モチベーションは楽しさ創造から

自分自身のモチベーションアップ、仕事を楽しくする方法から、部下・上司・顧客のモチベーションアップのヒントとなるノウハウ、コラムをまとめたブログです

他人としか比較できない事が生む悲劇

昨日、夕食を食べていたときに「代表取締られ役新入社員」というドラマがやっていました。

ストーリーはというと、

広告会社の新卒試験で、ダントツのダメ成績だった主人公。その様子を見た会長が、その主人公を「代表取締られ役新入社員」としてスカウト。

彼は会社でNO1の業績を上げている部門配属されます。このチーム、業績がいいだけあって、有能な人材ばかり。だから競い合ってばかりで、嫉妬心と競争心だけで仕事をしているという状況。





そこで、主人公の役割は、そのダメぶりを発揮して、チームに迷惑をかけること。チームメンバーのストレスの捌け口になる事。だから主人公の名前も捌け口という名前でチームに配属されるという事からドラマはスタートしていきました。





最後までドラマを見ていたワケではありませんが、ドラマの途中まででナルホドと感じる部分もありました。





主人公が入社したチームは、最初はお互いをライバル視しているだけで、会話もほとんどありません。あっても、互いの陰口を言うばかり。そんな状況に、主人公の捌ケ口がトラブルを続出させていきます。遅刻したり、コーヒーこぼしたり、お客様に失礼な対応をしたり・・・





チームのメンバーは、捌ケ口に迷惑をかけられ、フォローに追われる状況になります。そうすると、チームの中で会話が生まれ始めます。共通の話題が生まれるのです。そう。「捌ケ口の悪口」という共通テーマです。「捌ケ口から、どんな迷惑をかけられた。あいつは何とかならないのか?」という不満が共通の話題になるようになったのです。



今までは、チーム内の他のメンバーの悪口を言い合っていたのですが、そんなヒマを与えないように、捌ケ口がダメぶりを発揮していきます。そうなると、チーム内での陰口も減ってきます。共通の敵として「ダメ人間」がいる為に、チームワークが生まれていくという途中までのストーリー。





高いモチベーションを生むには、「有能感」という事が欠かせません。有能感とは、「自分は優れた能力を持っている」という感覚です。「自分は優れている。自分はできるヤツだ」と感じることができれば、仕事へのやる気が出てきます。逆に、「自分は仕事ができない」と思った瞬間から、仕事へのモチベーションは下がっていきます。





捌ケ口のような「いじめられキャラの社員」がいると、その組織のメンバーは、有能感を感じる事ができるのです。「あいつに比べたら、自分なんて凄いもんだ」という有能感ですね。しかし、このような「イジメキャラ」を作っての有能感は当然、まともではありません。歪んだ構造ですが、実際、このような組織も多いのではないでしょうか?



「有能感」には、絶対的有能感と、相対的有能感があります。絶対的有能感とは、ある共通の基準をクリアしているという有能感ですね。例えば、英検の1級をクリアしたら優秀という明確な基準があり、それをクリアしたから、「自分は有能だ。」と感じることができるということ。





一方、「相対的有能感」は、英検1級などという明確な基準はありません。「他者比較」ということ。優秀な人にばかり囲まれて仕事をしていると、優秀な人との比較ばかりになってしまうので、なかなか「自分ができるヤツ」と思える瞬間に出会えません。有能感を感じられず、無能感を感じてしまうと、モチベーションがドンドン下がってきてしまい、仕事ができない人間になってしまいます。





優秀な会社に入った新入社員の人などは、この事に注意を払っておく必要があります。他の会社に入ったら、有能感を感じる事ができたのに、入った会社が良すぎて、無能感を感じてしまうというケースですね。





その為、ホントのビジネスの世界でも「代表取締られ役新入社員」というドラマのような世界が生まれてきます。社内、部門内でのイジメですね。一人、ターゲットが決まり、「ダメそうな社員」を作れば、その人と比べると「自分は有能である」という感覚を持てるようになるからです。同僚や先輩と、その社員の悪口を言っている時、「有能感」を感じるのです。





これは、もちろん歪んだ有能感です。本物の有能感ではありません。しかし、実際には、無意識の中で、多くの企業で「ストレスの捌け口」となるような人が人身御供のようにされています。(次の人身御供は、自分かもしれないのに・・)大人の世界も子供の世界と同じような「いじめ」の構図ですね。





私が昔いた会社にも同じような事がありました。上司が一人、「ダメ社員」を設定していましたね。無意識だと思うのですが。いつも、その人ばかりが怒られる。同じミスをしても、その人だけが怒られるのです。集中砲火ですね。食事の時でも「小林君。○○君はミスばかりだよね。なんとかならないもんかね。」という、その人の話題ばかり。





こちらも、自分がターゲットになったら困るし、その人の問題を指摘していると、「その人より、自分の方が有能かな?」という有能感も感じる事ができるので、上司の話に乗っていく。「困ったもんですね。○○君は。」などと、話を合わせてしまっていました。





そうすると、その人はモチベーションがドンドン下がってきて、ついには辞めてしまう。すると、次のターゲットが別に移っていく。(最後は私がターゲットになってしまい、私が辞めざる得なくなりましたが。自業自得ですね。)このドラマを見ていると、そんな昔を思い出して、途中で気分が悪くなってしまいました。





本来は、リーダーが「部下に対して有能感を感じさせる、モチベーションテクニック」を保有していれば、このような組織的ないじめなどは少なくなっていくのだと思います。しかし、モチベーションについて十分に学習をされていないリーダーが多いのが多くの企業の現実ではないでしょうか?





しかし、愚痴ってばかりでは物事は改善されません。「社内いじめ」は被害者だけでなく、加害者も惨めな気持ちを最後には味わいます。





まず、あなたが社内いじめに加わらないこと。その為には少なくとも、自分だけは「有能感」を他人に求めるのはやめること。他人との比較ばかりでしか「有能感」を感じる事ができなくなると、いつか、「無能さ」を感じるカベがやってきます。そうなると、あなたも「いじめる側」にいつのまにか立っている事になるかもしれません。(みんな無意識のうちに「社内いじめ」は生まれているものです。)





そうならない為には、「絶対的有能感」を感じる方法を覚える事です。絶対的有能感は、「明確な目標」作りから生まれます。「1日1時間だけ勉強をしよう」「1日10件は必ず営業訪問をしよう」などと、一日が終わった瞬間に「達成感」を感じる事ができる目標作りを、自分で自分に与えるのです。





上司や会社との約束ではなく、自分との約束でOKです。だから、極端に無理な目標などを掲げる必要はありません。「オッ。今までよりちょっとだけできるようになったな!」と自分で感じるレベルでいいのです。そんな自分なりの目標を追い続け、それを達成したら、自分で自分の事を誉めてやりましょう。「凄い。ちょっとだけ成長したじゃない。」「毎日、成長してるぞ!」と。自分だけでも「絶対的有能感」は作れるのです。





「相対的有能感」だけに頼らず、「絶対的有能感」を得る仕組みを、自分なりに作ってみませんか?

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