モチベーションは楽しさ創造から

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効率、効率ってみんなが言っている時代。あえて違う道を選ぶこと

最近、クライアントであるインプラントの歯科医院の先生と仕事をしていて、気づいたことがあります。
それが品質へのこだわりということ。
先生の品質へのこだわりは、端から見ていても尋常ではないほどです。

特殊な症例で、神業が必要とされるような手術でさえ、ミクロ単位の細かな部分を見逃さず、手術を成功させていきます。
その実現の為に、一つ一つの治療工程、あるいは道具などに対してもこだわりがあり、どんな時でも、どんな人にでも同じ品質のものが提供するためにはどうすればいいか?を常に考えいます。


そのため、衛生士さんなどスタッフなどが、少しでも気を抜いたり、手抜きをしようとしたりするのを見つけると烈火のごとく叱ります。側で叱られているのを聞いていると、側にいても怖いくらい。
しかし、これは院長の尋常でないくらいの品質へのこだわりから出てきているモノだと私は思っています。


「絶対に患者さんに噛める喜びを提供したい。最高の治療をしてあげたい。」という思いが、「一つ一つの作業を徹底的に丁寧に、こだわっていかなければいけない」という思いになり、自分にも厳しくなり、他人にも、異常なほど厳しくなる。
(この医院を手伝っているので、今話題の名古屋のインプラント医にはビックリ。この先生の品質基準の話ばかり聞いているので、ニュースを見ると唖然とすることばかり)


戦略などの話をする際、よく「差別化」という言葉がでてきます。
差別化の一つの方向性として、よく、「自社の品質」をあげられる会社さんがあります。しかし、端から見ると、「本人が思っているだけで、周囲やお客さんはそんなに高い品質とは思っていないんじゃない」って思うケースが多々あります。高い品質といっても、案外、曖昧なもんですからね。(数値化したところで、それが実現できていれば高い品質なのか?という議論もあったりします。)


そんな会社さんに質問します。「誰しもが絶対に満足できる、理想の品質水準が100とすれば、御社はいくつくらいですか?」
そう質問すると、100と答える人はほとんどいません。なぜ100じゃないですか?と聞くと、100まで追求すると、コスト面があわなくなり、売れなくなるからだと皆さん答えられます。
確かにそうなんですよね。ある一定以上までは、品質はかんたんに高めることができますが、それ以上になると、少しレベルを上げるだけでも膨大なコストがかかる。
8合目まではかんたんに上れるけれども、そこから先は100メートル進むだけでしんどいことになる富士山を登山するような話です。

どこまでの品質レベルを上げるべきなのか?こだわりを持つべきなのか?を考える際に必要になってくるのが、80対20の法則。
80対20の法則とは
・努力の20%で80%の成果が実現されている
・全体商品の20%で80%の売上が実現されている
・社員の20%が会社の利益の80%をあげている
パレートの法則とも呼ばれています。

全てのお客様の満足する品質が100だとします。
人並み、競合と同じレベル程度の品質への意識を持って仕事をすれば、同じニーズを持った人ならば80%位の満足度が提供できる水準(富士山の8合目)。まぁ、これだと損益分岐点程度の利益しかでてこない。
人の2倍、品質に対してこだわった仕事をする。そうすると、残り20%について80%の満足。すなわち96%程度の満足が提供できる。ここまでやっている人、ライバル会社は実際にはあまりいません。だから、それなりに差別化は実現ができます。しかし、絶対的なものではない。案外、すぐにひっくり返されるレベルの品質です。(富士山の9.6合目)
そこで、人の3倍品質にこだわって仕事をする。(ご紹介した私のクライアントがそうなのですが)
人の3倍の品質のこだわると、残り4%についての80%の満足99.2%の満足が提供できるようになる。ここまで高いレベルの満足を目指している人は、業界の中にも世界レベルで見ても、そんなにいないハズ。だから、世界的に評価される仕事をする人として認められる。当然、高い利益率が確保される。(富士山の9.92合目)
更に、残り0.8%を埋めようとすれば、これはビジネスとしてはどうか?という話にもなる。ここから先まで品質を追求していくことになると、収益性が非常に悪くなってしまう。


どうしても、効率優先で考えると、20の努力で実現できる80の品質で満足しがちになってしまいます。そこの部分だけを集中してやってしまおうと思う。しかし、それでは今の時代、高い利益率を得ることができず、「効率を上げても、あげても、なかなか利益が増えない」という状況になってしまうと思うのです。(ライバルが新興国の仕事になってしまう)
短時間で最大の利益をあげよう、高い利益率、効果性をあげていこうとすれば、「いったんムダと思える効率の悪い努力」に目を向け、逆にそこにこだわりを持つ。そして、99.2%の数字をあげるために必要な、「効率の悪い努力」をあえてチャレンジする。そのことが大事なのではないでしょうか?


100%満足させるということは難しいかもしれません。しかし、99.2%は満足だといわれるような品質レベルは絶対に実現させる。その為には、人の3倍品質へのこだわりを持つ。(2倍では少なすぎる。)その為に、外から見ると「過剰と思われる行動」「過剰な品質へのこだわり」、「無駄な行動」をあえて行う。それだけのこだわりを持っている人は、十分なカネも払ってくれる。
これから、勝ち残っていくためには、あえて、このようなことににチャレンジしていくのも一つの道ではないでしょうか?