モチベーションは楽しさ創造から

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労働白書を読んで。一人当たりGDP16位の国のモチベーションとしては納得!

昨日の厚生労働省の労働白書のニュースを見て、昨年からの日本経済のいくつかの暗いニュースが私の頭の中ではリンクしてしまいました。「仕事の満足度低下」というモチベーションの問題と、シンガポールに抜かれた、日本はOECDでも16位という生産性の低さという問題のリンクです。



昨日2008年7月23日のニュース 労働白書:仕事の満足度低下 背景に非正規急増や成果主義 - 毎日jp(毎日新聞)


厚生労働省は22日、08年版の「労働経済の分析」(労働白書)を公表した。労働者の仕事に対する満足感を初めて取り上げ、雇用の安定や仕事のやりがいなどの面で満足度が低下していると指摘。背景として非正規労働の急増や成果主義賃金の導入などを挙げ、「日本的雇用制度への再評価が広がっている」と分析している。



白書は内閣府の「国民生活選好度調査」からデータを引き、「雇用の安定」について「満足」と答えた人の割合が78年の33%から05年には14.8%に減ったと指摘。同じく「仕事のやりがい」は30.5%から16.6%に、「収入の増加」も23.7%から6.2%に低下したことを示した。そのうえで「企業が仕事への意欲を高める目的で導入した成果主義賃金制度が必ずしも成功していない。賃金制度の運用改善に心がける必要がある」と提言している。

2008年7月5日のニュース。シンガポールが日本を抜く 1人当たりGDP NIKKEI NET(日経ネット)

アジア一豊かな国はシンガポール――。国際通貨基金IMF)の調査で、2007年のシンガポールの1人当たり国内総生産(GDP)が3万5000ドルを超え、日本の約3万4300ドルを抜くことが明らかになった。資源に乏しいシンガポールは積極的な外資・外国人の誘致策で経済の活性化に取り組んでおり、市場開放が後手に回った日本との違いが鮮明になった格好だ。

昨年9月のニュース ILO報告:労働生産性世界首位は米国、日本は16位 | IBTimes : 一般

 3日発表された国際労働機関(ILO)報告書によると、米労働者の一人当たりの年間生産高は世界首位であるという。また一時間当たりの生産高ではノルウェーに次いで米国が第2位となったという。


 報告書では、「米国は世界の労働生産力を先導している」と記述されていた。米労働者は年間で平均6万3,885ドルを生産しており、生産高は世界トップを記録した。第2位はアイルランド労働者で年間平均5万9,986ドル、3位がルクセンブルクの5万5,641ドル、4位がベルギーで5万5,235ドル、6位がフランスで5万5,609ドルと続いた。なお、日本は4万4,877ドルで16位であった。生産高は、一国の国民総生産(GDP)を雇用されている人口の数で割ることで産出された。


 米国は一時間当たり生産高でも日本、欧州含む先進27カ国を上回った。一時間当たり生産高ではノルウェーが1位の37.99ドル、2位が米国で35.63ドルとなり、僅差で3位がフランスとなった。1994年から2003年までは、仏労働者が平均1時間当たり生産高世界トップとなっていた。日本は25.16ドルで18位。
労働白書のニュースを読んで、変に納得できました。「こんな状況なら、GDP16位も仕方がないし、シンガポールからアジアNO1を奪われるのも仕方がないな。」と感じました。こんなに働く人のモチベーションが下がっているのに、高い一人当たりGDPを期待する方が、どだい無理の話です。仕事の多くは、特に付加価値の高い仕事であればあるほど、機械がやるのではなく、人が行うからです。



私達は、いまだに90年代始めに世界中で言われた、「JAPAN AS NO1」という事を信じ込んでいるのではないでしょうか?いまだに「世界でNO2の経済大国だから、日本国民のビジネス能力、生産性は優れている」と思い込んでいるのではないでしょうか?(私も含めてですが・・)



国際通貨基金IMF)の調査でも、国際労働機関(ILO)の調査でも分かるように、「もう日本は、平凡な生産性の国に落ちており、日本国民のビジネス能力、生産性は平凡なものになっている。上から目線は通じない。豊かになる為には、再び成り上がる必要がある」という新しいパラダイムにシフトしていく必要があるのではないかという事です。経営者層、労働者層、全てがこのパラダイムシフトができていない。過去の栄光にすがっている姿が、これら3つのニュースには見えてしまうのです。



現実は大きく変わっています。国際労働機関(ILO)報告書で考えると。日本は、ノルウェーの66%の生産性しかないという低さです。ノルウェー人が8時間働くのと同じだけの生産高を上げようとすれば、12時間働かなければならないという程、生産効率が実は悪いのです。日本国民のビジネス能力、生産性は平凡レベル、相対評価では下がってきているのです。(トヨタなどの一部の輸出企業を除き)





私達は、もう過去の栄光に浸っている余裕はなくなっているのでしょう。

労働者も、経営者も互いに大きな意識改革が必要になっているのではないでしょうか?





経営者は、自分たちのマネジメントが最高と考えずに、1970年代以前の経営者の感覚で、良いモノを他から学ぶ努力を行う。抜本的にマネジメントスタイルを見直す時代になっていると思います。「一人当たりGDP先進国」の企業のように、仕事の中で、機械やシステムでできるものは、どんどんシステム化していく。そして人しかできない仕事を、社員に行わせていく。(機械にでもできるような仕事を人にやらせても、生産性などアップするワケはありません。)





人にしかできない仕事とは、「創造性」を要する仕事であり、「コミニケーション」を要する仕事。これは機械にはできません。(単純仕事でも人が関わる限りは、創造性が必要になってくるのです。例えば、タクシー運転手の例・・伝説のタクシードライバーに学ぶ創造力 )





これらの仕事のカギは、社員のモチベーションです。モチベーション次第で、生産性は数十倍違ってくるという仕事です。「創造性」や「コミニケート力」を最大限社員に発揮させるために、もっと根本的な社員へのモチベーション方法を考えていく必要もあるでしょう。





現在の生産性の低迷の大きな原因の一つは、労働白書の中にもある「仕事のやりがいの低下」にあると思います。

単に「頑張れば、いくらでも給料を払うよ」などという短絡的なモチベーションではなく、もっと仕事を楽しくし、社員が仕事にやりがいを感じるようなモチベーション方法を取り入れていく必要があるでしょう。もう、アメとムチと監視で、人をモチベートできる時代ではないのです。もっと、経営者は「モチベーション」について真剣に学び、制度だけではなく、マネジメントスタイルの変更を行う必要があるでしょう。(「21世紀型モチベーションを考えよう」格差社会で生き残る為の5つの能力)







一方、労働者の側も、発想の転換が必要なのでしょう。もう、私達の国は豊かな国ではなくなってきた。気持ちだけでも「黙っていてもいい暮らしは絶対にできない。モウレツに働いて成り上がろう」という80年代以前の気概を取り戻さなくてはいけないのではないのではないでしょうか?このままいけば、アジア諸国の労働者達が、日本人の仕事をどんどん奪っていきます。既にシンガポールのように、私達を追い抜いた国もあるのです。





以前、私が高校の頃、矢沢永吉の「成りあがり」が発売され、若者のバイブルになりましたが、あのようなハングリー精神をもう一度、取り戻す必要があるのでしょう。そして、自分のワークスタイルを見直していく事が大事になってくるのでしょう。「働かされている」というような感覚で働いても、素晴らしい創造力は発揮できません。「机に座っているのが仕事だ」なんて感覚では、時代に合わないのでしょう。





今、日本全体で「モチベーション革命」を行っていかなければという危機感を感じてしまいます。モチベーション革命は、経営者、労働者全ての人が必要な時代ではないでしょうか?もう、豊かな国ではなくなった。私達全員が、過去の栄光にすがるのはやめて、パラダイムシフトをしていかなければならないのではないでしょうか?





このままでは、日本はどんどん落ちていく。そんな危機感と焦燥感を感じる3つのニュースです。

成りあがり How to be BIG―矢沢永吉激論集 (角川文庫)

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