専門家集団のブランディング
昨日は東京で、ある専門家集団の広報の会議に参加していました。
この専門家集団、設立して数年経つのですが、「ユーザーへの浸透が弱いので、どのようにしたらよいものか?」というのが会議テーマでした。(BtoBのビジネスの専門家です)
その中で、主催の方々が言われていたのが、「ブランディングが弱い」ということ。具体的提言として
- 直接ユーザーにブランディングしていくのも大事だが、それを広げてくれる販路関与者(ユーザー企業に影響を与える組織)が大事である
- その販路関与者を知り、効果的なアプローチが必要である
- 販路関与者は、ユーザーに専門家を紹介した時、ユーザー企業から「変な人を紹介した」と言われるのが怖いから、しっかりとした専門家サービスを提供していく必要がある
といった内容。
その議論を聞いていて思ったこと。これらの内容も確かに大事だと思ったのですが、「もっと大事なやるべき事もあるのではないか?」と思いました。
販路関与者へのアプローチによるブランディングも大事だけど、今はネット時代。
ネットをフルに利用して、直接ユーザーにブランディングしていくという作業が不足しているのではないかと思うのです。
専門家組織のブランディングは、「ブログ」の有効活用と、その統合的発信ではないかと思うのです。統合的発信とは、FPNやINSIGHT NOW!のような形で専門家達の書いたブログを、束として統合して発信していくこと。
その理由として
- 専門家のブランディングは、専門家というコンテンツの情報発信から生まれる
- 専門家集団がどのような仕事をしているかは、パンフレットやHP、メディア広告を行えば可能かもしれません。しかし、どんな専門家集団でもそうだと思うのですが、ユーザーが実際に仕事を依頼するのは、「個」なのです。
「各専門家(個)がどのようなコンテンツを保有しているのか?」がユーザーが一番興味がある部分。そして、それが集まったときに、「どんな専門家集団なのか?」というブランディングイメージが顧客に確立されていくのではないでしょうか?
その為には、専門家が自分の保有する個別のコンテンツを積極的にオープンにしていくこと。コンテンツとは、個別に保有しているノウハウであったり、実績であったり、人間性であったり、仕事への姿勢であったり。(逆にいうと、発信するコンテンツがない人を専門家と呼ぶのかという議論になったりすると思います)
集団に所属している、各専門家にそれをブログで発信させていく。各専門家の豊富なコンテンツ発信で、初めて、ユーザーから個が見えてきて、個が見えてきた結果、何ができる集団なのかがイメージされてくるのではないでしょうか?
- 専門家集団がどのような仕事をしているかは、パンフレットやHP、メディア広告を行えば可能かもしれません。しかし、どんな専門家集団でもそうだと思うのですが、ユーザーが実際に仕事を依頼するのは、「個」なのです。
- ブランディングの源泉たる専門家の商品力は、情報発信力の強化から生まれる
- ブログを発信するだけだったら、ユーザーにとって魅力のない情報発信で終わる可能性があります。そこで、はてなやNEWSINGのようなユーザーからの評価のメカニズムを導入していく。
そうすることで、組織構成員である専門家も、自分のコンテンツの市場での価値も分かり、市場で評価されるコンテンツ強化のために努力が生まれていくと思うのです。
市場での評価に基づいて、各専門家がコンテンツ強化に努力していく。ブログにより、ユーザーの声を直接聞き、各人がコンテンツ力を磨くことが、ブランディングの源泉である「商品力」を強化していく事に繋がっていくと思うのです。
専門家とは、インプットとしての勉強だけをする人では意味がありません。勉強なり、研究したものを発信してこそ、市場での専門家としての価値が生まれてくるのではないでしょうか?
- ブログを発信するだけだったら、ユーザーにとって魅力のない情報発信で終わる可能性があります。そこで、はてなやNEWSINGのようなユーザーからの評価のメカニズムを導入していく。
- ブランディングの源泉たる専門家の商品力は、横の連携から生まれる
- ブログで各専門家のコンテンツを発信すると、それを受信するのは、ユーザーだけではなく専門家の仲間もいます。
専門家の仲間同士の連携がなかなか進まないのは、各人の能力がよく分からないから。職務履歴書や会合や勉強会、飲み会での交流では、その人がホントにどんな能力を持っているのか?コンテンツをもっているのかは分かりません。
ブログのような長期に書いたコンテンツを見れば、誰がどのような力をもっているかが分かります。また、市場で評価される専門家が誰かも知ることできます。そのように横の専門家がどんなコンテンツを持っているかが分かれば、安心して協力を依頼できるビジネスの連携が生まれてくると思うのです。
また、優れた専門家のコンテンツを知ることで「市場で評価されるコンテンツというものがどんなものか?」「自分のオリジナル性を発揮する為の戦略」も学習する事ができます。学習した結果をもとに、自分のコンテンツを見直していくという、学習と成長のスパイラルを生み出していくことができるのではないでしょうか?
- ブログで各専門家のコンテンツを発信すると、それを受信するのは、ユーザーだけではなく専門家の仲間もいます。
- 専門家のブランディングは、個での発信よりも束での発信の方が効果的
- 各専門家のブログは、個々に立ち上げてもいいと思うのですが、一元でユーザーから見ることができるポータル的仕組みがブランディングには必要になると思います。束になって、その専門家集団のコンテンツを見て、その中で他のユーザーが評価しているようなコンテンツをすぐに見つける事ができる。そんなインフラを専門家集団を運営する組織は作る必要があるのではないでしょうか?(私が欲しいインフラの具体的イメージは、FPNとNEWSING、はてなが合わさったようなサービスイメージですね。)
ユーザも、調べたい、興味がある、学びたい、問題を感じている専門分野があれば、このブログポータルを訪れて学習をしていく。更に詳しく相談したければ、実際に仕事を依頼していく。
また、それらの分野に興味を持っている若い人達も、このポータルに来る事で刺激を受けてその専門家を目指してくれる。
そんな善の循環を作るポータルインフラと、コンテンツを書くことでのインセンティブの仕組み作りを組織として作っていく事がブランディングには、一番重要な気がするのです。
- 各専門家のブログは、個々に立ち上げてもいいと思うのですが、一元でユーザーから見ることができるポータル的仕組みがブランディングには必要になると思います。束になって、その専門家集団のコンテンツを見て、その中で他のユーザーが評価しているようなコンテンツをすぐに見つける事ができる。そんなインフラを専門家集団を運営する組織は作る必要があるのではないでしょうか?(私が欲しいインフラの具体的イメージは、FPNとNEWSING、はてなが合わさったようなサービスイメージですね。)
ブランディングも、従来のようなコカコーラのCMのようにガンガン流すだけの時代ではないような気がするのです。これだけネットインフラが整備された時代。古いマーケティングに加えて、ネット時代に対応したブランディングが必要な気がしますよね。ブログをバカにしている人達、組織が多いのがまだ現実なんでしょうね。私だけのブログでも月10万PV以上は来るんですから、数千人の専門家が本気でブログで発信すれば、スゴイ発信ができていくんでしょうけどね。
これは、ある専門家集団を運営されている組織の人達に対しての私の意見を書いたつもりだったんですが、書いてみるとこれ、一般企業にも大事な視点ではないでしょうか?