モチベーションは楽しさ創造から

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一流編集者に学ぶ!一流の人と信頼関係を作るには

先日、幻冬社の社長である見上徹さんの「編集者という病い」を読んだ。

編集者という病い

編集者という病い

見上さんは、角川書店でも五木寛之さん、村上龍さん、尾崎豊さん、石原慎太郎さん、つかこうへいさん等々の著作にも関わった名物編集者で、幻冬社を数年で上場させた優れたビジネスマン。

そんな見上さんって、どんな人だろうという興味で読み始めたこの本なのですが、実に含蓄のある事が書いてあります。





私がその中で勉強になったのが

  • 売れるコンテンツ(商品)とは
  • 信頼関係を構築するには (一流の人、難しい人と)
  • 戦略思考
  • 一流の仕事とは
  • 負の感情との付き合い方
  • いい編集者(いいコンサルタント)の条件

といった部分。





その中で、今日は「信頼関係」という部分で勉強になった所を今日はご紹介。誰かのモチベーションを高めたいと思えば、その相手とどう信頼関係を作るかという事は欠かせません(『部下の「やる気」を育てる!』でも述べてますPULL型モチベーションにおいての3要素の1つ)





特に一流の人の信頼を勝ち得ることができるか?はビジネスにおいて成功要因になっていきます。保有しているノウハウなどより、どんな一流の人と信頼関係が構築できているのか?がホントのビジネスマンの価値だと言えるほどです。





見上さん、角川時代から、「角川書店」の名前で仕事ができる人とは仕事はしないという方針で仕事をされていた方。だから、ゼロから超有名作家と信頼関係を構築していき、出版まで持っていかなければならない。有名作家さんやミュージシャンはとても気むずかしい人達。当然、彼らに言い寄っていく人達はワンサカいるハズであり、信頼を勝ち得ることは生半可ではない。たくさんの著名人達と、どう信頼関係を構築していったのかというノウハウは、とても参考になりました。





見上さんの信頼関係作りのハックは、私達通常ビジネスマンが、「超優良なお客様と信頼関係を構築する」、「売れる商品を持っている仕入れ先との信頼関係を構築する」、「難しい部下をモチベーションアップしていくために信頼関係を構築する」などにも応用できる方法だと思います。「この人」とは絶対に信頼関係を構築したい!」と思う際の行動指針となるのではないでしょうか?

  1. 最高の信頼関係の状態は、「俺が言ったら、あいつは断らない」、そして「向こうが言ったら、俺も断らない」という関係
    一般的には、信頼関係というとボンヤリしたイメージでしか持っていません。だから、信頼関係を構築する為に何をやるべきかが見えてこない。
    しかし、互いに困っている状態になった時に頼まれたら、絶対に断らない関係と定義すると、「やるべきこと」が見えてくるのでしょう。


  2. 狂った人と付き合おうとすれば、自分が狂わなければ付き合えない
    一流の著者やアーチストはどこか狂っている部分があります。しかし、これはビジネスマンも同じではないでしょうか?一流のビジネスマン、社長さん達はどこか狂っている部分がある。常人と違っている部分がある。そんな人と付き合おうと思うのなら、ノウハウ本なんかの常識に頼ってはダメ。自分がまず狂わなければ、相手は心を開いてくれないという事なのでしょう。「どの程度、こいつは自分の為に狂ってくれるのか?」という事をまず踏み絵をふまされ、試される。そのテストを越えなければ、深い関係は築けないという事なのでしょう。


  3. 自分の体重をかけて相手にぶつかる
    狂っていると思われるには、自分の体重を思いっきりかけて相手にぶつかることが大事。相手に、「俺が体をそらしたら、あいつは大けがするかもしれないのに、気はたしかか?」と思わせること。

    そう相手に思って貰うには、生半可な事をやっていてはダメ。裏切られることを恐れず、自分の全体重、全人生をかけて相手に貢献しようとしていく。裏切られて、返り血を浴びる、傷を負うことを恐れては、相手に信頼してはもらえない。
    当然、自分の体重をかけて仕事をすれば、リスクは存在する。しかし、踏み込んで仕事をすることでのリスクを恐れては「決定的な信頼関係」は生み出されない。(一流の人に信頼されるには、「こいつ何で、俺のことをここまで信頼できるんだ?」と感心するほど、まず自分が狂信的に相手を信頼することが大事になるということかもしれない。)
    裸になって相手と向き合い、七転八倒する。「自分の仕事の範囲」を越えて、相手と接していく。そうすることで、相手との濃厚な関係を築くことができる。

    「ここまでしてくれたのだから、こちらも信用するしかない」と相手を追い込むほど、返り血を浴びるリスクを覚悟して相手にぶつかることなしに、信頼関係は作ることはできない。


  4. 惚れた人に親身に関わる
    「自分の体重をかけて相手にぶつかる」ことで最も具体的にできることは、相手が100やって欲しいことがあれば、「分かりました」と言ってそれを当然のようにやるということ。自分が相手に期待していることが1しかなくても、その1の為に、100をやってあげるということ。
    本を読んで頂ければ、実際、彼が著者やアーチストのためにどれだけ親身になってあげているのかが分かります。例えば尾崎豊さんなどには、麻薬問題の後、復帰に困っていた尾崎さんのために、プロダクション設立の世話から、レコード会社との交渉など、出版編集者の仕事とは全く関係ないことまで仕事をしてあげ、更に夜の付き合いも深夜まで行ってあげる。こんなことまでしてあげれば、当然、相手は信頼してくれる。

    自分ができることであれば、損得抜きで「相手がやって欲しいことは全てやってあげる」。単純なんですが、これが信頼関係作りの第1条件なのかもしれません。


  5. 結果を急がない
    「すぐに仕事にならなくていい。信頼関係さえ築いていれば、いつか必ず仕事になる」というスタンスで、信頼関係の構築をしていくということ。ビジネス的な損得が抜ける瞬間が必要だということ。
    見上さんは、「俺を感動させてくれる作品を作ってくれるのなら、 ビジネス的メリットが何ももたらされなくても何でもやるぜ」って気持ちになるそうです。

    ビジネス的メリットは結果としてついてくる。それを信じて自分の体重をかけて相手にぶつかることができるか?が一流の人の信頼を勝ち得るには必要だということ。私を含めて、実際にこれをやれている人は少ないハズ。すぐに損得を計算する習慣をまず、やめることからスタートなのかもしれません。


  6. 信頼される為のコミニケーション

    見上さんは、ファーストコンタクトは手紙を書くそうです。それも会いたい作家の全作品を読んで、1週間かけて「これを読んで落ちなかったらおかしい」と感じるほどの手紙を書くそうです。そこには、
    ・  本人が褒めて欲しいところを褒める
    ・ 本人が気づいていないところを気づかせる
    という事を伝えるようにするそうです。この2つ、実は奥が深いですよね。
    普通意識していなければ、「相手が褒めて欲しくもないところ」を褒めてしまいます。そうなれば、相手は「俺のことをこいつは分かってはいない」と感じてしまう。「褒めて欲しいところ」を確実に褒めるということは、相手をしっかり研究しなければできないもので、案外難しいものですよね。

    そして、付き合いが始まれば、「彼を刺激するようなこと」を伝え続けるそうです。「相手を刺激するような言葉」をはけなければ、相手は自分と絶対に仕事はしようとはしないという信念です。それをするには、返り血を浴びる覚悟も必要になるでしょう。しかし相手が、他の人から言われないような事を、あえて口にして刺激を提供できなければ、何も生まれてこないということなのでしょうね。

この本は面白かったので、次は「戦略」か「一流の仕事」についての部分をご紹介していこうと思います。