ど素人目線になるのも、簡単なようで、難しい
やったことがない人は、「新しい事」の良さを知ろうという気もありません。興味も全くありません。そのような人に、どう良さを伝えていくのか?
一般人はそこまでネットを使わない - タケルンバ卿日記は、そのような事を考えさせるエントリでした。ネットに興味のない人に対して、プロ目線のサービス説明やサービスインターフェイスが多すぎるために、一般人からスルーされているという内容。とても頷ける内容です。
全ての新しい事。新しい商品。新しいサービス。新しい仕事。新しい人間関係・・
新しい事を、誰かにやってもらおうとする事、モチベーションアップさせる事は、とても難しいものです。
新しいモノを、あなたが奨めると、やったことのない人は、
「今でも、何不自由なく、暮らしているのに、なんでそんな事しなくちゃいけないの?」
「今のサービスで満足。別に、そんなの必要ない!」
という場合が多いのではないでしょうか?
例えば、「はてなブックマーク便利だよ!使った方がいいよ!」
私も、何度もクライアントや友人に奨めているのですが、最初は、「フーン。分かった使ってみるよ」と言って、使わないという反応。内心、「ブラウザーのお気に入りがあればいいんだよ。別に不自由しないんだよ。」ってとこなんでしょう。
一般人はそこまでネットを使わない - タケルンバ卿日記に、こんな事が書いてありました。
ど素人目線になろう
最も欠けているのがこの視点。横文字にしても機能にしても、ある程度「わかっている人」向けなんだよな。「わかってない人」向けになってない。もちろんそこは「ググレカス」なんだけど、ググるのも面倒という人もいるわけだし、それでスパっと疑問が解決されるとは限らない。検索力の問題も絡んできますしね。
それに単純な話、市場として大きいのはどっちかって点もある。世の中には「わかっている人」と「わかってない人」のどちらが多いのかって話。「わかってない人」に焦点をあてたほうが、ビジネスとしては大きくなると思うんだよな。mixiはまさにそれでひとやま当てたわけだし。
もちろん「わかっている人」向けの視点も大事で、それを忘れるとコアユーザーを失うことになるから、その手当ては忘れちゃいかんけど、現状は「わかってない人」向けの視点がなさすぎるので、そっちに注力してもいい。今あるものに手を入れるんじゃなくて、初心者用の画面・ツールを別につくればいい。手間も少ないと思うんだよな。既にあるものの機能を上げるわけじゃなくて、逆に下げるわけだから。システム負荷も少ないし、コストも少ないはず。機能制限バージョンでいいわけだから。……ま、実際にやるとなると大変なんだろうけど。このあたり素人の気楽さで書いております。
そう。やった事のない人に、やらせる為には、ど素人の目が必要なんですよね。ここで難しくなるのが、ど素人の目とは何かという事になります。
例えば、あなたの会社に新卒の学生が入ってきます。当然、あなたの仕事についてはど素人。ど素人だからといって、小学3年生に話すように、仕事を教えるかと言えば違うはず。「大学生のど素人レベルの咀嚼力が彼にはあるだろう」と考えて、仕事を教えるはずです。
ど素人目線を取り入れるという事を考える際、一歩突っ込んで考える必要があります。「ど素人」とは、「どのレベルのど素人か?」という事です。人によって咀嚼力は違います。(咀嚼力については、自分の言いたいことを上手に伝える事ができますか?情報伝達に必要な2つの力)
今日、朝のワイドショーのニュースを見て、小学校の1年生の娘が、「真剣交際って何?」と聞いてきました。小学校1年生の咀嚼力では「真剣交際」という言葉は、咀嚼できないのです。「とっても大好きで、ズーッと仲良くしたいと思っていること」なんて、説明しないと分からないという事になるのでしょう。もちろん、ワイドショーは「小学校1年生の咀嚼力がある人」をど素人とは考えていないでしょう。(ワイドショーだったら、小学校3年生レベルの咀嚼力を想定しているのでしょうか?)
小学校1年生の咀嚼力に合わせて、ワイドショーが作られていたら、大人はイライラしてたまりません。「山田優。真剣交際宣言!」ではなく、「山田優!とっても大好きで、ズーッと仲良くしたいと思っているって言ってるよ!」みたいな感じで伝えていたら、「もっと簡潔に表現しろよ!時間がないんだよ」って言いたくなります。
人はワガママなものです。自分の咀嚼力以上に難しい話についてはスルーします。今、困っている事に関係していない限り、「分からないから、ちょっと調べよう」「誰かに聞いてみよう」なんていう気持ちにならないのです。自分の咀嚼力以下の話については、「もっと要領よく説明しろよ」「そんな事は説明されなくても分かっているよ」などと思ってしまいます。
ど素人というより、「どのレベルの咀嚼力」に合わせて、伝えていくかという事なのでしょう。「私が伝えたい事のど素人とは誰か?どのレベルの人か?」をしっかりイメージする事でしょう。今のネットサービスは、「ヘビーユーザーの咀嚼力」に合わせた説明やインターフェイスになっているのでしょう。だから、携帯しか使わないようなユーザーやミクシィだけしか使わないようなユーザーには理解できない状況になり、広がってい事になっているのではないでしょうか?ユーザー数を広げていこうとすると、尖った人達ばかりをターゲットにするのでは難しく、「ど素人」をターゲットにすべきなのでしょうから。
「どのレベルの咀嚼力に合わせて対応するか?」という事は、コミニケーションでも大切ですが、商品、サービス開発の上においても、とても大事な話ですよね。
話はちょっとずれますが、 強い欲求があれば、ユーザーは複雑さという壁を乗り越える - Core は別の視点で面白かったので、関連で読まれてみるのもオススメです。エロって、中学生以上誰でも分かる、咀嚼しないでいいキーワード。これは強い。
PS
私の本、「モチベーションが上がるワクワク仕事術」これからも応援よろしくお願いいたします。
- 作者: 小林英二
- 出版社/メーカー: シーアンドアール研究所
- 発売日: 2008/02/20
- メディア: 単行本
- 購入: 12人 クリック: 186回
- この商品を含むブログ (79件) を見る