モチベーションは楽しさ創造から

自分自身のモチベーションアップ、仕事を楽しくする方法から、部下・上司・顧客のモチベーションアップのヒントとなるノウハウ、コラムをまとめたブログです

学ぶ時間を減らし、咀嚼する時間を増やす。

先日、お会いしたある企業の課長さん。大変な努力をたくさんしているのですがが、成果は・・・

こんなにたくさん勉強会や、本を読んでいる勉強家の彼が、ナゼ、成果が出ないのか?一言で言えば、「勉強法が悪い」という事なのですが、いい表現が見つかりませんでした。これでは、彼へのアドバイスになりません。何かいい表現はないのか?という事がずっと引っ掛かっていたのですが、それがようやく分かりました。





それを解決してくれるヒントになったのが、ほぼ日のコラム。このような事を糸井さんが言われていました。

「インプット」が大事って言うときの、

 その「インプット」って、なんなのか?

 「モノゴト」、つまり情報でも感情でも考えでもを、

 食事のメニューだと思ってください。 



 いろいろぜんぶ食べよう、だとか、

 人の食べない珍しいものを食べようだとか、

 いつか力になるからたくさん食べようだとかは、

 これまでの「インプット」だと思うんですね。

 ぼくが言いたかった「インプット」は、

 どれでも、ひとつでもふたつでも、

 よく感じて、よく噛んで、よく消化するという

 「食べ方」のほうを意味しているんです。

学ぶということは、インプットです。

糸井さんの「食事」のメタファーを、学ぶという事に置き換えると、「食べ物=学ぶ情報」と「咀嚼・消化力=学んだ情報の咀嚼力(仕事や成果への応用力)」という2つのものがあるという事です。これは、どちらが欠けてもダメ。





私は、その課長さんが本を読んでいる姿を読んでいて、「この人はホントに学んでいるのだろうか?」と疑問を持つことがありました。速読でドンドンページを薦めていき、手にペンなりマーカーを持っていない姿です。確かに、強い情報収集や学ぶ意識は高いように思える。しかし、ホントに、こんな学びかたで成果が上がっているのだろうか?という疑問です。

その疑問が、糸井さんのキーワードで晴れました。

私が彼に違和感を感じていたのは、「どんなにいい情報を食べても、彼は咀嚼ができているのだろうか?」と感じたからでしょう。その課長さんに限らず、最近の世の傾向をみていると、「生き残るには、たくさん良い物を食べなければ」ということで、情報収集過多の人をたくさん目にします。





私なども、クライアント様からよく言われるのですが、「よく勉強されてますね。」と言われます。しかし、実際には、そんなに沢山本を読んでいるワケではありません。先の課長さんに比べると3分の1程度しか本を読んでいないかもしれません。しかし私に限らず、コンサルタントという仕事の方々は、学び上手の方が多いです。





それは、コンサルタントは明確な出口をハッキリ意識しながら、学んでいるからだと思います。「どこかに明日のコンサルティング、明日の講演会で、何か伝える事ができる面白い話はないか?明日コンサルティングするクライアントの問題を解決できるヒントがないだろうか?」という出口がハッキリした中で、必死で吸収しようとしている。そして、学んだらすぐに、明日の仕事の為に、咀嚼するという行為に学ぶ事に対して数倍の時間を使うからだと思うのです。これは、仕事の必要性から、そういう行動パターンをとらざる得ないからだと思うのです。



任天堂の宮本さんと糸井さんの話の中にある社長の代わりに糸井さんが訊く「スーパーマリオ25周年」. インプットがおろそか。に、こんな言葉がありました。

宮本



朝の連続ドラマの話でいうとね、関西チーム制作の

カメラ周りにいるスタッフが優秀なんじゃないかと

ぼくは思ってるんです。その、撮るときの演出家の役割として。



糸井



ほう、ほう。



宮本



どうしてこの芝居をさせるのか、というところを

わかっている演出家がその場にいるかいないかで、

できあがってくるもののリアリティーがぜんぜん違うでしょ?

それは、シナリオの構成とか、そういうことじゃなくって、

撮るときの演出がきちんとできてないと、さめるんですよ。

やっぱり、「なんかおかしいぞ?」っていうのを

いかに排除していくかっていうのがぼくらの仕事なんで、

そういうことは、テレビを見ながらも考えてますね、やっぱり。



糸井



そう、考えるんですよね、つねにね。

「オレだったらどうするか」とかね。

たのまれたわけでもないのに。

だから、それこそがまさに、

岩田さんの言う、「当事者意識」ですよね。



宮本



そう、「当事者意識」を持って見てるんですよ。

舞台とかイベントを見に行っても同じですよ。



糸井



だから、悩みが絶えないですよね。

遊んでる時間にね。

あの時間だよ、オレが仕事してるのは!



宮本



仕事してるんですよね、その時間も(笑)。

岩田社長が言われている当事者意識という言葉です。

この「当事者意識」を持って、情報に接するという事が、「咀嚼・消化力=情報咀嚼力」のカギだと思うのです。

「当事者意識」を持てば、本でなくても、TVを見ていても、スポーツジムに行っていても、音楽を聴いていても、たくさんの事を学ぶことができる。逆に、「何か役立つことができれば」とか「勉強すること」や「本を読むことだけが」目的となっていれば、どんなに優れた本を読んだとしても、あまり学ぶことができない。





人間が、情報収集できる量は、一生において限界があります。「食べる量」は限られているのです。もっと情報収集しなければ、学ばなければという強迫観念で学んだところで成果はありません。

「何を学べばいいのか?」という事への注意の半分を、「何とかこの問題を解決してやろう」とか、「もっといい○○を作りたい」とかいうテーマ設定、戦略設定に時間を使う。そして、「学んだ事をどうテーマに使うことができるのか?を考える努力=咀嚼する」ことに、たっぷり時間を使ったほうがいいのではないか?それを課長さんにアドバイスしようと思います。