モチベーションは楽しさ創造から

自分自身のモチベーションアップ、仕事を楽しくする方法から、部下・上司・顧客のモチベーションアップのヒントとなるノウハウ、コラムをまとめたブログです

行間を埋める能力を身につける

この不況期の今。最近、私の仕事で多いのが、経営改革の依頼です。
経営改革を行う上でまず取り組むのが、改革のための経営計画作りです。


そんな経営計画などを構築する際に、とても悩むのが、どのレイアーまで落とした経営計画を作成するかということです。

  1. ビジョン、ミッション、バリュー、成功要因等の理念、戦略を整理し、
  2. それをもとに経営方針を明確にしていき、その達成水準を経営目標化していく。
  3. 経営目標を実現するための組織構造を作り、必要なプロジェクトチームを整理する。
  4. 当然、経営計画推進の為の、カネ、人、モノについてのシミュレーションを行う。
  5. 更に、各部目標を作り、部門行動プランを作り・・

教科書通りにいけば、こんな流れになると思います。


しかし、教科書通りにやってもなかなか、経営改革はうまく進みません。
悩ましいのが、教科書通りに計画書をまとめていくとかなり詳細な計画書になるのですが、計画書が分厚くなるために、「ビジョン、ミッション、成功要因」等の経営戦略のインパクトが薄れていくということです。


もちろん、反面、戦略や方針だけをまとめるだけでは、その実行力に疑問がでてきます。具体的にどうやるのか?ということがハッキリしませんからね。
しかし、「どうやるのか?」を事細かくだせばだすほど実現性は見えてくるのですが、実行段階において「何が目的だったけ?」という本質が見失われていくことになるのです。分厚い経営計画書を作ると、コンサルタントとしての満足度は高いモノになるのですが、実際に成果に繋がるかというと微妙だったりします。


どの頃合いで経営計画書を作っていくのか?
マイクロマネジメントがいいのか?それともマクロマネジメントでいいのか?
これは、実務面ではとても難しい問題です。


私が、最近その頃合いを考える際に大切にしているのが、組織構成員の「行間を埋める能力」です。
「行間を埋める能力」が高い社員さん(リーダー)が多い会社では、行間がゆったりした経営計画にする。
逆に、「行間を埋める能力」が低い社員さん(リーダー)が多い会社では、行間がびっちり詰まった経営計画にするということ。


もちろん「行間がゆったりある経営計画」のほうが、現場での臨機応変も可能な計画になるので、現場のリーダーにとっても、経営計画の推進活動、改革の活動はやりがいのあるものになる。
逆に「行間にびっちりと細かに書いてある経営計画」になると、どうしても「やらされ感」が生まれてくる。そんな計画は、あまり組織のモチベーションを上げることができないのが現実です。できれば、そんな計画作りは避けたいものです。(しかし、「行間を埋めるチカラ」がない社員さんばかりしか育っていない状況では、できる限りびっしりと行間を埋めた計画書を渡していくということをやらなければいけない。)


もちろん、経営計画にどれだけ細かなことを書いても、具体的にやるべきことを書いても、それには限界があります。
箸の上げ下げまで書くことなどできはしません。
箸の上げ下げまでもし、書けたとしても、お客様や社会環境など、自分ではコントロールできないことがたくさん起こってきます。そうした相手(競合や顧客)の反応に、一つずつ細かなオプション策を作っていくなど限界もでてきます。
どうしても、経営計画に書いていない、あるいは策定時には想像もしなかった出来事に対して、現場、現場において臨機応変の対応が不可欠になってくる。
それが「行間を埋める能力」だと思うのです。こ


この「行間を埋める能力」とは、「ビジョン、ミッション、バリュー」という企業の本質をどれだけ理解しているかということだと思います。
表面的な言葉として、「私たちのビジョンは、ミッションは、バリューは・・」などを記憶しているみたいなレベルではなく、どれだけ経営者と同じレベルにこの3つが理解できるかということ。
計画に書いていない事態が発生した際、お客様から思わぬ要望が出たとき、競合が予測しないような対応をした際に、わが社の「ビジョン、ミッション、バリュー」という本質論立ち戻り、何を行えばよいのか?を考えることが大事になると思うのです。「ビジョン、ミッション、バリュー」という本質の理解度が「行間を埋めるチカラ」だと思います。


組織にどう「行間を埋める能力」アップを実現していくか?ということは重要なテーマだと思います。
「ビジョン、ミッション、バリュー」という本質理解は、一朝一夕に育つわけではありません。
毎日唱和するだけなどで浸透するわけもなく、そんな表面的な教育をやっても駄目。日々の仕事の中で考える場がどれだけあるか、計画的にそのような場をどう構築していくか?そのような場で情熱を持って、日々そのことをどれだけリーダーが繰り返し話をしていくかで決まってきます。
リッツカールトンの教育のシステムなどを聞いてみると、まさにこれがシステム化されている。
しかし、多くの企業にて「ビジョン、ミッション、バリュー」を浸透させていく為の教育がおろそかになっているのが現状ではないでしょうか?


経営改革が必要な今。
「ワクワク仕事チームを生み出す上司力」で書いている「志」を育てるための教育が、それに当たると思うのですが、改めて、「ビジョン、ミッション、バリュー」を浸透させる教育のシステム化に取り組み、「行間を埋める能力」を持った人材を育てていくことが大事なことだと思います。

ワクワク仕事チームを生み出す上司力

ワクワク仕事チームを生み出す上司力