モチベーションは楽しさ創造から

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派遣制度悪者論ばかりではなく、産業構造の転換を論じるべきではないだろうか?

今日の一枚カシャコのフォトログ  自然より)

http://f.hatena.ne.jp/favre21/20060801074124



今年第1回目のエントリは、別のモノを用意していたんですが、あまりに、イヤなニュースが続くモノで、一言言いたくなり、テーマ変更しました。




今年は、正月から「派遣切り」と切られた労働者のニュースばかりです。論調は

派遣切りに遭い「年越し派遣村」に入村した1人の男性に密着しました。


一方、日比谷公園では、年越し派遣村に集まった人たちなどが、派遣切りに遭った人たちの救済を求め、国会に向かってデモ行進を行った。

年越し派遣村の労働者たちは、「労働者派遣法を抜本的に改善しろ!
大企業のもうけを働く者に還元しろ!」とシュプレヒコールを上げた。

に代表されるように

  • 企業の都合で、自由に契約解除ができる派遣制度は問題である
  • 派遣社員を切る企業は無慈悲である(今まで、多大な税金を支払ってくれた企業達に)

みたいな感じばかり。そして、政府も、与野党も含めて、「派遣制度の見直し」を言い始めました。製造業への派遣見直し、焦点に 民主、規制法案検討へ

東京・日比谷公園の「年越し派遣村」に社会的な関心が集まったことなどを受け、派遣労働の見直しが政治の焦点に浮上してきた。舛添厚生労働相は5日の記者 会見で、製造業への派遣を規制すべきだとの考えを表明。民主党も独自の労働者派遣法改正案をまとめる方向で調整に入った。

ホントにそれでいいのでしょうか?確かに、現状の派遣にカンする制度は問題はあると思います。しかし、桝添大臣が言っているように、「製造業の派遣」をやめたらどうなるのでしょうか?





企業にとっては、今まで派遣で何とかしていたものを、正規雇用しないといけなくなれば、それだけで大幅なコストアップです。ましてや、円高が進行しています。輸出製造業は、アメリカなどの輸出している国から、自国雇用の確保の為、現地生産をより強力に要請されるでしょう。





そうなれば、間違いなく起こるのは、また海外に生産をシフトするようになります。せっかく、日本企業の生産拠点が国内に戻ってきていたのに・・

企業は利益を出し続けていくことが目的の存在ですから、「安くて、いい物が作れるところで作る」ということになる。そう考えると、日本に工場を建設するという立地政策は、今後、見直されるのは必死です。





マスコミが煽っている、「派遣制度=悪の制度」。これを煽れば、煽るほど、最終的には、今、派遣で働いている人達のクビを締めてしまうことになる。長い目で見ると、働く場を奪うことになる。彼らにはそれが分からないのでしょうか?ただ、ショッキングな映像が流されればそれでいいのでしょうか?





派遣制度がなくなれば、今、製造現場で働いている(働いていた)派遣の人達の多くは、景気が良くなったとしても、生産拠点の海外移転により、仕事そのものがなくなる。その対応策も議論しないまま、「派遣=悪の制度」と論をはる、国民を煽るのは、まさに無責任そのものだと思うのです。





「製造業派遣」をやめて、輸出業の工場が海外移転をしてしまった後、彼らにどんな仕事があるのか?新しい受け皿、新しい雇用の場についてのビジョンを作らぬママ、制度変更などをすると、彼らは一時的失業者ではなく、永久的失業者になってしまうと思うのです。製造業に代わる、現場の仕事を何か作らなければ・・





今、仕事がいっさいないかと言えば、そうではありません。

私は、今、農業のコンサルティングをやっているのですが、今でも、農業の現場は慢性的な人手不足です。高齢化に伴い、数年後はヤバイです。日本の休耕地から考えても、人さえいれば、もっとたくさんの食料を作ることができます。





また、医療現場、福祉の現場でも人手不足は存在します。これだけで足りないのであれば、一方、製造業から派遣切りをされた人達は職を探している。これらの人についての需給ギャップの改善について、本来は真剣に国が主導権を持ってやるべき話であり、そのビジョンもないのに、「派遣制度 悪論」を展開しても、かえって事態を悪化させるだけで終わると思うのです。





この不景気の時に、新しい産業構造の転換、労働構造の転換への政策をドンドン打ち出すべきだと思うのに・・なぜ、この国の政治、この国のマスコミは、生産的な議論、真の問題点についての議論をしないのか?対処療法的な話ばかりになるのか?不思議でなりません。