モチベーションは楽しさ創造から

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給料は低く抑えることができれば儲かるのか?安モノ買いの銭失い症候

給料は低く抑えることができれば儲かるのか?安モノ買いの銭失い症候群

今回はモチベーションに大きく関わる給料について。

今、人手不足の企業が増えてきています。理由は、ちょっと景気がよくなっていること。それと、団塊世代の退職。人手不足のトレンドは今後も進むのでしょう。そんな中、面白いニュースを見つけました。社長、人事担当者、起業家は見逃せない今週のベストエントリー10 9月2週目でも紹介した、労働力不足の虚実 (BusinessWeek):NBonline(日経ビジネス オンライン) 。この記事では人手不足を


  問題は、労働者の数ではなく賃金水準にあるのではないか。市場経済においては、「どうしようもない欠乏」というものは起こり得ない。何かが足りないのなら、もっとカネを出せば手に入れられる。雇用主が“労働力が足りない”と言うのは、要するに、雇用主側が決めた賃金の額では十分な人手が集まらないということなのだ。

この記事のユニークな視点は、この人手不足という問題を、「賃金問題」と置き換えているところにあると思います。人手不足ではなく、「雇いたい給料で人が集まらないだけであり、もっと給料を払えばいくらでも人は集まる」という考え方。経営者にとっては、「なんてバカな考え方!」と怒られる人もいると思うが、バカバカしい話でもないと思います。



私のコンサルティングを行っている、ある全国チェーンの小売店の話ですが、先日も人手不足の話になりました。関東の責任者の方の報告で、「ここ数ヶ月間、ずっと定員割れの状況で運営されているお店が数店舗ある。」との報告でした。ずっと、毎月50円くらいづつパートの時給を上げてきて、4ヶ月ほど経つが応募が数えるほどしかないとの事でした。給与水準を聞くと、エリアのコンビニと同じくらいの金額。いままで、コンビニと同じくらいの給料を出せば人が集まったといいます。





この小売店のチェーンの責任者の方は、「人件費をアップさせてしまうと、固定費増につながり、損益分岐点を大きくアップさせ、酷くなれば赤字を生んでしまう。」という従来の常識のもとに、「給料を抑えた形で、雇用確保をしていこう」と考えられていました。これってある意味、これまでの常識的な考え方だったと思います。





しかし、このような事に固執する為に、「いつまでも社員が入ってこない→入ってきても、通常よりモチベーションの低い社員が入ってくる→モチベーションが低いので仕事を教えるのも大変→そしてスグに辞めていく→また、採用が必要になる」といった負の連鎖が起こっているとすると、この常識的な考え方を変えていく必要があると思うのです。



ホントにこの考え方って正しいのでしょうか?

  • 給料を抑えた方がコストは安く収まる
  • 給料を抑えた方が儲かる

確かに、国内労働マーケットと海外労働マーケットのように市場が異なる分野での話ならそうかもしれません。しかし、同じ国内市場での労働調達という話になると、ちょっと話が違うと思います。



私は、この常識はいくつかの点を見過ごしていると思います。例えば同業種より10%高い給料を出していけば、以下のようなプラスが期待できていきます。この効果とコストというバランスを考えた時にどうでしょうか?

  1. 能力の高い社員の採用

    給料が安い会社と高い会社であれば、同じ労働マーケットの中で採用するとすれば高い会社の方が間違いない採用を行うとすれば、市場の中で能力の高い労働者を採用する事ができる。



  2. 能力の高い社員の能力発揮

    能力の高い人と低い人という比較で言えば、同業他社より給料を10%上げたとしても、それ以上の生産性に向上してくれる可能性の方が高い。また能力の高い人材は覚えも速いので、教育コストも低く抑えることができ、一人前になる迄のスピードも速い。



  3. 仕事へのモチベーションと組織へのロイヤリティ

    例え同業他社と同じような能力の人しか採用できなかったとしても、そのような人の方が仕事へのモチベーションも違うし、組織へのロイヤリティも違ってくる。



  4. 離職コスト

    安い賃金で雇った人は、「もっとよい働く環境」を探す傾向が強く、離職率も高くなる。そういった場合の目に見えないコスト、離職コストが発生してしまう。離職コストとは、離職者が発生した際の他の社員の負担増、採用募集人件費、採用募集広告費、新人への教育コスト、仕事を覚えてものになるまでの人件費。これらを考えると離職コストは、非常に大きなものになる。離職率を下げることができれば、このコストは大きく下げていく事ができる。



人手不足の時代、世の中の動向に合わせて、仕方がないからそれに合わせて給料を上げていくという形だけでは、効率のよい経営はできないと思います。

経営者のみなさん。人事の担当者のみなさん。このような人手不足の時代こそ、あえて同業種より高い給料を払うという戦略を検討されて見ることも重要だと思いますよ。