なぜ新卒の離職率悪化がとまらないのか?(学生の問題編)
景気が少し持ち直したとはいえ、未だに就職することはカンタンではない時代。
にも関わらず、厚生労働省10月29日発表したデータによれば、
せっかく苦労して就活して、就職に成功しても、3年後に辞める人は、
大卒で31%、短大卒39.9%、高卒で39.2% 、中卒で62.1%。
大卒では3人に一人が離職するそうです。
また大卒に関しては、前年に比べ2.2 %も悪化している。
なぜこんなに新卒者の離職率がこんなに高いのでしょうか?悪化が止まらないのでしょうか?
これは一部の人だけが悪いというのではなく、
国、大学、企業、学生。各ステークホルダー全員の問題として捉える必要があるのではないでしょうか?
この新卒者の高い離職率問題を、就職する「学生」に焦点を絞って問題を考えてみたいと思います。
新卒時は
「保有しているスキル・能力以上の評価を受けて、それに相応しい以上の企業に入社できる」最大のチャンス。
3年以内に離職する人は、せっかくのチャンスを無駄にしている人達です。
企業が、スキル評価抜き、将来性だけで青田買いしてくれる時期、能力に下駄をはかせてくれる時期が新卒時。
つまり実力以上に、優秀な企業に入るチャンスがある時期が新卒の時期。
年を取ればとるほど、将来性は評価されなくなり、スキルにあった企業にしか入社することはできなくなります。
3年で離職する人は、最も自分自身を高く売るチャンスを活かしきれなかったということになるのですが、
なぜこのような事態になっているのでしょうか?どうすれば防げるのでしょうか
最近、仕事で学生さんや就活中の皆さんと接している中で感じたことを、2つをまとめてみました。
今、就活中の方の参考になればと思います。
- 3年内に離職したくなければ、まず自分を徹底的に知ろう
なぜ、3年で辞める事態になるのか?
最も多いのは、働き初めてすぐに「その仕事・会社が自分に向いていない」ことを気づいたからでしょう。
今、ネットの時代。企業研究はいくらでもできるはず。
ブラック企業の情報、ホワイト企業の情報。働いている人からの生の声。ネットには企業情報が溢れています。
それらを駆使すれば、「どんな会社か?」は私が学生の頃より遙かに入手しやすいはずです。
にも関わらず、なぜ、すぐに「向いていない」と感じるような会社に入ってしまうのでしょうか?
最大の原因は、就活時に「自分のことを知らないまま」会社選びをしているからだと思うのです。
私は今、ある企業からの依頼で就活生に向けて「自分分析セミナー」をやらせて頂く機会があるのですが、
参加者に1つ質問しています。
「あなたの性格教えて?と質問されたら、自分自身の性格って幾つ言える?」
なんと学生さんは、少ない人で2〜3つしか自分の性格が言えない。多い人でも5〜6つ。
この状態で「向いている仕事」など当然、分かるわけなどありません。
仕事を楽しく、長くしていこうとすれば、
「自分に向いている仕事」「自分の性格にできる限りあった仕事」に就くことが一番です。
それなのに、「自分の性格もよく知らないまま就活に望んでいる人がこんなにいるんだ!」と正直ゾッとしました。
このようなまま、就活をしてしまうとどうなるか?想像がつきます。
自分の性格も分からないまま就活して
↓
自分に向いてない会社に入る。
↓
入社後、自分に向いてないと気づく。
↓
耐えきれずに、退職。
全ての人がそうではないでしょうが、3年以内に辞める人の一つの流れが見えてきます。
もちろん、自分の思い描いた会社に就職できた人はわずかでしょう。
就職が厳しい時代、多くの人は会社選びで妥協も必要でしょう。
しかし、自分の性格が整理できていないから、妥協の仕方もピントのずれた人が多い。
「向いてないかもしれないけど、条件がこちらの方がいいから」というように、条件を優先して妥協して会社選びを行う。
そして、入社後に後悔する状態になる人が多いようです。
本来、妥協する際は「条件よりも、少しでも自分の性格に向いている会社・仕事は何か?」を考え仕事探しをすべきなのです。
しかし、そもそも性格が整理されていないので、全く性格に合わない仕事に就き、3年内に嫌気して辞めてしまう。
「自分の情報」はネットにはありません。
自分で自分のことをしっかり見つめ、整理していくしかないのです。
就活中の皆さん。3年以内に辞めて再就職している皆さん。
向いている仕事に就には、まずは自分分析で手を抜かないこと。カンタンにできる第1歩だと思います。
自分分析の方法は「自分に向いた仕事こそ天職!向いた仕事を探すための4つの分析」にまとめています。
こちらを参照ください。
- 3年内に離職したくなければ、就活時から「一人前になるまで絶対に辞めない」という覚悟を持とう
世間に出るという事は、「我慢をしていくこと」と言っても言い過ぎではないと思います。
社長さん達、成功者の人と言えども、様々な我慢をしています。
ましてや社会にでて最初の3年間は、人生の中でも最も我慢すべきことが多い時期ではないでしょうか?
ちなみに、私もその時期を思い出せば
*月29日労働。月400〜500時間労働
*上司からの罵詈雑言
*企画書を提出しても、何度も何度も再提出を要求される
等々の、いろんな我慢をしなければいけない事に出くわしました。
全てがそうではありませんが、その多くは、あれがあったお陰で今があると思えるような事ばかりです。
一定期間の我慢、苦労の後にしか見えない「仕事の素晴らしさ」もあるのです。
我慢の後にしか身につかない「能力」もあるのです。
我慢によってしか身につかない「人間的成長」もあるのです。
これらは、どんな業界に行こうが、大なり小なりあるかと思います。
我慢などしたくない、要領よく生きたいと思い、これを避けようとすると、かえって遠回り。要領の悪いことになってしまいます。
社員満足度の高い企業、ホワイト企業などといった言葉がありますが、これらに心底関心のあある企業はごく少数です。
それを期待して会社に入社すると、大きく期待を裏切られます。
国内の成長は止まりパイをライバルと奪い合う必要のある時代。海外の安い人件費の企業と勝負しなければいけない時代です。
「自分の両親の時代より、遙かに働く環境が厳しくなっていくんだ」と覚悟して働いていった方がラクだと思います。
その為には、はじめが肝心です。
就活する段階から
「ダメだったら、また転職すればいいや」ではなく、
「一度就職すると、どんな状況であっても一人前になる迄は絶対に辞めない!どんな事があっても我慢する!」
という覚悟を持って活動していく。
それだけの危機感と「背水の陣の気持ち」で就活対象企業を見ていくと、入社した企業がブラック企業だったなんてこともないはずです。
「スキルを身につけ、どこの会社からでも引く手あまたになるまでは絶対に辞めない!我慢する」という覚悟を持ち
入社後数年間、仕事に打ち込めば、
たいていの人はそれだけの力を身につけていくことになります。
一人前になっても辞めても遅くはないはずですし、その方が市場価値は上がるのです。
(3年以内での仕事経験など、どんなに素晴らしい会社で働いていたにしても、社会においては全く評価されません。)
「逃げずに、一人前になるまで我慢する!」という覚悟ができれば、
厳しさが増していく仕事を乗り越えていくために、
どうすれば少しでも楽しくしていくか?を工夫していく!
そんな「楽しさ創造力」も身についてくるのです。