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電子書籍端末撤退。商品コンセプトが間違って他のではないか?

  電子書籍端末売れず──ソニーと松下が事実上撤退 - ITmedia News によると電子書籍端末が売れなくて、撤退だそうである。

松下は、電子書籍専用モノクロ端末「ΣBook」を2004年に3万7900円で、カラー端末「Words
Gear
」を2006年に4万1790円(直販サイト価格)で発売したが、ΣBookは数千台程度、Words Gearは約2400台しか売れなかった。Words
Gearは当初、初年度1万台程度の出荷を見込んでいたというが「専用端末の大きさや重さがユーザーに受け入れていただけなかったのだろう」と同社広報担当者は話す。



Words Gearの生産は今年3月に終了。両端末とPC向けの電子書籍ダウンロードサイトΣBook.jp」「最強☆読書生活(PC版)」も9月末に閉鎖する。携帯電話向けの「最強☆読書生活」は継続する。



 ソニーは米E Inkの電子ペーパーを採用した「LIBRIe」(リブリエ)を2004年に実売価格4万円前後で発売したが、「販売台数が伸びず黒字化できなかった」として07年5月に生産を終了した。PCとリブリエ向けに電子書籍を配信していた「Timebook
Town」(100%子会社のタイムブックタウンが運営)も来年2月末に閉鎖する。

電子書籍端末って、魅力は感じるけど、これだったら買いたくありませんよね。





商品開発を行う際に、絶対に考えなければいけない視点は、「顧客にとって、従来製品よりもどんな得があるか?」というシンプルな考え方です。これだけは、絶対に外せない考え方。





同じように、電子コンテンツ端末でiPodがある。これは、「顧客にとって、どんな得があるのか?」という視点で捉えると、従来のアナログコンテンツ機器(CD、MD、ラジオ)よりも、たくさんの「得(メリット)」がありました。だからユーザーは欲しくなり、売れたのです。

  • 外に出ていく時に、音楽をたくさん持っていきたい→

    アナログ  CDは重すぎて持ち運ぶ量に限界

    iPod     軽くて、いくらでも持ち運べる



  • 自分専用のプレイリストを作りたい→

    アナログ  MDに編集すればいいが時間がかかる

    iPod     数分でできる



  • 欲しい音楽を、便利に安く買いたい

    アナログ  CDが高い。アルバム全体の購入が必要。わざわざショップに行く必要がある。

    iPod     CDで買うよりも安い。アルバムを買わないでも、曲単位で購入可能。ダウンロードでカンタンに購入



  • 音楽だけでなく、ラジオのような娯楽も聞きたい→

    アナログ  ラジオを持ち歩けばいいが面倒

    iPod     Podcastを利用すればOK



  • 既存のアナログコンテンツをデジタルコンテンツにして再利用できる

こんな感じで、iiPodには、「アナログよりも、お得」な部分がありました。それと、もう一つ。音楽コンテンツを楽しもうとすれば、「機器」が絶対に必要であり、1万〜2万程度の費用が必要になります。iPodでは、同じくらいの金を出して、これだけのメリットを享受できる。それならば、どうせアナログ機器買うくらいなら、iPodを買いたくなります。





一方、電子書籍端末は、どうでしょうか?まず、費用の面から考えても、不利です。本を読むのに、普通は「機器」は必要ありません。それなのに、電子コンテンツとなった瞬間から、3万も4万も出さなければいけないとなると、余程のメリットがないと、電子書籍端末を買おうとは思いません。電子書籍端末の「得」は何だったのでしょうか?ipodの際の視点をベースに考えてみると

  • 外に出ていく時に、本をたくさん持っていく事はできるが、本と同じくらいの重量。

    「本は読むのに時間がかかるので、「速読力」がある人、長期出張予定の人以外には、このようなニーズは少ない。1冊しか持ち歩かない人にとってはメリットなし。




  • 便利に安く買いたいというニーズには対応しているが、何よりも、欲しい本が売っていない。買いたい本がなければ、いくら安くても仕方がない。限定されたコンテンツしか読めないというのは、何とも使えない



  • 目の悪い人にとっては、字の拡大などが便利。

こう整理するとと、ホント、電子書籍が「欲しくなる理由」がほとんど見あたりません。特に問題になるのが「コンテンツの量」でしょう。わざわざ3万以上も金を出すのですから、3万以上の得をしたいと誰もが思いますが、そのようなサービスが全く用意されていないと思うのです。3万以上機器に金出しても、それ以上得になるようなコンテンツを準備して、メーカーは機器を販売すべきではなかったのではないでしょうか?





そもそもこの商品、コンセプトが間違っていたのではないでしょうか?「電子書籍端末」というコンセプトです。「書籍」をあまりに意識しすぎたのではないでしょうか?「電子コンテンツ端末」なり、「「電子文書端末」というコンセプトで販売していれば、もっと違った展開ができたのではないかと思うのです。「書籍」にこだわりすぎているので、「出版社」という業界の壁にぶち当たり、面白いものが提供できずに終わったのではないかと思うのです。「書籍」は、単なる文字コンテンツの一つにしか過ぎないのに、それにこだわり過ぎていると思うのです。





発想を変えて、「書籍以外の文字コンテンツ」を読む為のツールとして、利用者を広げ機器の保有台数を増やすことができれば、後から出版社側も、「自分たちも入れてくれ」と積極姿勢を見せたんじゃないかと思うんですが・・



ところで、「電子コンテンツ端末」というコンセプトで、こんな商品があれば買いたいんですが、誰か作ってくれる人いませんかね?

  • 本のように見やすい形で編集された、RSSリーダー機能を搭載する事で、「無料のコンテンツを外で、大きな画面で、楽しめる」機能。(年をとってくると、PDAや携帯のような小さな文字はキツイんですよね。)
  • コンテンツを書籍だけに頼らず、ブロガーにもコンテンツを販売できる仕組みを準備してやり、コンテンツを販売していく。ユーザーは、100円単位くらいから、安く、たくさんのコンテンツを購入できるようにする機能。
  • グーグルニュースから、コンテンツまで含めて毎日、ダウンロードしてくれて、それを、電車の中で、大きな文字でゆっくり読める機能。
  • 書籍だけを読めるのではなく、音楽も楽しめる機能

電子書籍が持っていた、PDAや携帯電話よりも「大きなディスプレイ」は、目が良くない私のような人間にとっては一つの魅力だと思うんですよね。それを活かした新しいサービスができるのを期待したいと思います。