モチベーションは楽しさ創造から

自分自身のモチベーションアップ、仕事を楽しくする方法から、部下・上司・顧客のモチベーションアップのヒントとなるノウハウ、コラムをまとめたブログです

幸福になれるかを左右する「比較力」

久しぶり、ブログの更新です。


毎日ブログを更新している際は、なんともなく記事が書けていたのですが、久しぶり書くとなるとなかなか原稿が進まないもんですね。


今日のテーマは「楽しさ」とも連動するであろう「幸福感」について。


皆さんは「幸福か?」と聞かれたら、どう答えられるでしょう。
10億円の豪邸に住んで、フェラーリ等の外車を乗り回していても、「不幸だ」と感じる人もいるでしょう。逆に、狭い部屋に家族4人で済んでいる人でも「幸福だ」と感じる人もいる。
そう考えると、「今どんな環境に置かれているか?何を手に入れているか」という事実よりも、「置かれている環境を、どう感じるか?どう捉えるか?」という、事実に対する心の持ち方が大切なのでしょう。


これを裏付けるように、今日のMSN産経ニュース『幸福感、最も高いのは「90代女性」 阪大が「老年学」研究会、よりよい年の取り方解明へ』という記事がありました。

『研究会の健康長寿研究によると、過去1カ月間に「気分がいい」「とても幸せだ」など肯定的感情を感じたかという質問に5段階で答えてもらったところ、70代が7・4点▽80代8・2点▽90代8・8点−と90代が最も幸福感を示す値が高かった。性別で見ると女性の方がいずれの年代でも、0・2〜1点男性を上回っていた。
 一方、「悲しい」「くよくよする」など否定的感情を感じた割合は年齢が進むにつれ低下し、70代3・2点▽80代2・7点▽90代2・3点。男性の方がいらつきなどを覚えやすい傾向が出たという。

 これらの結果について、阪大臨床死生学・老年行動学研究分野の中川威助教は「男性はどの年代でも社会的規範に敏感で、目標を高く置きがち。身体的機能が衰えたときに悲観しやすいのかもしれない」と指摘。また今回の研究で、90代では、つらいことでも人生の一部と受け止め、「ありがたい」「おかげさま」といった感じ方が強まるとする結果も出ている。』

今現在の「幸せ」に目を向けることができるか?が大切なのでしょうが、実際にやろうとすればかなり難しかったりします。

それは、どうしても私達は無意識に、ヘタな「比較」を始めてしまうからではないでしょうか?


同僚、近所の人、昔の親友、兄弟、過去の成功。
私達は無意識のうち、今の自分の状態、持っているもの等とそれらを比較してしまいます。
うまくいっているもの、うまくいったこと等と比較した瞬間、自分の置かれている状態を「あいつと比べて、私はなんて不幸なんだ」と感じてしまいます。


これは行動経済学で言うところの、認知バイアスを生み出すアンカリングに似ています。
メニューが2つあるとします。

  • 1つが「1500円のスペシャルラーメンと500円のラーメン」が書いてあるメニュー。
  • 2つめは「350円の格安ラーメンと500円のラーメン」が書いてあるメニュー。

2つのメニューにある同じ500円ラーメンに対して、私達の感覚は違って捉えます。
1つめの500円ラーメンは、1500円のラーメンが比較対象のアンカになっているので、「このラーメンは安いな」と感じる。
2つめの500円ラーメンは、350円の格安ラーメンがアンカになっているので「高いな」と感じる。
同じ500円のラーメンでも、何がアンカになっているかで、高く感じたり、安く感じたりするのです。


私達は、比較することによって、正確な事実を認知することができなくなり、ホントの「事実」が歪曲されて見えてしまう傾向があります。


もちろん、比較は悪いことばかりではありません。
他人と比較することで、「もっと頑張らないといけない!」という進歩に向けたエネルギーが沸いてくるという部分もあります。
一方、幸福度という観点がらみると、比較することが「同じ事実を、不幸に感じさせる」原因であるようにも思えます。


そう考えると、幸せになる為のカギの一つは
上手に「比較」を自身で操れるか?
という事になるのではないでしょうか?

  • 普段の生活の中では、無駄な比較、無用な比較はせず、現状の幸福な事実に感謝する。(上を見すぎて、平凡な幸せを忘れることのないように)
  • ただ、自分の目指すものについては比較を行うことで、「もっと頑張ろう」という気持ちを沸き起こさせる。
  • また、辛い境遇の時は、もっと辛い境遇の人の事を思い出し、「今の現状でも、有り難いモノだ。まだ、やれる!」と自分を元気づける。


私達が無意識に行う「比較する」という習慣を、自分で意識的にコントロールしていく。
そんな、比較を上手に使い分ける「比較力」が、幸福に生きるには大切になるのでしょう。



私の大好きなMUSEのこのビデオクリップなどは、比較力と幸せの関係を再認識させてくれます。


新しい新刊がでます。
紹介はまた後日。

人の心を動かすリーダーの超チューニング力

人の心を動かすリーダーの超チューニング力

壁に当たっている人へ 。壁を破る為の自分戦略作り 3つのカーネル

このブログの読者の方には、仕事を楽しくしようと日々努力をされいながら、現在、壁に当たっている方もおられると思います。



「やりたい事」があるのに、なかなかうまくいかない!

そのような状態が続くと、仕事の楽しさは失われ、つまらないものになってしまいます。



そんな壁に当たったときオススメなのが、自分戦略を作るということです。







自分戦略は、特別な人だけに必要なものではありません。

「やりたいこと」が何かある人であれば

社長さんやリーダーだけでなく、新入社員も現在、就職活動中の学生さんであろうが必要になってきます。








やりたいことがある人には4種類のパターンがあります。



  1. 努力もせずに、やりたい事が実現できない人
  2. 必死に汗水たらして努力しても、やりたい事が実現できなかった人
  3. 必死に汗水たらして努力して、やりたい事が実現できた人
  4. あまり努力をしているようにみえないが、やりたいことが実現できた人

Dの人はがうまくいかないのは当たり前、説明の必要はないと思います。





とても痛いのが、Bのパターン。

頑張った挙げ句、結果がでないのですから。



ナゼ、Bの人のようなことが起こるのか?努力をするにしても、何に対して努力するか?が大切です。やりたいこと実現に向けてどんなに努力しても、自分の短所を一生懸命改善すること、苦手な事をやる事で克服しようと汗水たらしても成果は乏しいものです。「向いていない事」を一生懸命やっても結果はしれているという現実に向き合っていないとBのような人になってしまいます。





BとC,Dの人には一つの違いがあります。

その違いが「自分戦略」です。(C,Dの人には意識的に自分戦略を作っている人と、無意識的に自分戦略を作っている人がいます。)





自分戦略とは、

「やりたい事を実現する為に武器(長所」を見極め、それをどう活用するか?また短所が致命傷にならないようにどう防衛するのか?」

という事です。







人は、自分に合わない事をしても成果は乏しいものです。

どんなにやりたい事があっても、自分に合わないこと、向いていない事をやっても成果は乏しいもの。



やりたい事とやれる事(自分の個性に合うこと)のバランスをどうとるか?

を自分戦略でしっかりと決めていく必要があるのです。







ここで一つ例をご紹介。



大磯君は、物静かで、人と付き合うのは苦手。だけどとても論理性が高く、勉強熱心なタイプ。

彼のやりたいこと=税理士として独立して年収2000万を実現することだとします。

自分戦略を立てずにA君は、一生懸命、税理士の勉強をし、資格をとったとします。

そして税理士事務所で数年経験を積み、独立。



これだけで、彼のやりたいこと「税理士として独立して年収2000万」は実現するか?

残念ながら、やりたいことは実現できないでしょう。



「物静かで、人付き合いが苦手で、経験のない税理士」が独立したところで、年収2000万はとても無理。

自分戦略の練り直しが必要になります。





やりたい事を実現するには、例えば



<強みを武器にしていく>

・論理性を武器に、圧倒的な財務コンサルティング力を磨く

相続税等、得意分野を徹底して勉強して強みとする



<弱みをカバーしていく>

・税理士事務所の顧問先を開拓することのできる突破力のある人材の確保

・顧問先といい人間関係を作る事のできる人間力のある人材の確保



などの自分戦略をもとにした行動ができていなければ、単に資格を取って独立しただけでは今の厳しい税理士業界の中ではすぐに潰れてしまうだけでしょう。

今のままでは。大磯君はまさにBの「必死に汗水たらして努力しても、やりたい事が実現できなかった人」になってしまい終わってしまいます。







「自分戦略」を箇条書きで整理してみると

  • 何をやりたいか?やらねばならぬのか?(どんなチャンスを掴みにいくのか?)
  • 実現に向けて、最強の武器になる自分の個性は何か?どう活かすべきか?
  • 実現に向けて、致命傷になる恐れのある自分の個性は?どうカバーするべきか?
  • *その為に具体的にどう行動をするべきか?



という事です。





皆さんは、自分戦略は作られているでしょうか?

これからは自分戦略を立案されていない方々の為に、その立案方法をご紹介していきましょう。







自分戦略を立案する際、リチャード P ルメルト著の「良い戦略、悪い戦略」で述べている経営戦略の3つのカーネル(核)でまとめるのがオススメです。
良い戦略、悪い戦略


ルメルトは、良い経営戦略とは3つのカーネルが整理されている戦略だと述べています。

1. 診断

2. 方針

3 行動




正しい現状分析と診断を行い、それに基づき方針を作る。

その方針を抽象的なもので終わらせずに、具体的な行動パッケージとしてやるべき事を整理する。

ということです。







自分戦略では、このカーネルをこのように応用します。



  1. 診断 (自分の個性を整理。長所として何があり、短所として何があるかを棚卸しする)

    料理を作るのに例えると、まず冷蔵庫の中にどんな素材があるかを確認するということ。

    最新心理学を使った自分診断の説明はコチラから。

  2. 方針 (やりたい事実現するために、どの長所を武器としてどう使うか?短所のうち致命傷になるものは何でどうカバーするか?)→What
    確認できた素材でどんなメニューを作るかを決定すること

  3. 行動 (方針を実現する為に、具体的にどんな行動パッケージをとるべきか?)→HOW TO
    決定したメニューをどのように調理するか?ということ





この3つを戦略カーネルとしてまとめていけばいいのです。

次回から、まず診断のところから話を進めていきたいと思います。







もし、あなたの周囲に今、壁に当たって悩んでいる人がおられたら、是非「自分戦略」を作る事をアドバイスしてあげてください。

ぶれないスタイルを持つべきか?部下に合わせるべきか?

日経ストラデジーの12月号に「叱って育てる、褒めて伸ばす 指導スタイルを決める」という特集があった。

「上司がモチベーションUPのスタイルを決めることが大切」というテーマで

「部下に合わせて褒め戸しかりを使い分ける事も時には大切だが、上司に一貫した姿勢がなく行き当たりばったりの対応していては部下は混乱し、不公平感も募る。」

だから、「自分は褒めるタイプのリーダーになるのか?叱るタイプのリーダーになるのか?」という指導スタイルを決めろといった内容でした。

叱って育てるリーダーの事例、褒めて伸ばす事例もいくつか紹介されていました。





この特集、いろいろ考えさせられる内容でした。





叱られるのが大嫌いな私は「叱るばかりのリーダー」なんて絶対に嫌。

この特集を読んだリーダーで「俺は叱るばかりのリーダー」になろうと決意して、叱ってばかりの上司の下で私がサラリーマンとして働かないといけないという状況になったら、正直、すぐに退職したくなるだろうな。

読者の中にはそんな私とは逆に、そんなリーダーの下で働きたいという人もいると思います。







この記事を読んでの最初の印象。

指導スタイルって、リーダーが勝手に決めてうまくいくほど甘いものじゃないのではないか?ってことです。

与えられた人材というコマを考えた時に、私みたいなタイプばかりがコマとして揃っていれば「褒めるを中心にしたリーダー」を演じる必要があるでしょう。

逆に単刀直入に叱って指導されたいと思っているタイプばかりがコマとして揃っているのであれば「叱るを中心にしたリーダー」を演じる必要があるでしょう。

部下のタイプに合わせて、いろんなタイプを演じることができるのがリーダーの器だ。

そんなこの記事に批判的な視点もあると思います。





一方、部下育成で苦労しているリーダーが多い現実から考えると、この主張もまんざらオカシナものではないかもしれないという視点捉えることもできます。

たしかに「俺のスタイルはこうなんだから、お前らは俺に合わせろ!」というのは難しいと思います。

しかし、上司のスタイルに合わせて、部下を集めていくという考え方を取り入れることができる職場であれば、このやり方は最も効率的ではないか?上司が、あまり部下育成で気苦労をしなくていいからです。





「褒めるを中心にしたリーダー」の下には「褒められて伸びる人」ばかりを配置していけばうまくいくでしょう。

「叱るを中心にしたリーダー」の下には「叱られて伸びる人」を配置していけばうまくいくのでしょう。





上司の個性・スタイルと部下の個性がピッタリくるような人ばかりを配置できる職場であれば、この主張はとても素晴らしいと思います。しかし、上司の個性・スタイルと全く異なる個性を持った部下がいる職場だと、この理論は破綻してしまいます。







皆さんの職場はどうでしょう?

皆さんの個性、スタイルとあった部下が揃っているでしょうか?

皆さんの個性とあったスタイルの上司の下で働いているでしょうか?







  • リーダーの、部下の個性への対応力で組織を引っ張るか?
  • リーダーの個性に合わせた「採用・配置」を工夫する事で組織を引っ張るか?

この2つの選択肢を考える前に、前提としては

「上司である自分の個性と、部下の個性を正しく把握する事」が必要になってくるのでしょうが…

ホントは、同じ褒めるにしても部下の個性タイプによって褒め方も違うし、叱るも同様。モチベーションUPのやり方も「叱る」「褒める」だけでなく、いろんなやり方があるので本誌の記事のように2つに二分してスタイルを決めていくのも、正直どうかとは思いますが…



いずれにしろ、考えさせられるテーマでした。





個性を、人格適応論を使って分析するシステムとして、私達はUPシステムというものを開発しました。

UPシステムの概要はこちらに詳細をまとめていますのでご覧ください。

楽しく仕事をするための、もう一つの条件

久しぶりのブログです。

ブログを休んでいる間に何をやっていたかというと、「人の個性最大活用」をテーマにした商品開発を行っていました。

再開ブログでも、まずはこのテーマを取り上げたいと思います。

ブログテーマの「モチベーションは楽しさ創造から」をライフワークとして今でも研究を進めているのですが、昨年少し壁を感じていました。


私は「楽しさ創造」という事から
「仕事を楽しくすることができれば、無理せずとも自然にモチベーションは上がる。
どんな仕事でも、工夫次第で楽しくなってくる。」
と語ってきたのですが、この考え方だけでは限界があるのでは?という事です。



「仕事を楽しくする工夫がある力」を持っていても

その人の個性に向かない仕事が割り当てられたらどうか?

ということ。



例えば、雑誌を作る仕事をやっているAさんがいます。

彼は、広い視野で社会が何を求めているかを察知する力は高く、それをコンセプトにまとめ、読者が興味を持つようなテーマ設定は得意。一方、漢字の間違いやタイプミスなどを発見する校正の仕事は苦手です。
そんな彼に、会社の方針で校正の仕事ばかりを割り当てたらどうなるでしょうか?


Aさんが楽しさ創造力が高く「校正の仕事を楽しくする工夫」をどんどん行っていったとしても、モチベーションを維持するのはどうでしょうか?個性の合わない校正ばかりをやらされたのでは、結果も出てこない。「ミスばかり」で上司から叱られるばかりで、認めてくれない。そうなると次第にモチベーションも下がってくることになっていくのが普通でしょう。




個性の合わない上司のもとで仕事をやるとするとどうか?

そのAさん、仕事の割り当てが代わりコンセプト作りやテーマ設定を行う仕事になったとします。Aさんは明るく、面白い事が大好き。また正義感も強く、社会に貢献で、それが自分が興味があり楽しいと感じる事であれば、何日も徹夜して仕事をしたとしても苦にならないタイプ。


そんなAさんの今度の上司は、Aさんとは全く異なるタイプ。
金になる事であれば、多少のウソをついても何とかしろというタイプ。多少社会的に問題があろうが、その内容が自分には全く興味のない退屈な話であろうが、お金になりそうと感じれば「ガンガンやる!」と考えるタイプ。

会社からは、しっかりと利益に貢献してくれるリーダーと評価されており、厚い信頼を受けている。


こんな上司の下に配属されたAさん。当然、上司と日々、衝突してばかり。


Aさんの考えている良い仕事と、上司の考えている良い仕事が全く違っており、相性が非常に悪い関係。こんな状態で、Aさんが「仕事を楽しくしよう!」と工夫をしても、どうしても限界が発生してくるのです。


実は、業種は異なるのですがAさんのような方から相談を1年ほど前に受けました。様々な「仕事を楽しくする工夫」をアドバイスさせて頂いたのですが、最終的にはその方は「仕事た苦しい!」と職場をやめてしまいました。




この失敗は、仕事を楽しくするという事を考える上で大きな気づきを私に与えてくれました。、それは「仕事を楽しくワクワク働き、結果高い生産性を生み出すには2つの条件が必要になる」という事です。
-個人の楽しさ創造力のUP (仕事を楽しくする工夫をする力)


-個性を最大活用するマネジメント
(個性にあった仕事、個性を引き出す上司、自分の個性と周囲の個性を理解した上での個人の自分戦略)


の2つの両輪が欠かせないということ。



今までは「個人の楽しさ創造力」ばかりを研究していたのですが、この事に気付き


1年間ブログを休ませて頂き「個性を最大活用するマネジメント」の研究を行わせて頂くことになったのです。

「個性を最大活用するマネジメント」とは、次回以降、ご紹介させて頂きます。

杉内問題に見る 人事制度がもたらすリスクと「感」の大切さ


私の大好きな、ソフトバンクホークスのエース 杉内投手がジャイアンツに移籍することになりました。
ホークスファンの私としては非常に腹立たしいニュースなのですが、
こんな事で腹を立てると精神衛生上良くないので、自分の仕事に活かそうと思い、
この事件を分析してみました。


「生涯ホークス一筋」といった杉内選手が、なぜホークスに見切りをつけたのか?
これは、一般の企業においても、とても勉強になる事例だと思います。



ホークスは、ジャイアンツより高い給料で残留をオファーしたそうなのですが、
それも空しく、彼はジャイアンツに…


彼が見切りをつけた最大の理由は「人事評価と給料制度」。

去年から導入されたこの制度。
本来は
・選手のモチベーションを高めること
・有力選手を育て、引き留める
という事が目的だったと思うのですが、それが完全に裏目にでて、FAで出て行く選手は、
海外に行く和田、川崎までいれると4名も流出させるという本末転倒の事態になっています。


どんな人事制度かは、詳細にははよく分かりませんが、IT企業であるソフトバンクですから
・実績をしっかり数値化し
・数値をもとに評価が決定し
・評価に基づき、給与が上下していく
論理的にはしっかりとした人事評価制度と給与制度ができていたのではないでしょうか?

しかし、この制度が今回の杉内投手の退団の最大の引き金になったそうなのです。


これ、実は人事制度を更新した企業においても同じようなトラブルは多いんです。
「良かれ」と思った制度が、逆の副作用を起こしてしまい組織を崩壊させてしまうケース。



人を雇っている立場に立つと、給料を決めるという作業は、ある意味、最もメンドクサイ話。
しっかりと「社員の実績を数値化し、見える化し、それに応じての給料体系を作る」。
こんな制度を作り、機械的に評価ができていくとなると、ある意味理想的なものなのです。
論理的にも筋が通っており、確実に社員の業績をしっかり掴んでいるのならば、
社員は納得してくれ、公平感を持ってくれるのではないかという期待の上で
このような制度を作るワケです。


しかし、実際にはどうか?
多くの場合、なかなか上手くいかないケースも多い。


このような問題が発生するのは、実は評価制度や給料制度の内容が原因ではありません。
中身よりも、実は、評価制度、給料制度の作り方の部分で問題がある場合が多いのです。


評価制度や給料制度は、正直、
絶対公平なモノ、誰でもが納得してくれる制度などありません。
誰かが不公平と思い、誰かが納得しないような制度になってしまうものです。
私達は神様、仏様ではありませんので、社員の動きを隅々まで
(影でどんなにチームに素晴らしい影響を与えるような動きをしているかなど)
は把握することなどできません。
それを無理に制度の中に入れることもできませんしね。


大切なのは制度を構築する側、それを運用するが、
「制度は完璧なモノではない。どこかにはしわ寄せがきてしまうもの」
という認識をしっかりと持っている事だと思うのです。


人事評価や給料制度の構築に対して最も大切なことは「公平感と納得感」。
全ての人が公平、納得するものはできませんが、
「感」を感じるモノ、「公平感、納得感」があるものは可能。

「感」作りを大雪にしていくと、、
・制度を作る際に、自分達や識者(コンサル等)だけで作るのでなく、
働いている側も巻き込んで制度設計を作ろう!
・運用に当たって問題も出てくるであろうから、
耳を傾ける態度はしっかりとり、修正ができる部分は修正していく。
修正ができない部分であれば誠意を持って説明を行っていく。
という事になると思うのです。



昨年契約更改の不誠実交渉で対立ムードに…溝埋まらず ― スポニチ Sponichi Annex 野球
http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2011/12/20/kiji/K20111220002276290.html
残念ながら、ソフトバンクでは制度に自信を持ちすぎていたのでしょう。
担当者は昨年の交渉の席で、テープレコーダーで録音しはじめたり、
彼のプライドをズタズタにするような発言をしたと言われています。
(制度は、誰にどのように面接させるかも含めての制度ですよね。)



人は「理性の生き物ではなく、感情の生き物」です。その事を理解しておき、
1. 制度作りの際に、杉内選手をはじめ選手代表を巻き込んで制度を作り
2. 制度運用者に、しっかりと「人は感情の動物であり、制度に不満等があればしっかりと親身になって聞き
少しずつ納得できるものに年々改善していこう」と
教育をしていけばよかったのにと思います。


人には「認知不協和」という傾向があります。
一度、自分が態度を明らかにすると、その態度をずっと保とうとする傾向のことです。
例えば一度、YESという態度を表明したら、
なかなかYESという態度を変えようとはしないということ。


今回、杉内選手を制度作りに巻き込んで、
制度作りの際にYESという態度を表明させておけば、
今回のようなトラブルはなかったと思うのですが残念です。

しかし、これはソフトバンクホークスだけの特別な話ではなく、
「人事評価、給与制度」を変更した会社の多くでも見られる事。
他山の石にしたほうがよい話だと思います。


みなさんの会社も、人事評価制度設計等を行う際は、社員の意見。
特にエース級の社員、みんなのリーダーとなっているような社員も巻き込んだ制度作り。
そして、評価をする人の教育をしっかりして望みましょう。
モチベーションアップを図って「社員にとってよかろう」と思った制度改革が
モチベーションを下げるどころか、エースの退団にまで及び
収益性を大きく脅かす事態になるということです。
それが今回の杉内事件から学べる教訓でしょう。

良い勉強になったと思えば、大失態を犯した球団にも、少し怒りも収まってきます。

困難を乗り切る為の、幸福感応度UPトレーニング

私には、6〜7年に1回、マイブーム(ふるいな〜)として「中村天風ブーム」がやってきます。
人生や仕事において、壁に当たっている時、困難に出会っている時、ふと中村天風先生の事を思い出し、天風先生の教えを実践することになる。実践後数ヶ月経つと、いつのまにか苦しかった困難を乗り越えており、恩知らずにも私の中でブームが去っていくのです。
こんなことが既に4、5回ほどあったと思う。


今回の私の中での中村天風ブームの中で、実践しているものは「現状を感謝し、現状を喜ぶことにより、絶対積極的な気持ちを保つ」という事。(これを私は「幸福感応度UPトレーニング」と読んでいます)


この「幸福感応度トレーニング」をやってみての感想、気づきをまとめてみました。
今、壁にぶつかっている人へのヒントになるかもしれません。



1. いつのまにか幸福感応度がメチャ落ちていた
皆さん「嬉しかった!」、「有り難いなぁ」、「楽しいなぁ」、「良かった」等の幸せを感じる瞬間が一日に何回ありますか?
意識しながら一日を過ごしてみると、案外、この回数が少ないんですよね。


例えば、ご飯を食べる時どうですか?よっぽど美味しいと思うような食事にあたらない限り、「ふーん」と何も感じずに食べてしまっています。「今日も美味しいお米食べて嬉しいなぁ」とか「今日もご飯作ってくれて、ホントに感謝」なんて気持ちは、頭では分かっているのですが、実際日々の中では感じる事を忘れていたりします。


ホントは、「嬉しかった!」、「有り難いなぁ」、「楽しいなぁ」、「良かった」と感じるチャンスに沢山出会っているのですが、私達はそれに慣れっこになっています。私は幸福を感じる力を幸福感応度と呼んでいるのですが、それが年を取るにつれ、ドンドン落ちている事に気付きました。
幸福感応度が落ちているために、日常の中で「幸せだな」と喜びを感じる回数がドンドン減っている。


逆に、不幸感応度が上がってきていたりする。
不幸感応度とは幸福感濃度とは逆に、「頭にくる!」「どうしよう不安だ」「イライラする。」「落ち込む」等の不幸な気持ちを感じる力のことです。
飛行機の隣に座っている図々しい男にイラッとき、長い踏切での停止に頭に来るなど、どうでもいいような事で不幸感をちょっとずつ増やしていったりしているんですね。



皆さん、自分の幸福感応度は上がっていますか?不幸感応度は下がっていますか?


困難に直面していると、特にこの幸福感応度が下がっています。体験もしたことがない、予想外の嬉しい出来事が発生しないと「嬉しい」という感情が沸いてこない心の状態になっていたりします。周囲で起こっている、ホントは喜んでいいような出来事が目に入ってこなくなってしまい、モチベーションがなかなか上がってこない原因にもなっています。




2 ウソでもいい。演技でもやるつもりで「嬉しい、有り難い」と思い始めると、幸福感応度は上がってくる


1のような気づきもあったので、私は何をやっている時も、思いついたら「有り難いなぁ、嬉しいなぁ」と言うようにしてみました。(口に出せないシチュェーションでは、心の中でやっています…)
例えば、

  • 朝起きた時、「ありがたいなぁ。家族みんな、元気に寝ているぞ。嬉しいなぁ。誰か一人でも病気すると大変になるんだから。」
  • おしっこをしている時も「ありがたいなぁ、気持ちよく排泄ができて、スッキリした。嬉しい。病気なんかになると、これもできないんだからなぁ」
  • などと、日常の何気ない事に「嬉しい、有り難い」を言ってみるのです。


ウソでも、演技でも、そう言っていると何も言わない時よりは、ちょっとは幸福感が増しているのが分かります。 (もちろん最初は、大きな幸福感は感じませんでしたが)
そしてその繰り返しが、ウソがホントに変わるというか、ホントに幸福感が増してくることが実感できてきました。
何気ない日常の中で、幸福感を感じる事ができる数が増えてくると、ちょっと日々がご機嫌になっていきました。そして小さな幸福感の積み重ねが大きな幸福感に膨らんできました。
最近では、「せっかくの一度きりの人生。嬉しい、有り難いで一杯、喜び一杯の人生にしょう」なんて思って、全ての事をどうにか喜べないか?感謝できないか?」などと考えるようになってきました。




3 幸福感応度が上がってくると、自分のやる気がUPしてくる


「有り難い、嬉しいな」を日々の中で何度も感じるようになると、気持ちも随分良くなってきます。
小さな幸福感ですが、一日の中で何度もそれが積み重なると気持ちも前向きになってきます。
人間、ご機嫌になると、自然にやる気が出てきます。
困難へのチャレンジ意欲もわいてくるし、困難を乗り越える為のアイデアも自然にでてきます。



4 幸福感応度が上がってくると、周囲が変わってくる


幸福感応度が上がってくると、「嬉しい、有り難いなぁ」と感じる行動をしてくれた人に、何か恩返ししたくなりました。
自然に、小さな事でもその人に何かしたい。お手伝いしたいという気持ちが沸いてくるようになります。


また、何にでも「有り難い、嬉しい」という回数が増えてきたら、他人がマイナスと思っている事でさえ、自分はプラスと思う事もできるようになってきます。プラスという側面から、他人を見る事ができるようになると、相手もこちらに好感を抱いてくれるようになります。


この習慣を続けてまだ3ヶ月くらいなのですが、昨日妻から「最近、やさしいね。どうしたと?」と言われました。効果実感です。



5 感謝するとは他人の為の行動ではない。自分の為の行動である。


子供の頃から、「ありがとうと言いなさい」等の感謝の言葉を人に伝えるという事は、親や学校の先生から何度も言われてきました。
何度も言われてきたのですが、これまで「感謝は、やってくれた人に報いるための行動」のように私は捉えていました。
しかし、今回幸福感応度UPトレーニングして分かったのは、「感謝は、人の為の行動ではない」ということ。感謝とは「自分の為の行動。自分が幸せになるための行動」ということです。


感謝をするということは、自分の心の中に「ありがたいなぁ」と感じると、その後余韻として「嬉しい」という気持ちが自然に生まれます。
感謝をするという事で、特別な事がなくても、何気ない日常の中にも「嬉しい」を何度も感じる事ができるのです。
この積み重ねが日々の幸福感に繋がる。
そして、感謝をするという事で自分の人への態度が変わり、それにより運命が開けていく。そんな感じになるのではないでしょうか?


私自身、まだトレーニング中の身です。意識しないと、この事をスッカリ忘れてしまっていることもあります。
これは近年まれに見る効果があったので、これからも「幸福感応度アップトレーニングを続けていこうと思います。
(トレーニングの具体的方法は、ご希望が多かったらまた書こうと思います。)

給料を増やせない時代だからこそ考えたい。社員の幸福を中心とした経

最近アメリカで注目されているマネジメント手法として
「サイエンス オブ ハピネス」というポジティブ心理学を基本理念に置いた経営があります。


科学的に研究された幸福を実現する為の経営ということ。
(誤解ないように言っておくと、日本にある宗教団体とは全く別物です。)


代表的な企業に、ザッポスという靴のインターネット通販を行っている会社があります。
ザッポスを取り上げたビジネス書は日本でも数多くあります。
一冊ご紹介しておくとCEOのトニー・シェイが書いた
「―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか」という本。



顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか

顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか


ザッポスは、米オンラインシューズ市場で30%を越えるシェアを保有しており、アマゾンが三顧の礼で800億円で買収した事で有名です。ちなみにアマゾンはザッポスの経営に一切口をはさまいという契約のようです。


この発想は、
「企業の成長、成功は社員のやる気と成長にかかっている。
成長(成功)する社員とは、働く事に幸福感を感じている社員である。
だから、徹底的に社員が幸福感を感じる職場を作る」
ということです。


一般的な常識であれば、
「成功(成長)した結果としての果実として、幸福を手にすることができる」
ということですが、
最近のサイエンスオブハピネスの研究結果では、その常識は間違っており、
「現状に幸福感を見いだしている人が、成功する」という事が
逆の事が数々の実験から証明されています。


ザッポスの社長トニー・シェイは常に
「人を幸せにすることが企業にとって最強の戦略だ」と言っており、
これをもとに会社が構築されています。


トニー・シェイは、もちろん共産主義者でもなければ慈善家でもありません。
ビジネスマン、経営者です。
人を幸せにする会社を作る事で、様々なビジネスの計算をしています。(効果、コスト削減、売上効果等々)



「人を幸せにする」を中心にしている会社を作れば、

  • ・会社と共に社員は幸福になろうと懸命に働いてくれるし (生産性UP)
  • ・いろんなアイデアを自主的に出してくれるし、独自サービスを開発してくれ (売上UP)
  • ・監督コストも低くて済むし (管理コスト低減)
  • ・文化が人を育ててくれるので教育コストも低くて済むし (教育コスト低減
  • ・そんなに高い給料を払うわけではないので、人件費も抑えられるし (人件費抑制)
  • ・評判をもとに、高い給料で釣らなくても素晴らしい人材がどんどん入社を希望してくれる。(採用コスト減、生産性UP)
  • ・創意工夫をする社員達が「最高のサービス(ザッポス伝説)」を提供してくれるという事で、どの企業にも真似ができないマーケティング面でも素晴らしい独自性を発揮する。(売上UP)
  • ・また「人を幸せにする会社」という評判がクチコミで広がるので、広告コストが削減できる。(広告コスト削減)

というワケです。



社員からも喜ばれ、顧客にも喜ばれ、会社も儲かる仕組みとして
トニー・シェイは「サイエンスオブハピネス」を中心にした経営を行っているのです。


それでは「サイエンスオブハピネス」を中心にした経営とは、どのようなものか?
をちょっとだけご紹介していきましょう。


人が幸せを感じるとは、どのような時か?
よく「宝くじに当たった時」と言う人が多いのですが、実は違います。
「高額の宝くじに当たった人」を追跡調査した結果、
当たった当初は彼らの幸福感は高まりますが、
1年後には、一般の人と同じ程度の幸福感に下がってしまうという事
が調査結果で証明されています。


そのような「快楽」は、
インパクトは強いが、時がたてば色あせていき、当たり前になり、
幸福感を支えるものにならない。


また経営的に考えても、「快楽」の提供は金がかかりすぎます。
コスト的に合いません。
ウォールストリートのビジネスマンへの報酬のように、
何十億円の給料を払っても
瞬間的には喜ぶだけで、すぐに更なる賃金Upを求められます。
このような土俵を一端作っていくと、
際限がない人件費の高騰に繋がっていく、チキンゲーム状態になっていきます。


では、長続きする幸福感とは何か?ということで
サイエンスオブハピネスでは4つの精神的幸福を追求していく事を勧めています。

  1. 自由に生きていると感じるか? (自由さ)
  2. 自分が成長していると感じるか? (成長)
  3. 他者と深く、多数の繋がりを感じている? (関係)
  4. 自分、自分の人生に大きな意味を見出しているか? (意味発見)


快楽ではなく、
4つの精神的幸福を、
会社で、また働くことを通して提供していこうとするのです。


例えば、ザポスでは「自由さ」を社員に感じて貰うために
次のような制度を一つ用意しています。

・20のスキルセットを導入(ボーイスカウトの技術章のようなもの)
・スキルセットに対して、それを覚えていけば少額の昇給が行われる
・どのスキルセットのトレーニングを受け、
認定して貰うかどうかの判断は個人に任せる
・意欲的で20スキルをすぐに取りたい人には、それを支援するし、
必要ない人は給料そのまま
・自分でキャリアプランを選べる。会社の中での生き方を選べる



これらのような「4つの幸福感」を感じる為の制度が、
会社の中にたくさん用意されているのです。
この例のように「社員の幸福を追求する」といっても、
実は、コストが大きくかかるものではないものバカリだったりします。
まさに、経営者としての工夫ですね。


「金」を使ったモチベーションを中心に行っていたアメリカでは、
リーマンショック以降、その武器が使えなくなった。
その流れで着目されはじめたサイエンスオブハピネス中心のマネジメント。
窮することで、工夫をするようになったのですね。


日本でも給料UPの原資が厳しい時代。給料が出せないのなら、代わりにこのような経営手法の導入が必要になってくるのではではないでしょうか。