モチベーションは楽しさ創造から

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「現場が分かっていない!」では、何も解決しない

橋下知事vs教員 教育問題討論会で渦巻く怒号、やじ  MSN産経ニュースという記事によると、大阪府での教育問題の討論会は大荒れのようです。


また「冷静に話し合えない姿を子どもに見せたくはなかった」と言う小学5年の息子と訪れていた大阪府泉南市の主婦(40)は「学力テストの結果公表には賛成。社会に出て困らない人を作るために、学力を上げていかなければいけない」と橋下知事を支持。

 一方、会場で知事批判のビラを配布した教員らの団体「橋下行財政改革にNO!の会」の女性教員(55)は「結果公表でランク付けが進めば、子供たちへの悪影響は計り知れない。知事は教育現場の現実を見ていない」と話していた。

この大阪府の会議から思い出されるのが、改革のプロジェクトなどをしていて、よく聞く意見として、「現場が分かっていない」、「現場の現実を知らないから、そんな事を言うんだ」という話。このような意見が出てくると、会議は紛糾して、改革は荒れたものになっていきます。





今の不況を乗り越える為に、多くの会社でたくさんの改革が行われるのでしょう。そうしたシチュエーションでも、同じような声が挙がってくるでしょう。「現場が分かっていない」という声は、乗り越えていく必要のあるハードルです。





では、このように「現場が分かっていない」と言う人は、「どこまで現場を知ればOK」と言ってくれるのでしょうか?

  • 一度、現場を視察したら現場が分かったことになるのか?

    恐らく、それでは「たった一度視察したくらいで、働いた事がないくせに、現場の何が分かる」と言われるのでしょう。

  • 一度、現場に入ると現場が分かったことになるのか?

    それでもまだ「たった一度働いたくらいで、現場の何が分かる」と言われるのでしょう。

  • 1年間、現場に入ると現場が分かったことになるのか?

    それでもまだ「表面的にしか現場が分かっていない」と言われるのでしょう。

  • 10年間、現場に入ると現場が分かったことになるのか?

    それでもまだ「一部の現場は分かるようになったが、他が分かっていない」と言われるのでしょう。

恐らく、どこまでいっても「現場が分かっていない」という事を言うのです。「現場が分かっていない」という人は、「現場を知っている事」が優位性になっています。だから、「現場が分かっていない」という話を持ち出すのでしょうが、それでは議論になりません。





「現場が分かっていない」という事を主張したいのであれば、具体的に「○○という現場には実体があります。そのような実体に対応するには、今の議論だけでは不足していると思います。」という、現場の実体情報を議論の場に情報提供する必要があると思うのです。





現場で働いている人でなければ、現場が分かっていないのは当たり前。仕事が詳細レベル、具体レベルになればなるほど、現場で働いていない人には分からないものです。だから、現場で働いている人が意見を出す際は、「具体的で、詳細レベルの現場で働いている人しか分からない情報」を提供していくべきではないでしょうか?





では、改革のチームに、なぜ現場が分かっていない人が入るのでしょうか?(或いは、改革のリーダーに、なぜ現場が分かっていない人がリーダーになるのでしょうか?)





現場が分かっている人ばかりでは、なかなか改革は進まない場合が多いからです。現場が分かりすぎているからこそ、問題の中に入ってしまい、何が真の問題かが見えなくなってしまう場合も多いのです。現場が分かりすぎてしまっている人は、今までの、仕事のやり方、習慣に囚われすぎる事態も起こります。固定概念に囚われすぎ、ゼロベースからの発想ができない事も多いものです。





だから、現場が分かっていない人も、改革プロジェクトに入れる。

岡目八目の効用です。関係ない人、現場の事が全く分かっていない人、利害が全くない人だからこそ、冷静な目、俯瞰した目で物事、問題を見ることができる。





もちろん、そのような人達だけで改革は進める事はできません。当然、現場の人達もプロジェクトに入って貰う。しかし、そのような時に、「現場の事が分かっていない」という一言で終わってしまったら、何の為にプロジェクトに入って貰ったか分かりません。





改革をリードする全ての人が「現場を知る」ことは不可能。一人の人が、「全ての現場」を知る事も不可能です。だから、会議で、現場の声を出して貰うのです。それなのに「現場が分かっていない!」の一言で片づけるのは、無責任としか言いようがない話ではないでしょうか?





改革をリードする側も、現場で働く側も、冷静になり「現場についての情報交換をする努力」が互いに大切になる。互いが目指す目的が同じだったら・・