会社のルールに、「ままごとの哲学」を取り入れる 「オカマ型ルール」
「会社のルール 男は「野球」で、女は「ままごと」で仕事のオキテを学んだ」という本を読みました。この本、女性の読者に対して、「会社の中で適用されている男のルール」について書かれた本。
会社のルール 男は「野球」で、女は「ままごと」で仕事のオキテを学んだ (ミリオネーゼ・シリーズ)
- 作者: パット・ハイム,スーザン・K・ゴラント,坂東智子
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2008/04/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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男はルールを「野球」などのスポーツで学び、女はルールを「ままごと」で学んでいるので、その原点から「ルール」が違っているという視点は、とても面白いものです。私も、娘が2人いるのですが、彼女たちも「ままごと」が大好き。ままごとと野球では、ルールも違い、遊びのコンセプトも全く違います。そんな視点からモノを捉えた事がなかったので、いろんな気づきを得る事ができた気がします。
この本では、「世の会社のルール」は男型のルールにより運営されていると主張しています。男のルールとは、男の子が子供の頃から親しんでいる「野球」などのゲーム体験から生まれていると主張しています。「野球」で最も大事なものは「競争に勝利すること」。勝利を目指して、一丸となってプレーをして、競争相手と戦っていくいく。こんな原体験から、「会社のルール」が生み出されていると主張しています。
私達が当然だと思っているルールの数々。
- トップの命令には、言われた通りにすること
- ライバルとは戦争している。け落としてもとにかく勝つこと
- チームワークは自分を犠牲にすること。イヤな事でもやれ
- リーダーは権力を使い、自分の指示を徹底させる
- 何が何でも目標を達成すること。その為には犠牲を厭わない
これらは、「男が作った会社のルール」だというのです。そして、これらのルールに女性も対応していかなければいけないと、この本は主張しているのですが、私がとても興味を持ったのは、対照的に書かれている女性のルール。
「ままごと」で遊ぶことではぐくまれたという「女性のルール」の方が、私にとっては勉強になりました。「ままごと」で最も大事になるのが、「協調」ということ。、勝ち負けなどは、発生せずに、参加しているみんなが協調しながら「ままごと」を楽しく盛り上げていく事がとても大事になる。「ままごと」により学んだルールとは、
- 上下関係を極力排除し、話し合いで解決する
- 競争や対立を避け、みんなが勝者になる事を目指す
- 犠牲を求めるではなく、みんなが満足できる方法を探す
- リーダーは存在しない。常に対等な力関係で動く
- 仲間と言い関係を保ちながら、各人が満足のよい仕事ができていく事がゴール
この女性のルール。なるほどなぁと思うだけでなく、実は、これから企業が新たに取り入れていくべきルールではないかと感じたのです。
男性型のルールが今も主流である事は認めますが、それが有効でなくなってきているのも現実です。男性ルールだけでは、部下のモチベーションアップが難しくなってきているのです。これら、男性ルールの原型は、軍隊。「勝利」が目的で、その目的遂行の為に徹底的に効率を追求していくという事を目指していくのでは機能していくのでしょうが、今の企業間競争は、「効率」だけでなく企業が生み出す「クリエィティビティ」が主戦場になってきています。単純に「同じモノを、効率よく拡大再生産」を追求する事だけを目指しても、儲からなくなってきているのです。
これらは、消費者の主導権が男性から女性に移ってきたことにも原因があると思います。女性は、デザインや質感など、感性を刺激するような個性的な商品を求めていきます。そのような商品を生み出していく企業になるには「女性のルール」を取り入れていく必要が出てきているのではないでしょうか?
また、女性の職場進出という現実もあります。10年前に比べて、どの職場においても女性の比率は上がってきているのではないでしょうか?当然、そうなれば、男性ルールで縛るだけでなく、彼女たちのルールを取り入れていく必要も出てくる。そうする事が、女性の能力を一層発揮させる事になる。
もちろん、男性ルールを全部なくして、女性ルールに全部変えていくことなどはできません。「効率追求」をしていく上で、男性ルールは必要であったりするからです。しかし、集団でクリエィティビティの高いものを作っていこうとする際、今主流の「男性ルール」に「女性のルール」を取り入れる、「おかまのルール」を作っていくべきではないかと考えます。
オカマ型ルールとは
- トップは命令をする前に、上下関係なく徹底して話し合い、意見を採り入れる
- ライバルとの戦争は勝たなければいけない。同時に、最上の策はライバルを仲間に取り込む事も考えていく。
- できる限り、みんなが満足できる方法を模索する。しかしいざという時、自分を犠牲にするという精神は忘れてはいけない。
- リーダーは権力を使う事を肝心な時以外は控え、部下と協調を取りながら仕事を進めていく。
- 各人が仕事に満足をしながら、何が何でも目標を達成を目指す
こんな感じになるのではないでしょうか?「野球型ルール」に「おままごとのルール」を取り入れる。何か面白そうなものができそうな気がしませんか?
PS
私の本、「モチベーションが上がるワクワク仕事術」。増刷が決定しました、皆様のおかげです。これからも応援よろしくお願いいたします。
- 作者: 小林英二
- 出版社/メーカー: シーアンドアール研究所
- 発売日: 2008/02/20
- メディア: 単行本
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