モチベーションは楽しさ創造から

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成功に執着しすぎる事が、失敗を招くことに繋がっているのではないか

プラス思考信者の方はよく、「成功することだけを意識しろ。失敗することなんて考えるな!」。失敗することを考えたら、思考が現実化して、失敗をしてしまう、なんてことを言う人がいます。私は、そんな言葉を聞く度に、どこか違和感を感じていました。



ジャイアンツのバント名人川相さんの対談「ほぼ日刊イトイ新聞 - 川相二軍監督激動史」を読んで、その違和感がふっと解けたような気がしました。



川相 で、そこまで準備しても、

最後のシーズンは、

バントしに出て行くのが

けっこう、怖かったです。



糸井 世界記録を持ってる川相さんでも、

怖いんですね。



川相 怖いです。

だって、それのためだけに行くんですから。

そこで失敗はできん! っていう

プレッシャーは、すごいです。

今まで、バントするなんてカンタンだろうって思っていて、失敗する選手なんかみると「なにやってんだ。バントもできないのかよ!」などとビールを飲みながら、批判していました。しかし、いざ、バントをする選手のプレッシャーって凄いんですよね。

自分が野球選手だと仮定して、どうだろうと考えてみました。

1点のビハインドで迎えた9回裏。ノーアウト。ランナー1,2塁であなたは代打にでる。2つのシチュエーション。

  • A サインは送りバント。 (一般的な成功確率が85%だとする。)
  • B サインはヒッティング (一般的な成功確率が28%だとする。)どちらがプレッシャーがかかるだろうかか?



私たっだら、間違いなく、Aの送りバントのシチュエーションで代打に出されたほうが緊張すると思う。多くの人もそうではないでしょうか?

なぜでしょうか?





ヒッティングのサインだったらどう思うか?ヒットを打たなければと思うというプレッシャーはあるが、それほど緊張感なく打席に入れるような気がする。ヒットを打って、ヒーローインタビューを受けているシーンを想像しながら・・・





逆に送りバントは成功するのが当たり前!と周囲も思っているだろうし、自分も「成功して当たり前!失敗など許されない」と思っているからだと思う。送りバントを失敗して、ベンチに戻って監督はじめ、チームの仲間から冷たい目を浴びるのを想像しながら・・・





こう考えると、何がプレッシャーを私達に感じさせ、「プレッシャー」にどう対応すればいいか?が見えてくるような気がします。





私達は、成功率に着目してしまい、「成功して当たり前」と感じてしまうとプレッシャーを感じてしまうという事ではないか?

逆に、失敗率に着目して、「失敗することもあるさ」と感じると、プレッシャーを感じずに行動できるのではないかということです。





例えば、営業マンの場合。「成功するのが当たり前。俺も、このお客様の受注をとって当たり前だ」と思えば思うほど、自分にプレッシャーをかけてしまい、自分の持っている力を全部発揮できない。そのプレッシャーで、どんどん仕事が面白くなくなる。

逆に、「失敗確率は、80%。うまくいかない事のほうが多い。思い切って、お客様の懐に飛び込んでいこう」と自分にプレッシャーをかけずにいったほうが、自分のセールススキルを発揮できるようになる。「5件に1件しか成功はできない。どんなセールスマンでも失敗は避ける事ができない。4件の失敗をしないと、1件の成功はできないのだから、気軽にやろう」なんて思った方が、自分の能力をフルに発揮できるのではないでしょうか?





人は「現在、自分ができること」以上のことをやろうと思っても、なかなかできるものではありません。

大切なのは、「自分ができることに関しては、全てその力を発揮すること」だと思うのです。





よく、「絶対に成功するんだ!とだけ考えろ!失敗などを考えるな」という考え方は、確かに、「やる事への執着心」を生み出してくれます。しかし、このバントの話などで考えてみると、その考え方によって、かえって過大なプレッシャーを自分にかけてしまうことになり、能力発揮の妨げになってしまっているのではないか?
逆に生産性を落としていくことになるのではないか?と考えることもできると思います。

「成功しなければいけない」と成功ばかりを意識するのではなく、「失敗してもいい」と考えながら失敗いう事を意識して、仕事に取り組んだほうが、余程生産性が高いのではないか?





川相さんのバントの話を読んで、そんな気づきを得ることができました。