モチベーションは楽しさ創造から

自分自身のモチベーションアップ、仕事を楽しくする方法から、部下・上司・顧客のモチベーションアップのヒントとなるノウハウ、コラムをまとめたブログです

不器用な人こそ、掴めるチャンス

いろんな職場にお伺いするケースが多いのですが、どこにでもいるのが不器用な社員さん。

不器用なんで、仕事の覚えも人より遅いですし、上達するのも遅い。

そんな事もあり、社長や上司から、チーム一、怒られたりしています。





叱られ続けると、「俺は才能がないんだろうか?」「俺にはこの仕事は向いてないんだろうか?」と感じたりして、「転職をしよう」と相談にこられる人もいます。そんな人に、私はこうアドバイスをします。


「もともと、不器用なのだから、転職しても、その不器用さは発揮されるでしょう。転職先では、今より少し年をとった状況で、ゼロからスタート。そこで、また不器用さを発揮したとすると、そこでの評価先は一層、厳しいものになりますよ。」





そんな事を言うと、「不器用な人には夢も未来もないのか?」と思われる方もいるでしょう。





実は、「「不器用な人」だからできる、大きな事ができます。」という事も、同時にアドバイスさせて頂きます。




私も不器用。子供の頃から、体育にしても、勉強にしても不器用でした。仕事についてからも、そうでした。しかし、不器用だから、人よりできるようになったことが実感としてあります。

それは、「人に教える事」と「熟練する事(職人になる事」です。





「不器用な人に、そんな事ができるの?」と思われるかもしれません。私は、不器用だからこそ、「教える」事と「熟練する」という事に向いていると思うのです。





「なぜ、不器用な人は、教える事が上手になるか?」というと、「分からない事」「できない事」が人一倍分かるからです。教えるという行為は、できる人に教えるのではありません。初心者や、できない人、未熟な人に教えるのです。器用な人は、「教える」という仕事に向いていません。器用な人は、ちょっと教えて貰うだけで、トントンとこなしていきます。「躓き」が少ないのです。





どうしても、人は他人も同じようなものと考えてしまいます。器用な人が部下や後輩に対して指導すると、大きな壁にぶち当たります。「彼らが分からないところが、分からない」という壁です。この壁は、かなり大きな障害です。





一方、不器用な人はどうか?自分が上達するまでに、「人並み以上の壁」にぶち当たっています。分からないところだらけ、できない所だらけの状況からスタートしてそれを乗り越えてきているので、部下や後輩の「かゆいところに手が届く」教え方ができるのです。自分の体験から、未熟な人達の「躓き」を敏感に気づき、そのレベルに合った指導の仕方が、不器用な人にはできるのです。



もう一つ、「なぜ、不器用な人は、腕の良い職人」になれるのか?」というと、不器用な人ほど、その仕事について考えるからです。不器用な人は、普通の人より多く失敗します。その為に、「どうして失敗したんだろう。」「なんとか、人並みになるにはどうしたらいいんだろうか?」と常に考えます。


そして、人並みになるには、人一倍の努力をしなければいけないので、「人並み以上の努力をする習慣」が身に付くのです。逆に、器用であれば、結果をすぐに出せる事ができるので、失敗をうじうじ考える必要もないし、人一倍の努力もやらないですみます。不器用という才能が、「考えるチャンスと、人一倍努力しなければいけない環境」を与えてくれるのです。「必要性」は最大の母です。





以前、NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」でミシュラン三ツ星を授与された小野二郎さんが、「昔は、自分は人一倍不器用だった」という事を言われていました。日本一の職人が、若い頃は不器用だったというのです。私は、不器用だったからこそ、日本一の職人になられたのではないかと考えます。





不器用だからこそ、器用な人にはない大きな可能性があるのです。その為には、不器用だからこそ、大変な壁を乗り越えるという作業。愚直に努力をしていき、なんとか乗り越えていきましょう。人並みの仕事ができるようになるには、人より2倍の時間や努力が必要になるかもしれません。しかし、不器用さを乗り越えた暁には、「教えること」「達人の仕事」の2つができるようになっているハズです。不器用な部下を持たれている上司の方も、是非、そのような目で支援していく事が大事になるのではないでしょうか?





これら2つの仕事。企業の中においては、生産性が非常に高い仕事の一つです。不器用さができる、付加価値の高い仕事ができるまで、愚直にやり続けていきましょう。





PS
皆様のお陰で、私の本「モチベーションが上がるワクワク仕事術」第3刷が決まりました。新しくオビがつくことになり、イメージチェンジしました。引き続き応援のほど、よろしくお願いします。