている努力、チームにおける影での貢献等の部下の活動を熟知した査定を部下は求めている。課長は、その要求に対応した査定を行っていく必要がある。


  5. 部下の価値観を経営陣に通訳し、経営陣の価値観を部下に通訳する
    部下の価値観と経営陣の価値観は同じではない。特に、価値観の世代間ギャップは大きい。
    ・一見違っているように思えるが、実は共通してくる部分は何か?
    ・彼らの価値観は、どのような背景(体験)でそのような価値観が作られてきたのか?
    などを、価値観の通訳としての役割が期待されている


  6. 経営情報と現場情報の両方が最も多く通過するターミナルであり、効果的なフィルターになる
    課長というポジションは、経営陣が発する「経営情報」と部下が発する「現場情報」の2つが重なるターミナル的な役割を果たす事になる。
    ある意味、企業の中において最も情報量が多いポジションでもある。

    当然、情報は「玉石混合」であり、全ての情報を上司、部下に提供していくワケにはいかない。
    課長の「情報のフィルタリング」がかかっていくのである。

    「玉石混合の情報」の中から、ホントに大事な情報をフィルタリングし、重要な現場情報を経営陣に、経営情報を部下に分かりやすく伝えていく役割が期待されている。


  7. 「ルーチンから外れる例外」を発見する仕組み作りと、それへの柔軟対応
    課の仕事のほとんどは、「ルーチン」で構成されている。しかし、ルーチンでは対応できない事態が当然、現場では起こってくる。

    そのような「ルーチン外」が発生すれば、すぐにそれが発見され、課長に届く仕組み、文化を課内に構築していく。

    そして、「ルーチン外」の事態に、決められたルールを超越した、柔軟な対応、意志決定を課長は求められていくのです。
  8. 経営者の描いたビジョンを、現場レベルの行動に直す
    例えば、経営陣の発する「顧客第一主義の企業になる」というビジョン。そのようなビジョンを、経営者の言葉通りに、部下に伝えても、彼らのモチベーションは上がってこない。

    自分の属する「経理課における顧客第一主義とはどのようなものなのか?」という具体的な、現場レベルの行動に、経営陣が発したビジョンを言い換えていく必要が課長には期待されている。
  9. 経営者が新しいビジョンを描く為に必要な現場の声、顧客の声を集め、提供していく
    経営戦略やビジョンというのは、実は経営者の頭の中だけで、できるものではない。経営陣の頭だけの中で作られた戦略などは、単なる机上の空論。チャンスに気づく人と見逃してしまう人。何が違うのか?ニッチ分野を開拓して市場を作った女性社長に学んだビジネスセンス でも述べましたが、ビジネスチャンスは、現場の活動の中に思いもよらぬ形で落ちている事の方が多い。

    現場の中に「ビジネスを成長させていくヒント」が転がっている。このヒントは、会社が大きくなればなるほど、経営者には見えなくなってくる。現場に最も近い、課長が、戦略に影響のある「顧客の声」「現場の社員の声」を見つけだし、経営陣の耳に届けていく事が、企業が成長していくには必要になっていく。



最後に、もう一つ、私が課長の役割としてあると思うのは、

  1. 部下が仕事を楽しく感じるような職場風土」を作る
    モチベーションは、窮屈な中では生まれてきません。
    働いている部下が、「仕事を楽しい」「メンバーと過ごす事は楽しい」と感じる職場作り、仕事作りが重要になってくると思うのです。

これも、大事だと思います。





しかし、改めてこう並べてみると、課長が企業を支えていると言ってもいいというくらい、重要な役割を課長は果たしているんですね。課長が、この10個の役割を果たしてくれなければ、会社は回っていかないですよね。しかし、これだけの役割を課長に期待しているんですから、もっと優遇した待遇を企業側も与えるべきなんでしょう。)
課長が強い会社は伸びるし、課長が弱い会社は衰退していくという事になるのでしょう。





中小企業など、このような課長さんがいない会社であれば、この役割を、部長さん、社長さんが果たしていく事が求められます。この役割がなければ、企業は回っていかないでしょうからね。(多くの中小企業では、この役割に穴をあけたまま経営を続けている為に、せっかく入った社員が辞めていくケースが多いのが現実です。)