モチベーションは楽しさ創造から

自分自身のモチベーションアップ、仕事を楽しくする方法から、部下・上司・顧客のモチベーションアップのヒントとなるノウハウ、コラムをまとめたブログです

完璧なシステム化が、モチベーション低下の始まりになる

「答えのない世界」を生き抜く鉄則:ITpro から

なぜかと言いますと、ITというのはすぐ時代後れになるんです。ITは色々プラスをもたらしますが、必ず、マイナスがある。それは、人々を縛るという側面です。いいシステムをがっちり作って従業員がその通りにやり始めて、日経コンピュータ誌の評価で見ると素晴らしい、となった頃には、ITが従業員を縛ってしまい、従業員は何も考えないで仕事をやるようになってしまいます。 こういう側面を見落としてはいけません。



今見るとすごくいいシステムだと、人もうらやむシステムだと言うけれども、そうなると人は考えなくなります。そしてシステムのアウトプットだけ見るようになる。今の日本のお医者さんみたいです。患者なんかほとんど見ないで計器の数字だけを見て、「まだ生きているようですね」なんて言う。1日の変化もグラフで見ないと分からない。「ちょっとこっちを触って下さい」と言っても触ってくれない。私も少し前にバイクで足を折って入退院を繰り返していましたので、よく分かります。「もっとこっちを見ろよ」と言いたくなるんですけれども、先生は「グラフを見て判断します」とこうきますよね。 



プレゼンテーションの時に、いつもPowerPointを使っている人も同じようなことになります。そういう人を見かけると、私は意地悪をしてパソコンの電源を切ってしまう。すると、次のプレゼンテーションが何か分からないまま、しゃべっている。でも頭の中に物語はないわけですよ。こういうのが今の問題です。 皆さんはITを強化して素晴らしい情報システムを作っていかなければいけない。



そして、日経コンピュータのランキングに入る。そこまでは名誉なことです。でも、その瞬間、人間の怠惰な性癖、つまりITに人間が依存してしまうという問題に直面する。そうすると、お客さんの顔が見えなくなるとか、会社の中の深層心理が見えなくなるとか、外部への情報漏洩を恐れて、がちがちの管理ができるようにしたら、社員のほとんどは仕事をやる気がしなくなっているとか、困ったことが次々に起きる。ITによって、こういう心理面がおろそかにされるということが最大の問題です。したがって、ある時はITを使って加速する。そのITでがちがちに固まってきた時には、それまでやってきたことを破壊する。このリズムが会社の経営にとって最も大切なんです。



大前研一さんの講演です。今回は、ITの部分だけをピックアップさせていただいていますが、ホント、これ全文読まれる事をオススメです。これをベースに1ヶ月分くらいのエントリーが書けそうなほどの情報量です。

今回、取り上げている部分は、ITに関するところ。ドキッとしますね。「素晴らしいシステムが完成した瞬間」に、私達は安心してしまいます。しかし、違うんですよね。「素晴らしいシステムが完成した瞬間」から腐敗が始まるんですよね。なんか忘れてしまってました。



完璧にシステム化がされればされるほど、頭を人は使わなくなります。分析したり、論理的な仮説立案のモチベーションを低下させていきます。(人間の怠惰な性癖がでてきます。)情報漏洩を恐れて、がんじがらめの仕組みを作り、組織のモチベーションを低下させていきます。



企業のIT武装化は当然なのですが、同時に、モチベーション問題を真剣に考えていかなければ、「完璧なシステム導入」が行われたけど、利益は低下していったという事で終わってしまうのでしょう。