モチベーションは楽しさ創造から

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楽観思考と悲観思考を上手に使い分けていますか?

京セラの創業者 稲盛和夫さんの名言に「楽観的に構想を練り、悲観的に計画し、楽観的に実行する」という言葉があります。


私が日々、仕事をする中で、常に注意している言葉です。




構想を練るとき。この際、大事なものはワクワクする感覚です。想像するだけで、やる気が沸いてくる。ドンドン夢が広がっていく。そのような構想を描いていこうとする際に、現実志向をあまりに入れてしまうと、すぐに冷めた考えになってしまいます。遊び心をたっぷりに、自由に構想をクリエィティブしていく。



「これも面白いね、あれを追加すると、もっと魅力的になるんじゃない。」などと言いながら、互いのクリエィティビティを刺激しあっていく事が構想を描く時は大事になってきます。プロジェクトの原点は、構想への情熱です。構想を練っている人が構想に夢を感じ、熱い気持ちを抱いていないのであれば、誰も共感してくれません。






次に計画。楽観的な構想、夢のような構想であればあるほど、この計画段階では悲観的な視点が必要になってきます。大きな構想であれば、あるほど、それに伴うリスクも大きくなるからです。


そのリスクを悲観的視点で徹底的に洗い出していく必要があります。また、スケジューリングを組んでいく際においても、全てが順調にいくと考えるのは都合がよすぎます。スケジュール実行中に、発生するトラブルとしてどのようなものがあるのか?それについてのリカバリー策なども含めて考えておく必要もあるでしょうし、計画の中に十分なバッファーも見込んでおく必要があります。


計画を楽観的なイケイケドンドン的なものにしてしまうと、後で大きなトラブルを招いてしまう事があるのです。構想の際の楽観的なモノの見方を計画を作る際、ガラッと切り替えて、悲観的な視点で冷徹に達成までの道筋を考える事が大事になってきます。






そして、実際の実行というステップ。計画の際、徹底して悲観して考えた計画です。リスクも可能な限り洗い出して、それを見込んで対策も考えた計画です。後は、信じてやるだけのハズ。「この計画は絶対にうまくいく」という自信を持って、楽観的な気持ちで行っていく必要があります。


悲観的なモノの見方で支配されていくと、チームのモチベーションはドンドン下がっていくという悪循環が起こっていきます。そうならない為にも、徹底した悲観思考に基づいた計画が必要になってくるのです。「絶対にうまくいく」という気持ちで、明るく、元気よく、楽しく計画の遂行に邁進していくというチームの雰囲気が大事になってきます。






「楽観的に構想を練り、悲観的に計画し、楽観的に実行する」という言葉は、このような状況に合わせた思考パターンの切り替えを一言で言い表しています。





コンサルティングをさせて頂く際、社長、部門責任者、中間管理職といった様々なポジションの方とお付き合いさせて頂くのですが、楽観主義の方もおられれば、常に悲観主義の方もおられます。ベストは、楽観主義と悲観主義を頭の中にバランス良く持ち続ける人が一番良いのでしょうが、そのような人はまずいません。





かくいう私も、かなりの悲観主義者です。「楽観主義やプラス思考にならなければいけない!」とは思うのですが、人間、常日頃の思考パターンを変えるのはムズカシイものです。また、「悲観主義」だから悪いのかと言えば、そうでもない。プラスの面もたくさんあるからです。







楽観主義と悲観主義のバランスが普段、取れていない私のような凡人にとって、常に楽観主義をバランス良く持つことはムズカシい。しかしシチュエーションに合わせて、「この瞬間だけは、楽観主義の態度を取ろう!楽観的なモノの見方をしよう」くらいは意識する事ができます。「楽観的に構想を練り、悲観的に計画し、楽観的に実行する」という言葉は、それをサポートしてくれるのです。





例えば、経営管理系の会議の場合、会議の議題はいくつかあります。

  1. 戦略を決める  (差別化、オリジナリティ、コンセプト、成功要因などを考える)
  2. 目標を決める  (戦略を達成していく目標作り)
  3. 計画を作る (目標達成の為の課題を洗い出し、その解決を含めてやるべき事を計画化していく。スケジューリング、組織作り、資金計画等)
  4. 計画の実施状況を励ましていく  (実施状況を励ましていく)
  5. ギャップに対しての対策・計画の修正を行っていく(ギャップの原因を分析し、対策を立案していく)




そんな時、この言葉を私は以下のように使っています。

まず「楽観的に構想を練り、悲観的に計画し、楽観的に実行する」という言葉を、会議が始まる前にホワイトボードに書いておきます。これは、常にシチュェーション毎に必要な思考パターンを意識する為の工夫ですね。





そして、1戦略や2目標を決める、あるいは4実施し、実施状況を励ましていくというテーマの議題の時は、「これからやる作業は、楽観的なモノの見方で発言していきましょう」と一言言って、話し合いを始めていきます。会議している最中も、悲観的な意見で会議が支配されてきたら、ホワイトボードに書かれている言葉に戻り、「このステップは、楽観的なモノの見方で進めていきましょうよ」という事で軌道修正をしていく事ができます。





逆に、3の計画を作る作業、5のギャップへの対策を練っていく時は、「これからは、悲観的なモノの見方で、洗いざらいリスクを出していき、それへの対処法も含めてしっかり考えていって、行動を移すときに、不安なしに計画実行へ全力投球できる状況を作っていきましょう」という事で、話し合いを始めていく事ができます。





チームには楽観的思考の人も、悲観的思考の人も両方必要なんですね。肝心なのは、自分が基本的にはどちらの思考パターンが強いかを意識しておく事。強みと弱点ですね。その自己認識をベースとして、シチュエーションに応じて、思考を切り替えていかねばならないと認識する事ではないでしょうか?





「楽観的に構想を練り、悲観的に計画し、楽観的に実行する」。シンプルですが、含蓄のあるホントに使える言葉です!

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