モチベーションは楽しさ創造から

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抽象的に「意識改革」と叫ぶだけでは意味がない

BizPlus:コラム:中島孝志氏「社長の愛した数式」第56回「日本電産・永守重信社長流 意識改革の法則」

この中で、永守社長の法則ということで、

経営力(仕組み(仕事の進め方、行動パターン、マネジメントスタイル等々)+(技術力、経験、資産)×意識

という言葉が紹介されていました。実にいい言葉ですね。まさに、この通りだと私も思います。仕組みや匠は大事だけれど、意識は直接、掛け算として経営力に影響してくる。それほど「意識」が大事だという事を表現された公式だと思います。





永守社長だけでなく、多くの経営者が「意識改革」の重要性を説かれます。

そして、私達も日常において、よく意識改革という言葉を使います。





仕事でよく社長さん達に経営相談をする機会があるのですが、 「社長さんは、社員の意識改革がしたいんですね?」という質問はゴールデンワードです。そうすると、「そう。社員の意識改革がしたいんだ。今のままの意識ではいけないんだ。まずは、意識改革からがスタート」っていうように話が盛り上がっていきます。





この一連の会話の後、私は質問を続ける事にしています。「意識改革というと、社員さんの今のどんな意識を、どのように変える必要があるんですか?」と聞くと、考え込まれる社長さんがかなりいます。あるいは、ポイントが掴めないような意味不明な事を言われる社長さんもいます。





ピシャっと「○○について意識改革が必要だ!」と言われる方は、実は少なかったりします。





実は意識改革が進まない理由は、「意識改革しなければいけない」という精神論で、思考がストップしており、「何を意識改革しなければならないか」「意識改革を進める為に、まず自分が何をやるべきか?」まで一歩深く考えていないことが原因ではないかと思うのです。





部下の立場からすれば、「意識改革しろ!意識改革しろ!」と抽象的に鼓舞されたとしても、何を意識改革すればよいか分かりません。また、抽象的な「意識改革をしろ」という言葉で捉えると、部下の意識の全否定となってしまうだけ。





抽象的な「意識改革」という言葉は、全く役に立たないと思うのです。





「今の意識の何に問題があり、どう変わればいいのか?」という事が分かってもいないのに、意識改革はできるはずがありません。しかし、漠然と意識改革とお題目を言われる経営者が多いのが現実です。




BizPlus:コラム:中島孝志氏「社長の愛した数式」第56回「日本電産・永守重信社長流 意識改革の法則」


出血多量で危篤状態に陥っている企業の再生には、まずは止血することです。栄養補給や体力回復、体質改善はそれができてからの次善の策です。すなわち、赤字垂れ流し企業の再建でいちばん重要なポイントは、「出るを制すること」が急務の策です。

 そのためにも、まずは役員から末端の従業員にいたるまで、経費削減に対する健全な意識を植え付けること。そして会社として、コストを削減する仕組みを構築すること。この2つが垂れ流し企業からの復活=V字回復には絶対不可欠の課題なのです。 永守流経営で意識と仕組みを一新して三協精機の快進撃が始まります。

一方、永守社長は、抽象的に意識改革と言っているのではないから、成功しているのでしょう。抽象的に意識改革を求めているのではなく、「出るを制す」というテーマが絞れていると思うのです。「コストを削減」に関心を持たせ、「コスト削減に協力しよう」というやる気にさせるという明確なテーマを持って取り組まれているから、上手く意識改革が進んでいると思うのです。

BizPlus:コラム:中島孝志氏「社長の愛した数式」第56回「日本電産・永守重信社長流 意識改革の法則」


 意識を高く長く維持するために必要なこと。それはなんでしょうか?

 社長など、しかるべきキーパースンがあなたの行動を注目しているというメッセージがベースにあることが重要なのではないでしょうか。人間、どうせ「ワン・オブ・ゼム(その他大勢)」だと考えている限り、「自分1人ぐらいいいだろう」といい加減になりがちですが、「オンリーワン」で数値目標まで示されては手を抜けません。こういうコストに対する意識を植え付けることが個人の能力、チーム力ばかりか、企業力の底上げにつながるのです。

「意図の変革」→「注意の変革」→「意識変革」→「行動変革」という形で行動変革は起こっていきます。



まず「何」を最も意識改革をすべきかを考え、そこに思考を集中させる。(意図の絞り込み)人間、たくさんの事に注意を払う事はできません。日常において、私達はたくさん考えることがあるので、たくさんの意図を持ち、暮らしていこうとすれば、どれにも注意力を払うことが逆にできなくなるのです。



次に、実際リーダーが「意図」に対して、注意を払って行動を行う事で、率先垂範で行動革新を示してみせる。自分が必死に行動を変える努力を行う事で、「意識改革の対象」へ、上滑りしない「注意力」が養われ、意識改革が図られる。自ら意識改革された状況になってこそ、部下の細かな行動に対して関心が持て、注意力が働くようになる。常に、リーダーが「その対象」を意識して組織を見ている、本物の注意力が働く状況作りが大事だと思うのです。(瞬間ではなく、継続的な関心が必要になってきます。)




また、「意識」という見えないものが、「リーダーの行動変革」を見る事で見える化されることで、部下に「意識改革」の具体的姿がイメージできるようになるのです。
例えば、「コスト削減」という部分に意識改革を起こしたければ、まず、自分が「コスト削減」を意識した行動を取る。社員に「コスト削減」と叫んでいるけど、それが進んでいない会社などは、社長さんがコスト削減の努力が社員の側から見えなかったりします。





私のクライアントだった社長さんは、「コスト削減」意識を社員に呼びかける前に、自分の「コスト削減」を徹底して行われました。車は「セルシオ」から「軽自動車」にし、給料も大幅に削減し、自分の身の回りのものでムダと思えるものを削る努力をされました。そして、社員に「コスト削減」についての意識改革を求めていきました。





部下に意識改革を求めるには、

  • 「何」を意識改革が必要なのかというテーマを絞り込み
  • そのテーマをもとに、まず、自分の意識改革どころか、行動改革を行う(シンボリックな行動革新を見せる)
  • そして、「そのテーマ」に対し、リーダーが注意と関心を持ち続ける

これがスタートなのでしょうね。





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来月、部下の意識改革や、やる気を引き出す本を出版することになります。(この本の中では、もっと細かな部分までいろんな方法をご紹介しています。)

詳細は、発売日等が決定した時、またお伝えします。