モチベーションは楽しさ創造から

自分自身のモチベーションアップ、仕事を楽しくする方法から、部下・上司・顧客のモチベーションアップのヒントとなるノウハウ、コラムをまとめたブログです

人は本来、怠け者なのか?

本来、人は怠け者の生き物なのでしょうか?働くのが嫌いないのでしょうか?





企業の中で、今作られている制度や仕組みは、この「人は怠け者である。働くのが嫌いである。」という性悪説的人間観が前提に作られているものが多いと思います。





よく、人をモチベーションしていくには、「アメとムチを上手に使っていくことだ」等と言う人もいます。この思想で生まれているのが、「アメ」「ムチ」「監視」のモチベーションの仕組み3点セット。





アメの代表例が、業績給。「頑張ったら、頑張っただけ、賃金を払いますよ。」というヤツですね。企業によっては、この業績給が基本給の何倍もある会社さんもあります。

人は、アメがぶら下がっているのが見えると、初めて働こうとする。アメが見えないと、働こうとしない。アメに釣られて、それを獲得しようと懸命に働くというワケです。





アメだけではダメという事で、だいたい同時に、ムチも用意されています。業績給がある会社は、その減額も激しかったりします。成績が上がらない場合の上司からの怒鳴り声もそう。あるいは、左遷。

ムチで打たれる恐怖心で人はコントロールできる。人はムチが怖くて、一生懸命に働くというワケですね。





アメとムチを上手に使っていく為には、「監視」が必要になります。徹底して、行動や実績を監視する。「悪いことをやっていないか?」「指示通りの事を行っているか?」「与えられた目標に対して努力を怠っていないか?」を徹底監視していくのです。その監視結果に基づき、アメとムチを与えていく。しっかりとした監視が、怠ける事を防ぎ、一生懸命に働かせることに繋がるということです。





しかし、ホントに人は怠け者なのでしょうか?働くのが嫌いなのでしょうか?実は、この常識に反する行動している人もたくさんいます。

例えばオープンソースプロジェクトに参加している人達などがそうです。最も有名なのがLinuxのプロジェクトに参加している人達。彼らは、何の報酬を受けることなく、懸命に働いています。アメとムチがないんでいい加減に働いているかと言えば、MSさんで働く人達にヒケをとらない仕事をしています。





毎日、高品質のネタを書かれているαブロガー達もそうかもしれません。ブログを書いている人の中には、私のようにビジネス的要素が少し入っている人もいるかもしれませんが、全くお金に絡む話なしで、優れたエントリを日々、書かれている人達もたくさんいます。私もクライアントに、「WEBマーケティングの為にブログを書いた方がいいよ」とアドバイスをするのですが、お金を貰っている人でも、日々のエントリを書くのは大変そうです。そのような作業を、アメ(お金)も貰わずに、書籍レベルのコンテンツを毎日書く人達も大勢います。





よく海岸などのゴミ拾いをボランティアを週末に毎週行われている人達がいます。ホントに関心するのですが、コレなども、お金を貰わずにやっており、やめたからと言って誰から叱責されるワケでもない話です。それでも、プロの掃除をされる人達よりも、綺麗に海岸を清掃していかれます。





彼らの姿を見ていると、「人は怠け者である。働くのが嫌いである。」という常識は、実は違うのではないか?と感じてしまいます。もちろん、「そのような人達は特別だよ」という意見もあるかと思います。しかし、そうでしょうか?





あなたが新入社員で入社した、入社日の事を思い出してください。ほとんどの人は、入社日の入社式が始まる前の時点では、「よし。いい仕事をするぞ!」とか、「早く仕事を覚えて、人に喜ばれる仕事がしたい」とか。「せっかく自分を信じてくれた会社に何か貢献したい」とかいう前向きの気持ちだったのではないでしょうか?それが、入社式が始まってから、会社で時を過ごしていく間に、その考え方が失せてくる。





実は。会社で過ごすうちに、「人は怠け者である。働くのが嫌いである。」という価値観のもと、「アメ」「ムチ」「監督」の3点セットの仕組みトでモチベーションされていき、「働く事がイヤの怠け者になったり、働くのが嫌い」な人間になっているのではないでしょうか?





「アメ」「ムチ」「監督」の3点セットなど「力(パワー・権力)」によるコントロールが、実は、従業員のモチベーションを奪い、働くのがイヤな怠け者を作っているのではないでしょうか?





そこで、内発的動機付け的な価値観です。内発的動機付けとは、「何か(お金の為や誰かから叱られない為等のアメやムチのため)にするのではなく、したいからする」ということをいいます。



人には、

  • 好奇心
  • 好きな人の為に、何か役立ちたいという貢献への欲求
  • 自分の有能さを確信したいという有能感への欲求
  • 新しいものを吸収してい成長したいという成長への欲求

が存在します。





人は、アメとムチがなくても、好奇心があるので、見たいから見る、したいからする、知りたいから知ろうとします。

貢献への欲求があるので、好きな人が喜ぶ笑顔を見る為に、辛いことでも乗り越えてやろうとします。

有能感への欲求があるので、自分が有能である事を自分で確信しよう、人に誇ろうと、難しい事にチャレンジしようとします。

成長への欲求があるので、新しい事を吸収しようと学習しようとします。





人は、「自分を自分でのモチベーションアップしていく能力」を持っているのです。この能力をサポートしてやるのが本来は、上司の仕事です。本人が持っている内発的動機付けをサポートしてやるだけでいのです。





「人は怠け者である。働くのが嫌いである。」という価値観に基づく「アメとムチ・監視の3点セット」は逆に、その内発的動機付け能力を萎ませているのです。この3点セットは、「誰かにコントロールされている」「誰かに自分は支配されている」という感覚を生み出し、自律感を喪失させていきます。この自律感の喪失が、「好奇心・貢献への欲求、有能感への欲求、成長への欲求」を萎ませていき、「怠け者で、働くのが嫌いな人材」を生み出す結果になってしまうのです。





もちろん、「アメ・ムチ・監視」の3点セットが全く、意味がないワケではありません。「早く、一気に動機付けしたい」時などは確かに有効です。しかし、劇薬であったりする。基本的には、内発的動機付けを中心にしたモチベーションアップ手法をリーダーは身につけていく必要があるのです。



PS

私の本、「モチベーションが上がるワクワク仕事術」。増刷が決定しました。新大阪駅にあるブックセンター談さんでなんと、2位と1冊差の3位に入ったそうです。皆様のおかげです。

これからも応援よろしくお願いいたします。

めざせ!仕事のプロ モチベーションが上がるワクワク仕事術

めざせ!仕事のプロ モチベーションが上がるワクワク仕事術