モチベーションは楽しさ創造から

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恐怖心は人生の一番の友人であり、敵でもある

昨日、テレビを見ていたら、カス・ダマトの名言を久しぶりに聞きました。カス・ダマトとは、ボクシングのマイク・タイソンを育て上げた名トレーナーです。彼の名言とは「恐怖心というのは人生の一番の友人であると同時に敵でもある。ちょうど火のようなものだ。」というもの。恐怖心をズバリ、表現していると思いませんか?





人間は火を上手に操ることで、ここまで進歩してきました。人間の最大の発明は火だともいわれているくらいですよね。「恐怖心」もモチベーションにとっては火と同じようなものかもしれません。



上手に使えば、モチベーションアップの最大の武器になるでしょう。逆に使い方を間違えれば、モチベーションを最低にしてしまう凶器になってしまう。モチベーションアップに取り組もうとする際、恐怖心について考えることを避けては通れません。今日は、この恐怖心の功罪をまとめていこうと思います。



みなさん、現在、何か恐れているものはありませんか?

  • 夢の挫折
  • プロジェクトの失敗
  • 上司からの叱責
  • 資金繰り
  • このままの仕事をしていった場合の自分の将来
  • 売上目標の未達
  • 同僚が先に昇進していくこと

様々な恐れが、私達にはあると思うのです。「成功を信じておけば、成功できるんだ」とNOVAの社長さんのような人は言います。(NOVA倒産は「古くさい成功哲学本」的な社是が原因ではないだろうか? )しかし、この恐怖心を消し去る事は難しいものです。カス・ダマトは次のように恐怖について、語っています。

「恐怖心というのは人生の一番の友人であると同時に敵でもある。ちょうど火のようなものだ。





火は上手に扱えば、冬には身を暖めてくれるし、腹が空いた時には料理を手助けしてくる。暗闇では明かりともなり、エネルギーになる。





だが、一旦コントロールを失うと、火傷をするし、死んでしまうかもしれない。もし、恐怖心をコントロールできれば芝生にやって来る鹿のように用心深くなることができる」

カス・ダマトはボクシングを「恐怖をコントロールするスポーツ」だと言っていたそうです。「相手から殴られるという恐怖心をいかに味方につけて、自分のモチベーションに変えていくができるか」が肉体やテクニック以上に重要になってくるのでしょうね。


「恐怖」で相手から逃げ出すのではなく、「恐怖」を相手への闘争心の炎を燃やす油にする。自分で「恐怖」を自分のモチベーションにする。無謀で突進型で戦うのではなく、「恐怖から生まれる用心深さ」を持って戦う。





一般的なプラス思考は、「恐怖について考える事」を恐れて考えています。「恐怖」を考えると、その方向に物事は進むので、「恐怖」を考えてはいけないというように。私もやってみましたが、これは実に難しい。心配性の私など、このような事をやれば逆にストレスがかかる。見えるモノを見るなということですからね。





「恐怖について考えない人、恐れを知らない人」というと、精神的に強い人のように感じるのですが、私には精神的に弱い人のような気がします。私達は、「恐怖心」という事から目をそらすことなく、正面から「恐怖心」を捉えていく必要があるのではないでしょうか?





カス・ダマトは、一般的プラス思考とは逆ですね。ある意味、究極のプラス思考からもしれません。



「恐怖は友達じゃないか。人間は恐怖から逃れられない。恐怖心があるから人間は生存できているんだ。恐怖心は、人間の最大のモチベーションパワーだ。これを上手に利用しよう。恐怖を最大の友人として付き合おう」と言っているように思えます。





そこで、私達が普段見ようとしない、恐怖心の功罪についてまず整理してみました。「友人として付き合う」には、正しく相手を知っておく必要がありますからね。「恐怖」は強烈な毒にも薬にもなるものです。





  1. 戦う事を決意させ、闘争心に火をつける
    ボーっとした私でも、後ろが崖という状態で熊に出会ったとしたら、何とか戦おうと、日頃持っていた以上の力を出して戦おうとすると思います。恐怖心が、私達が日頃持っているパワーを最大限に引き出してくれるのも事実です。


  2. 危機感を生み出し、未来への努力を促進させる
    未来への恐怖が全くなければ、未来への努力などせずに、一日ゆったり過ごしていくのではないでしょうか?ビジョンや夢が強烈にはっきりしている人でさえも、今のままでは夢が達成できないかも知れないという恐怖心があるから努力をしていくのではないでしょうか?恐怖心が明日に対しての努力を生み出してくれるのです。


  3. リスクに注意を払わせる
    私達は怖いと、慎重な行動を行います。周りの状況に敏感になり、物音一つに対しても注意を払うようになります。小さい子供に車の事故が多いのも、車の怖さを十分に知らないからではないでしょうか?



  1. 逃げる事を生み出す
    恐怖が目の前に現れると、私達はその恐怖に向かって「戦う」か「逃げる」かという選択をしていきます。「逃げる」という選択が全て悪いというワケではないとは思います。逃げる事で恐怖をさける事ができるようなものであれば。

    しかし、私達は安易に逃げるという選択肢をとってしまいがちになります。逃げることができないようなものからも、恐怖で逃げようとしたりするのです。恐怖から逃げようという選択をした際に、「ホントに逃げる事で解決できるのか?」という事を自問する必要があるのでしょう。

    恐怖を感じることからスグに「逃げる習慣」のはマズイのではないでしょうか?


  2. 新しいチャレンジを回避させる(身体が動かなくなる)
    先ほどの熊の話ですが、熊が目の前に現れると、恐怖で身体が動かなく人もいると思います。過度な恐怖を感じてしまうと、チャレンジする意欲がフリーズしてしまうのです。冷静な判断ができない状況まで、恐怖心に支配されてしまうとマズイですよね。


  3. 取り越し苦労をおこさせる
    恐怖心が強くなりすぎると、まだ考える必要のない将来の事まで考えてしまうようになります。リスク意識の過剰な高まりですね。そうすると、考える必要のないリスク対応にまで時間をとられてしまい、頭を悩ませてしまいます。


  4. 過剰な恐怖の連鎖を引き起こし、恐怖が更に恐怖を大きくする
    恐怖心は、実体よりも「恐怖」を大きく見せます。過剰な恐怖ですね。私達に、必要以上の恐怖感を感じさせようとするのです。そして、恐怖心は、新たな恐怖心を引き起こします。このようになってしまうと、恐怖の奴隷になってしまい、常に恐怖に怯えた状況になってしまいます。

    恐怖の奴隷になる事を恐れて、恐怖について目をそらし、考えるのをやめようと思えば思うほど、どこかでそれを考えており、恐怖は増大していきます。



私達は「恐怖心を持つこと」を必要以上に恐れることはないのです。

恐怖心を持つ事を恐れて、それを正面から見つめることを避ければ、逆に恐怖の負のパワーの虜になると思うのです。恐怖のパワーを十分に活かし、逆に恐怖の負のパワーで自分が焼き尽くされないような、上手な恐怖のコントロールを身につけていくべきなのでしょう。





恐怖心を持つことを恐れること、恥ずかしがることはない。恐怖から目をそらさない勇気、恐怖と正面から対峙する勇気を持つ。恐怖が引き起こす事態を冷静に分析し、過大評価、過小評価をすることなく、ありのままを受け入れる覚悟を持つ事が大事なのではないでしょうか?

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