モチベーションは楽しさ創造から

自分自身のモチベーションアップ、仕事を楽しくする方法から、部下・上司・顧客のモチベーションアップのヒントとなるノウハウ、コラムをまとめたブログです

震災後にモチベーションアップしている組織がやっている2つの議論

震災後、多くの会社を訪問して感じるのが、やる気が3つのパターンに分かれていること。(震災とは関係ないエリアにおいて)

1つが、震災の影響など全く影響なく、震災前と同じようなモチベーションで全員が働いている組織。
2つめが、震災後に流れてくる様々な、今後を不安にさせる情報(被害状況、原発の情報、今後の経済の先行き見通し)に影響されて、元気がなくなり、仕事へのモチベーションが下がり気味の組織。
3つめが、震災を契機に「俺たちがやらなければ!」と遙かにパワーアップした組織。


皆さんの組織はどのパターンでしょうか?


気持ちがブルーになる、将来が暗くなるような情報で溢れている今。
モチベーションが下がるのは分かる。
しかし、逆に震災をキッカケに、組織各人の生き方を見直すキッカケにして、モチベーションを上げている組織もある。

だから弊社でも、「このような時期だからこそ、組織のやる気を引き上げたいので、何か研修をしてくれという」ご依頼が多い。
そこで、震災前より、やる気が高まっていると言われる組織を複数調査してみた。


調査で分かったのは、これらの会社に共通していたのは「震災をテーマに組織内でしっかりとした議論をしていること」だった。



議論のテーマは大きく2つ。
一つは、「自分達が生きている意味」「仕事を通しての自分の使命」についての議論。


今回の震災では、私達日本人は誰でも
・私達の貴重な一度きりの人生
・それがいつ終わるか分からない。一瞬で終わる。
という当たり前の事実を、改めて痛感・実感したのではないだろうか?


不幸にも、震災に巻き込まれなかった自分達。
東北の被災者の方々は人ごとでなく、明日は我が身のこと。
「これほど死を身近に感じたことはない」と日本人なら誰しも思ったのではないだろうか?


幸いなことに自分達は、生きている。
今、「生きている」という当たり前の事に「有り難いな!」と素直に感謝ができる。

そんな震災直後の今の時期だからこそ、
生きている事が当たり前ではないという事が分かった今だからこそ、
「死」から、自分達の生き方を考えることができる。

また、自分の危険も顧みず働いている原発の現場の作業員の方々、自衛隊の方々、消防士の方々等の
仕事への使命感に触れ、プロの仕事とは何かを考えさせられる今。


これらの組織では、
もし明日、同じような事が自分に起こり、死が直前に迫ったとき、
・ホントに満足できる人生だったと感じるだろうか?後悔しない生き方だといえるだろうか?
・幸運にも生かされている私達は、何をなすために生かされているのだろうか?
・そう考えると、今までのような生き方で私達はいいのだろうか?
・限りある人生の中で、今のような生活ぶり、仕事ぶりでいいのだろうか?
・限りある人生の中で、自分達が仕事を通して果たしていくべき、大切な命を使ってやるべき使命は何なのだろうか?
を真剣に議論している。


議論を通し、各人なりに人生や仕事の意味を考え、
今後の生き方について各人なりの気づきを得て、
「今のままでは後悔する生き方になる。もっと燃えて生きよう!」とやる気のエネルギーになっているのだ。



2つめは、「震災後に向けた自分達ができること」の議論。

今、被災者の方々をみて、「自分がやれる事の少なさ」という無力感にさいなまれる人が多いそうである。確かに、一個人でみると、私達

は実に非力だ。

しかし、みんなの力を合わせた組織という事であれば、個人がやれる事より遙かに大きな事を成し遂げる事ができる。
無力感ではなく、自分達のできる事の可能性を感じる事も可能だ。
今モチベーションが上がっている企業は、
「被災者の為に、私達ができることは何があるのか?」という議論を通して
「仕事を通じての貢献」の可能性を感じているのだ。


何ができるか?という議論の最初には、何かボランティアをすることができないか?寄付金ができないか?寄付金集めができないか?という話がまずでてくる。
しかし、それだけでは大したことができないという結論に、すぐにいきつくことになる。(私達の財布にはたいして金が入っていないのが現実だったりする。)

そこでもう一歩深く、「もっと私達にできる、大きなことはないのか?」と考えてみる。
そうした時、出てくる結論は1つしかない。
「組織として、一致団結して目の前の仕事を、今以上に懸命に行う事」。

今まで以上の仕事をする事を通して、
・個人ではできない、素晴らしい何かを作って、被災者に届けよう!
・個人ではできない、沢山の税金を納めることで、被災者の役にたとう!
・個人ではできない、沢山の義援金、寄付金を贈ることで、被災者の役にたとう!
ということだ。これが私達のできる最大の貢献だということだ。
議論を通して生まれてくるのは組織の「目標」なのだだ。

それも「仲間と力を合わせて、被災者の為に、自分一人ではできない大きな事を行っていこう。それが仕事ならばできる!」と、

全員が共感できる、心底達成したいと感じる目標が生まれてくるのだ。


彼らは、震災を契機に、これら2つの議論を通じ「何の為に仕事をしているのか?」という仕事の意味、「仕事を通して、震災被害者の為に○○を実現していこう」という仕事の目標を再発見することで、組織はやる気がUPしているのだ。


「仕事の意味、生きる意味、目標の発見」は、大きなインセンティブになる。
「仕事の意味、生きる意味、目標の発見」が、人が大きく成長するキッカケになる。
この事を、それら組織のリーダーは知っているのだ。



私達人間は、喉もと過ぎれば熱さを忘れてしまう。どんなに熱く、痛いことでも時が経つと忘れてしまう。

熱さを感じている今だからこそ、できることがある。
今しかできないことがある。
熱さを忘れてしまった数ヶ月後には、できない事があるのだ。

是非、このような話し合いを1日でも、半日でもいい。
みなさんの組織でも、これらの議論を膝を交えて行われたらいかがだろうか?


今回の震災は、日本人から多くのモノを奪っていった。
素晴らしい人々、貴重な財産、美しい故郷…


だからこそ、今生きているリーダーは、特に被災を受けていないリーダーはそれ以上のモノを今回の震災から学び、率いられている組織の

やる気UPに繋げ、明日を担う人材を育てる使命があると思う。
「残った我々が素晴らしい日本を作ってくれた」と、震災でお亡くなりになられた彼らが天国で言ってくれるように。