伝える事は、「伝わった事」で完結する
先日、あるクライアント様のところに訪問したところ、社内は大パニック中でした。
社長含め、社員さんみんなが、話している内容を聞くと、どうも、大事なお客様との連絡ミスが発生した模様。
社長
「確実に○○さんのところに資料は渡したんだよな?」
営業
「ハイ。渡しました。」
社長
「ホントに。絶対に渡したの?相手は貰ってないと言っているんだけど?」
営業
「絶対に渡しました。メールに履歴が残っていますもん。」
社長
「えっ。手渡ししたんじゃないの?とても大事な資料って分かっていたよね。」
営業
「はい。メールで送りました。添付ファイルで」
社長
「確認の電話はしたの?」
営業
「いえ。送っただけです。」
社長
「大事な資料って分かってるだろ。メール送るだけでOKじゃないだろ。相手は、そのメール見てないんじゃないか?メール送ったら、確認でもしろよ」
こんな話が聞こえてきました。この単純ミスで、営業マンは、だいぶんモチベーションが下がってきている様子でした。
この2人のやりとりを聞きながら、思った事は、「伝えた」と「伝わった」の違い。
営業マンは、自分は仕事をしたと思っています。「伝えた」のですから。
しかし、「伝えた」と「伝わった」とは違います。
「伝える」という事は、「伝えた」という事で完結するのではありません。
「伝える」とは「伝わった」という事で完結するのです。
よく、「言った、言わない」という事で争っている人がいます。これも「伝える」という事が、「伝えた」事でコミニケーションが完結するという誤解からではないでしょうか?
これは、日常的なコミニケーションだけでなく、ブログとかでもそうなのでしょう。
私も、「伝えた」と思っていても、「伝わっていない」エントリも数多くあると思います。
ブログの場合であれば、「コメント数」「ブクマ数」「スター数」が「伝わった」事の指標になってきます。
自分が「面白い」と思って書いていても、これらの指標が伸びてなければ「伝わっていない」か「コンテンツ」が面白くないか、どちらかという事が分かってきます。
日常のコミニケーションにおいても、このような「伝わった」という事を確認する工夫が必要だと思うのです。他人の理解力は、自分が思っているよりも低いモノです。
自分は伝える為に、懸命に努力しているのですが、受け取る側は同じような熱意で聞いていなかったりします。また、知識レベルでも発信側と受け取る側にリテラシーギャップが存在する場合もあります。だから、自分が思っている以上に、相手には伝わらない事を前提にした仕事の工夫が必要となるのです。
私達は、プレゼン方法や説得方法、報告書の書き方など、「伝える」事には関心がありますが。「伝わったか?」を確認する方法については、案外、無頓着だったりします。
・上司から部下のやりとり
・部下から上司のやりとり
・部門間でのやりとり
・お客様とのやりとり
・取引先等の外部とのやりとり
それぞれのシチュエーションで「伝わった」事を確認する工夫が必要だと思うのです。
例えば、
- メール後に電話して、内容についてを確認する
- メールは、相手から「了解メール」が届くまで、完結したと思わない。
- 相手に、伝えた内容の感想をフィードバックしてもらう
- 相手に、伝えた内容についてアドバイスをもらう
- 自分が伝えた事を、再度、相手に復唱してもらう
- 話した内容を、最後に「まとめ」として復唱する
- 話した内容を議事録にとり、相手にも、読んで頂いた後、受領印を押して貰う
等々。
「特に大事な事を伝える」ためには、「伝わったか?」の確認方法、確認指標を作る事が大事ではないでしょうか?この確認をしなかった為に発生するトラブル。そのトラブルによる、時間のムダ、ストレス、信用の失墜などを考えると、もっと「伝わったかを確認する事」に関心を持つべきなのでしょう。
「伝えた」だけでは、単なる自己満足で終わってしまうのですから。
「言った、言わない」などという単純なトラブルが私達のモチベーションをもっとも低下させていく事になるのですから、「伝わった事の確認」にもっと関心を高めていく必要があるのでしょう。