モチベーションは楽しさ創造から

自分自身のモチベーションアップ、仕事を楽しくする方法から、部下・上司・顧客のモチベーションアップのヒントとなるノウハウ、コラムをまとめたブログです

NOVA倒産は「古くさい成功哲学本」的な社是が原因ではないだろうか?


NOVAが経営破綻したNEWSが新聞、テレビで溢れています。

駅前留学という言葉を流行させた会社も、以前から、ビジネススタイルは問題視されていました。破綻のキッカケは6月の経済産業省行政処分。既存の受講者はその問題で嫌気がさして逃げていき、新規の受講者も強引に契約を取るという以前の手法がとれなくなり、顧客数が激減したのが原因でしょう。



このニュースを「モチベーションは楽しさ創造流」に、「モチベーション」という観点から分析したいと思います。

私が着目したのが、「NOVAの社是」です。


  1. 理想は実現するためにある
  2. 未来は創るもの
  3. 一人一人の自己実現の夢の集まりが組織だ
  4. 絶対ポジティブ
  5. 論破すること
  6. 自己確立
  7. 大いなるアマチュア集団
  8. ポジティブ単語の威力
  9. 前進を忘れて現状維持の発想になったとき企業は終わる

こういった、社是、みなさんどう思われますか?私は、この社是、この価値観が今回のような事態を招く原因になったのではないかと思うのです。





なんかコレって「古くさい成功本・自己啓発本」の目次のような感じがしませんか?(この社是のページを見ると、成功哲学本を読んでいる気になりますよ。一度チェックされると面白いです)





この社是について、一つずつ説明文があるのですが、これは猿渡社長が本気でこれを思い込んで、社員さんにも浸透させようという気持ちがうかがえる内容になっています。実際、猿渡社長の強いリーダーシップがこの社是を組織に浸透させることができたのでしょう。だから、急成長できた。NOVA急成長にこの社是が非常に大きな貢献をしてきたと思います。強烈なモチベーションを生み出すような社是ですよね。





この社是を社員さんに浸透させ、仕事のスタイル、価値観のスタイルにしていった。そしてモウレツに、強引に働く社員さんを作っていった。ある意味、NOVAの成長期の成功要因は、「この社是の浸透」にあったのかもしれないと思うほどです。





しかし、ある時期からこの社是が最大の失敗要因になってきたのではないでしょうか?





このイケイケ、ドンドンの社是が!





「強引な顧客の勧誘」や「顧客の都合より自分の都合を考えたサービス体制」等も、この社是を風土とした組織だったら、そうなるだろうなとも感じます。営業主体の急成長ベンチャーの経営破綻の典型パターンですよね。



「絶対ポジティブとかポジティブ単語の威力」という事が、「現実を見ない」ことや「リスクを直視しない」ことを引き起こしたのではないでしょうか?「顧客に迷惑がかかるサービス体制」への対処という事を真剣に取り組まない姿勢を生み出したのではないでしょうか?

「理想は実現する」、「論破する」といういことが、強引な営業スタイルを生んでいったのではないでしょうか?

「前進を忘れて現状維持の発想になったとき企業は終わる 」という事が、ムチャな投資を行わせていったのではないでしょうか?



たぶん、NOVAのなかにも真面目な社員さんがたくさんいたと思うのです。しかしこのような社是が浸透している会社では、そのような社員さんがまともな意見を言うと、

  • 「もっとポジティブな意見を言え!」
  • 「無理なんて言葉なんてないんだ。売上目標は、どんな手段をとっても達成しろ!」
  • 「君はどうしてそんなにリスク、リスクっていうんだ!やれば何とかなるんだ」
  • 「お客様を論破できたのか?強引さが足りないよ!」

とか上司から言われている姿が想像できたりしますよね。





私がこの社是を見て感じたのは、「自分たちの夢や理想の実現ばかりの話、自分たちが得する話ばかりが書いてあるな」ということ。もちろん、それは間違ったモチベーションだとは思いません。非常に、効果の高いモチベーション方法なのでしょう。

しかし、「自分たちの利益」を信じて、プラス思考で追求していく事がユメを実現する方法なんだということばかりを訴えていくのは、バランスが壊れすぎて危険ではないかという事です。これ、よく「カンタンに成功できる○○」なんて本にも見られる論理です。





この社是の最大の問題と思う部分は、「お客様への貢献」「お客様に喜ばれる」という部分がほとんど書かれていないのです。「お客様に喜んで頂く事が仕事の最大の喜び」のハズなのですが、猿渡社長は、そのように考えていなかったのかもしれませんね。

ホントは、「自分の利益を実現しようとすれば、それに執着せずに、他社に喜ばれることの追求」をしていかないといけないのに!社是だけみると、「他者に喜んで貰う」ことがモチベーション理由として存在していないのですよね。





これだけ、「自分たちの夢に邁進しよう」ということを社是で謳うのであれば、同じくらいの量、「お客様に喜ばれることの追求」を謳っておく必要があったのではないでしょうか?その視点の欠落、バランス感覚のなさが、「強引な営業」や「自分勝手なサービス体制」につながり、顧客からの信用を失い、経営破綻を招く結果になったのではないでしょうか?





  1. 「自分の夢・理想の実現」を徹底して、信じることで成長はできていく
  2. しかし、「他者に喜んで貰う」ということを、更にその上位目的に置かなければ、その成長は砂上の楼閣になってしまう
  3. 強烈なプラス思考、ポジティブ思考は、急成長のパワーを生み出す。しかし副作用として現実、リスクを直視しなくしててしまう。だから「現実を踏まえたプラス思考」が重要になる。(リスクを十分に検討した上で、考えるだけの対策を考え、後の実行は、「きっと、絶対にうまくいくハズだ!」という確信のとに行っていくという正しいプラス思考)
  4. 自分の中の社是(個人でいうと信条、理念、信念)の大事さ。この信念が強ければ強いほどパワーを発揮する。しかしここが誤った方向に向かってしまうと、その負のパワーも大きくなってしまうということ。

こんなことが、私達はこのNOVA経営破綻から学んでいけるのではないでしょうか?

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