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落語の世界から学べること

本の著作が最近、仕事の一つになったので、改めて文章の書き方を勉強しようと思い、ビジネス書ばかりでなく、一般書も読むようになりました。





そこで、立川談志さんのお弟子さん、立川談春さんのベストセラー「赤めだか」を読みました。表現方法を学ぶつもりで読んだのですが、意外にもビジネスに役立つ事がいっぱい。

赤めだか

赤めだか

そこで、「落語の世界から学べること」について、整理してみました。

  • 落語とは業の肯定である
    論理的に考えて、やるべき事を決めて、実行する。それだけで、うまくいくのであればある意味苦労は少ないもの。
    実際は、それではナカナカ結果が出ない時も多いものです。
    逆に、カンに頼って、一発勝負で、あまり働かないで、ガーンと成功する人も存在する。
    そのようなセレンディビティは実際に、とても多かったりします。論理性に縛られる事なく、セレンディビティも大事にする。だけど、セレンディビティだけを追いかけていくと失敗する。

    ビジネスでは、論理性を追求しつつ、それに縛られずに「業の肯定」もする、心と頭の余裕が大切なのでしょうね。

  • 修行とは矛盾に耐えることだ
    これは、談志さんが弟子になる前に、必ず伝える言葉だそうです。それを弟子が了承した時点で、弟子として受け入れるそうです。弟子は、当然、その覚悟を持ち修行に入る。

    「弟子という低い視点」から見たら「矛盾」と思えること、「役に立たない」と思えることも、達人から見ると、「それが、一番大事なんだよ」という事があるからでしょう。弟子の間は、黙って、素直に学べという事なのでしょう。自分の方が「正しい」と思ってしまうと、そこで学びがストップしてしまう。だから「矛盾(オカシイと思っても)」耐えろということになるのでしょう。

    ある意味、一般のビジネスの世界では、今、これが一番欠けているのかもしれませんね。

  • 落語は俺のリズムとメロディで覚えろ
    どうしても話し方というと、内容の方に目が行きがち。

    だけど、プロの噺家になると違うのでしょうね。「リズムとメロディ」が最も大事だと言うのです。歌を歌う、楽器を演奏するように話しをしていく。プレゼンをする際も、取り入れていきたいと思いました。(落語を聞いて、リズムとメロディを勉強してみよう)

  • 師匠が弟子にしてあげるのは誉めてあげることだけ
    奥が深い。

  • 型ができていないヤツが芝居をすると形無し。メチャクチャになる。型ができているヤツがオリジナリティを出せば、型破りになる。
    「基本」をまず素直に学び、基本がパーフェクトにできるようになる。要領よく、ここを飛ばそうとすると、形無しになってしまう。これはビジネスでも同じですね。

  • 相手の進歩に合わせて教える。相手の進歩以上に教えると、混乱をする。学ぶ楽しさ、師に誉められる喜びを知るのが第一歩
    談春さんが10/24(金)いい酒!おつまみ!旅気分スペシャル!落語家・立川談春さんと居酒屋対談!をダウンロード(是非オススメ、一度聞いてください)で話しているのを聞いたのですが、伝える側と伝えて貰う側は違うということ。伝える側は、「俺を分かってくれ」と思い伝える。だから、全てを伝えようとしたがる。しかし、談志さんは違うそうです。

    10教えたい事があっても、1のレベルのヤツには1しか、3のレベルのヤツには3しか教えないそうです。7までいったヤツは、自分で勉強しようとする。こちらから教えようとしなくても、相手が困れば聞きに来るというスタンスで教えているそうです。

    レベル以上の事を教えると、教える側は満足しちゃう。だけど、教えられる側は、それが善かというと違う。確かに、知識レベルは上がるけれども、必要以上の知識があると、迷う状況になる。「今の器」をしっかり見極め、一人一人の弟子の器に合った教え方をしているそうです。だから迷わないで、突き進めることができるそうです。

    「たくさんの知識を与える事は善だ」という価値観で、どうしても考えがちだったのですが、この言葉は、ホントにズッシリと来ました。「レベルに必要な知識を与える事が善」であり、「レベルを越えた知識は、余計な世話」なのでしょうね。

    気を付けていきたいところです。

  • 相手の了見を見るためには、初日からメチャクチャ働かせてみればスグ分かる。一生懸命頑張りますなんて上っ面で言っているヒマがあるならまず働け。ダメだと思うなら辞めて貰って結構。辛抱なんかする必要はない。
    確かに、面接でいくら相手をしろうと思っても、それには限界があります。採用する前に働いて貰う。単純だけど、これが一番、相手の事が分かる方法なのかもしれませんね。

  • 己が努力、行動を起こさず対象となる人間の弱みを口であげつらって、自分のレベルにまで引き下げる行為、それを嫉妬と呼ぶんです。

    よく覚えておけ。現実は事実だ。そして現状を理解、分析してみろ。そこにはきっと、何故そうなったかという原因があるんだ。現状を認識して把握したら処理すりゃいんだ。その行動を起こせないヤツを俺の基準でバカと言う。
    グーの音も出ません。いつのまにか嫉妬してしまっている自分がいたりします。嫉妬してしまうと、感情が先に立ち、論理性が崩壊してしまいます。感情に突っ走ってしまうと、うまくいくものもうまくいかなくなります。
    自分の心に嫉妬心を感じたら、ここだけでも、何度も読み返したい部分です。

  • 世界的に大富豪と呼ばれる人達は必ず一度失敗をしています。それも大失敗です。当時の彼らにとっては、それこそ生きるか死ぬかという瀬戸際まで追い込まれます。神様はとんでもない数の人間の中から、本当にごく少数の人間を選びます。その人間達に最初に与えるのは試練なんです。才能も情熱も認めてやろう。覚悟も分かってやろう。だが、お前の覚悟以上の試練に直面した時にお前はどうするってね
    大失敗をしてしまった時、この言葉は支えになるのではないでしょうか?
    「今、大きな成功を勝ち得る為にタメされているんだ」と思うことができれば、力が沸いてきますよね!

  • 談志は天才だ。憧れるのは勝手だがつらいだけだよ。談春は談志にはなれない。でも談春にしかできないことはきっとあるんだ。それを実現する為に、談志の一部を切り取って、近づき追い詰めることは、恥ずかしいことでも、逃げでもない。談春にしかできないことを、本気で命がけで探して見ろ
    理想とする企業、理想とする先輩。それが凄い人であればあるほど、劣等感を感じてしまいます。頑張って努力しても、なかなか近づくことができない。オールマイティのそのようなモデルに、すぐに追いつく事はできません。まず、一部だけでも追いつく為に、全力で行動していく。とても大事ですよね。



他にも、たくさん、いい話が書いてあります。「変わったコーチングの本」としても、この本は良書ではないかと思います。もちろん、面白い。笑えます。