モチベーションは楽しさ創造から

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情報収集力、論理的思考力が高まった人のマイナス部分。

今、金融危機のニュースを中心に、不景気な話が世の中、飛び交っています。

株価の大幅下落、急激な円高アイスランド等の国家的危機、SONY等の輸出関連企業の業績悪化、・・

上げればキリがないほど、世の中不景気なニュースばかり。





情報収集力のある人であればあるほど、この不景気なニュースが入ってきます。

第2次世界大戦前の金融恐慌の時は、アメリカでは4人に一人は失業者だったとか、後どれくらいこの不況期は続くであるとか、経済専門家のブログなどを読むと、更に不景気な話が入ってくる。





更に、論理的思考力の高い人になると、「この不況の原因は何だろうか?」、「不況がもたらす自分のリスクは?その回避策は?」「自分の身をどう守ろうか?」など、「脅威からから身を守る策」ばかりを考えてしまうようになります。





多くの情報に基づく、冷静な分析を行い、論理的な判断を下していく。そのような事ができる人がとても増えています。これは、とても良いことだと思うと同時に、心配な事でもあると思うのです。





多くの情報に基づく、冷静な分析を行い、論理的な判断をしていくという事が初心者の頃は、「脅威」や「問題」にばかりが目に入ってくるようになるからです。


実は、私もコンサルティング会社に入って2年目くらいから、そのような傾向になってしまいました。





コンサルティング会社に入ったのが、今から20年前。入社してからすぐに、論理的思考力の強化トレーニングや、情報収集力強化、問題発見力、問題解決力のトレーニングを受ける事になりました。また、2年も経つと、一人前のコンサルタントとしての思考力を身につけた気になりました。





情報が入手される中、何が目に付くかというと、マイナス情報、危機情報が特に目に付きます。マイナス情報は、緊急に処理しないといけない話が多いからです。たくさん情報が入ってくればくるほど、そのマイナス情報が蓄積されてきます。


>また、「最近、売上が下がってきている。今後、売上アップの方法を考えよう」というテーマがあったとします。その際、論理的に考えようとすると、「まず、売上が最近下がった原因」を考えようとします。「なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?」を繰り返す。
繰り返せば、繰り返すほど、マイナス原因が分かってきます。





当初、そんな状況に「俺って凄いな。こんなに冷静に分析できるようになったよ。昔に比べて、随分、頭がよくなったもんだ」なんて、一人前のコンサルタント気取りになっていました。





このような事が習慣化されると、「脅威」や「問題」にばかりが目に付くようになり、「チャンス」が目に入ってこなくなる。プラス情報も、ニュースや現場からもちろん入ってくるのですが、つい優先度を低い形で処理してしまうようになる。たくさんのマイナス情報に囲まれていると、その緊急性に気を取られすぎる形になるのでしょう。





よく「プラス思考」についての重要性が語られます。「物事は常に、プラスの方から考えるようにした方が、プラスの事が現実に起こる」というヤツ。私は、情報収集力と論理的思考力が高まれば高まるほど、プラス思考になるのが難しくなってきます。イヤという程、現実に起こっている問題が見えてくるので、プラス思考で「プラス方面から考える」ことが、現実逃避をしているように感じられたのです。





私はこう思っていました。





「プラス思考が大事なのは分かっている。マイナス思考になると、精神もストレスでおかしくなるし。夜も寝られなくなる。だけど、現実は厳しいんだ。たくさんのマイナス情報が目の前にあり、問題は山積している。これをプラス思考の名のもとに、見て見ぬふりなど、絶対にできない。見て見ぬフリをした瞬間に、問題は更に大きくなり、自分では手に負えない大きさに問題が大きくなる!」





この考えは、今でも間違ってはいないと思います。しかしこう考える結果、心配事に囲まれて暮らす状況になりました。確かにリスクを防止していく対策や、トラブルシューティングはとても上手になりました。しかし、同時に「チャンス」が目に入る量が減ってきていたのです。





この状態の時、ストレス的に大変でした。常に何かに追い込まれている感覚。毎日、胃が痛くなり、夜も突然起きてしまい、寝れなくなる。最悪の時には・・





インターネットの普及。コンサルタントの思考術の普及。そんな事もあり、今、昔の私と同じような悩みを抱えているビジネスマンが増えているような気がします。私と同じように、結果、心の病にかかられる人も多いのではないでしょうか?





情報が入ってくればくるほど、論理的に考えれば考えるほど、悩み、不安、リスクばかりで頭がいっぱいになる。そんな悩みが多いビジネスマンが・・







私の転機は、ある社長さんからの指摘でした。



「小林さん。あんた、「リスク」、「不安」、「問題」ばかりに敏感になりすぎてないか?ビジネスには、リスクや不安、問題があれば、それと同じくらい「チャンス」が発生してるんだよ。それが、あんた見えなくなってしまっているんじゃないかい?」





確かに、「チャンス」に目がいかなくなっていたんですね。





よくよく考えてみると、いつのまにか論理的思考力、情報収集力を伸ばす事ばかりを意識してしまい、この「チャンス」を見極める力が落ちていたんでしょう。





経営の現状分析手法でSWOT分析という手法があります。自社の「強み」、「弱み」、「脅威」、「機会」を整理していく手法です。こう書くと、平凡な手法だと思われるでしょうが、これが以外に奥深いものがあります。





儲ける事がヘタな経営者がやるSWOT分析は、第3者が見ても、「当たり前だろ!」みたいなものしか出てこないのですが、儲けることが上手な経営者は、独特なモノの分析を行います。

  • 一般的には「弱み」と考えられる部分を、強みとして分析していく
  • 一般的には「脅威」と考えられる部分を、チャンスと分析していく

(もちろん、一般的には「強み」「チャンス」と思われる部分を「弱み」「脅威」として認識するという所もあります。)





儲ける経営者は、「弱み」や「脅威」、「問題」といったマイナス感情を生むようなファクトに対して、「チャンス」を見つける思考力がズバ抜けている事に気づいたんです。





そこから、チャンスを見つける思考力を身につけようと、試行錯誤を行いました。「情報収集力」「論理的思考力」が高まった為に、発生したマイナス部分を何とか補う方法を模索する事になりました。そこでたどり着いたのが「チャンス思考」という考え方。(勝手に自分で名前をつけてみました。)


チャンス思考をちょっとだけ紹介すると・・




「チャンス思考」とは、「プラス思考」とは違います。私自身、プラス思考は、やろうと思ってもできませんでした。どうしても、「問題や脅威が見えている時、きっとうまくいく!」なんて思うことができなかったからです。チャンス思考は、「問題」や「脅威」を正面から受け入れます。受け入れた後、その中に、「チャンスを見つけていく」という方法です。





メチャカンタンに言うと、「マイナス感情が発生する事実に直面したら、瞬間転機に『チャンスだ!』とまず思うこと(口癖にする)。思った後、チャンスに転化できる方法がないか?を考えていくこと。」です。





この「チャンスだ!」と思うだけで、様々な効果が実はあるんです。代表的な3つを上げると、

  1. マイナス感情(怒り、悲しみ、不安、恐怖)が、瞬間的にプラス感情(楽しい感情、積極的な感情)に変わる
  2. マイナス感情が生まれやすい苦手な事にも、積極的にチャレンジしようという気になる
  3. ピンチは、チャンス。危機の中にある、他の人が気づいていないチャンスに気づく事ができる。

など、様々な効果がありました。もちろん、細かいコツはいくつかありますが、実にシンプル。





チャンス思考について、みなさん興味はありますか?興味がある方が多いようでしたら、今度は「チャンス思考」をテーマにした本を書いてみようと思います。ご意見等を教えて頂ければ嬉しいです。