モチベーションは楽しさ創造から

自分自身のモチベーションアップ、仕事を楽しくする方法から、部下・上司・顧客のモチベーションアップのヒントとなるノウハウ、コラムをまとめたブログです

入社した時の希望をはじけさせず育てる為に、管理者が意識すべきこと

人事部なんていらない!? (トップに聞く! 大変革の胸の内):NBonline(日経ビジネス オンライン)というエントリ。

積水化学工業の大久保社長のインタビュー記事。

ただ“頑張れ”と従業員の尻を叩いても、業績が上がるものでもない。従業員が人間として成長していき、それに伴って会社の業績も上がっていく。こういう循環に持っていくことが大切でしょう。 誰もが目に見えない可能性を秘めている。でも、その可能性を表に出して、目に見える形にしていくのは大変なことです。だからこそ社員にとって、秘められた可能性を発揮しやすい風土を作っていかなければならない。それが、経営者の役割なんだと思います。
従業員は無数にある会社の中で積水化学を選んでくれた。しかも、従業員の多くは約40年、ここで働く。その会社がハッピーでなければ、それはとんでもないこと。せっかく積水化学を選んだ従業員が、「うっとうしいな」と毎日思って会社に来て、いい仕事をするわけがない。

確かに、入社前には私達はその会社に希望マンマンです。仕事に対しても、好奇心に溢れています。良い仕事をして会社に貢献しようなんていう気持ちもあります。しかし、時間と共に、仕事がイヤになってきたり、「うっとうしく」感じたりしてくる。





モチベーションが日々、落ちてくる人達が増えてくる。七五三なんか言われているように、やる気に満ち溢れていた社員がわずか3年のうちに、会社や仕事に見切りを付けていきます。退職はしないでも、そんな気分で働いていてはいい仕事なんかできるワケはありません。



勘違いしちゃうんですよ。従業員は、人事部は何かうっとうしい所だと思いがちです。一方、人事部は人事部で人事考課をつけたり、異動させたり、社員を管理することが仕事と思っている。でも、僕に言わせれば、そんなのは仕事ではない。

本人の持っている能力や可能性は氷山のようなもの。海の上に出ているのは1割程度でしょう。海の下に潜んでいる9割をどう発揮させるか。そういうことをやろうよ、と言っている。 社員がみんないい仕事をすれば業績がついてくると僕は思っている。いい仕事とは、従業員がその仕事に惚れ込んで、その意味をきちっと理解して進めていくことです。従業員をそういう方向に持っていくにはどうすればいいか。それを考えると、人事部が異動や人事評価といった人事管理を行うというのはそぐわないんです。それは、人事部ではなくライン長の責任だからです。 部下の仕事ぶりを知っているのはそのラインの長。ライン長ほど自分の部下のことを知っている人間はいない。訳の分からない人事部がどうこう言っても、本質とは関係がない。ライン長が従業員を育てるという意識をしっかり持って仕事をしていくのが理想でしょう。

積水化学工業は、そのような趣旨で人事部を廃止したそうです。「人事とは管理する事ではない」という事は、まさに言い得て妙だと思います。





人事とは、社員の能力を発揮させること。確かにそうですよね。





多くの会社においては「人事部」があるから、「人事は管理すること」になっているかというとそうではないかもしれませんね。現場の人事を任されている管理者の方々も「人事は管理すること」と勘違いされている人も多いのではないでしょうか?





ただ、そうは言いながらも、会社の中で仕事をしていく上で大切なのはその人の意識です。端的に言うと、与えられて仕事をするのか、自分からしたいと思って仕事をするのか。この意識の差。私はそう考えているので、2000年頃から「手を挙げる人事」を基本に据えました。

「人の能力を発揮させる人事」という事でのポイントは、「手を挙げてもらう」という事だと大久保社長は言われています。





仕事って本来、面白くないものなのか?のエントリでも述べましたが、社員の内発的動機付けを大事にするという事なのでしょう。「自分がやりたい」という気持ちを引き出すという事ですね。その為には、「○○くん。課長をやってくれ」というのではなく、「課長というポジションがあるけど、やりたい人がいない?」という、社員の自律意識を大事にしていくという事でしょう。

僕はよく言うんです。従業員がどんどん辞めていく会社はどういう会社か、と。面白くないから辞めるんだろう。だったら、仕事を面白くしろよって。 

そして、意思に重要なのはコーチ。マラソン高橋尚子選手は積水化学に6年所属していました。その6年で6回優勝しています。その時の彼女には優秀なコーチがいました。ただ、今はコーチがいなくなって苦労している。オリンピック選手でさえ、コーチで変わってしまう。凡人である我々は、なおさら的確な指導や練習が必要になる。 さっきも申し上げたけど、企業は人材を社会から預かっている。その人たちは意思を持って仕事をやりたいと思っている。しかも、様々な可能性を持っていて、表面に出ているのは氷山の一角に過ぎない。ならば、その下に埋もれている能力を発揮させることが上司の役割だろう、と。

現場での人事の基本は、「仕事を楽しくすること」。

そして、誰に働かされているという事ではなく、「自分で自分の仕事を選んでいる」という自律意識を持たせること。「管理」という事で、プレッシャーや圧力をかけるだけでは、逆効果になってしまいます。「日々の人事管理が逆に、人材のモチベーションを下げている」という大久保社長の問題提議。





人事管理をしようとして、日々プレッシャーを部下にかけている管理者のみなさんも、悪気はないと思うのです。何とか部下を育てようと全力を尽くされているのは分かるのです。しかし努力というものは、正しい方向に発揮しないと逆効果になりますからね。





部下の自律支援が、管理職の人事のポイントだという事を、改めてこの記事で考えさせられました。

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