モチベーションは楽しさ創造から

自分自身のモチベーションアップ、仕事を楽しくする方法から、部下・上司・顧客のモチベーションアップのヒントとなるノウハウ、コラムをまとめたブログです

「リーダーは憎まれモノにならなければいけない」とは本当か?

先日、ある企業に訪問した際に、社長が幹部社員に

「リーダーは憎まれモノにならなければいけない。憎まれモノになるのを恐れてはいけない!」

という発言をされました。





幹部社員達が厳しいことを部下に求めない状況に、業を煮やした社長の口から出た言葉。

この企業だけでなく、多くの企業でこのような言葉は耳にするかと思います。





確かに、この大不況期。企業が生き延びていこうとすれば

  • 今より高い水準(難しい)の仕事
  • やりたくない仕事
  • 困難が予測されるような仕事
  • 面倒くさそうな仕事
  • 今以上のハードワーキング

などの「ハードなミッション」を部下に要求して欲しいという社長の気持ちも分かります。しかし、「ハードなミッション」を部下に要求する事と、「憎まれモノ=部下から憎まれる存在になる」ことは同一な事か?と言えば疑問が残ります。







未だに、多くの社長さん達は、「鬼軍曹」が理想の管理者として捉えているケースが多いモノです。

確かに、私達はたくさんの鬼軍曹に出会ってきました。学生時代の運動部の鬼コーチ。受験合格に向けて指導してくれた鬼教師(講師)。社会に出れば「鬼軍曹のような古株の上司」。彼らに出会うことで、「良い上司」=「鬼軍曹」のイメージがどうしても強くなる。だから、先の社長のように「リーダーは鬼にならなければいけない!」という事になってくるのでしょう。





しかし、リーダーの役割は、「ハードなミッション」を部下に求めるのが仕事ではありません。「ハードなミッションを、よしやってやろう!」とモチベーションを高めさせるのが仕事のハズ。達成に対してモチベーションを高めてやらなければ、ハードなミッションであればあるほど、その実現は難しいモノ。





「憎まれモノ」になる事だけで、「ミッション」に対して部下のモチベーションを高める事ができるか?と言えば、決してそうではないはず。逆に、自分が下の立場に立ったとき、「憎んでいる人の要求」に対して、高いモチベーションで取り組めるでしょうか?憎んでいるけど怖くて仕方がない存在なので、必死に取り組む事はあるかもしれませんが、そんなの長く続くワケはありません。





私は、リーダーを「要求するミッション」と「伝え方」に分けて、4パターンのリーダーがいるのではないかと思います。

一つの切り口が「要求するミッション」とは、部下にどんなミッションを要求するのか?という事。「カンタンな事」「当たり前の事」「抽象的なこと」ばかりしか要求しないリーダーもいます。逆に、「業績アップ」の為に、今より困難な仕事、難しい仕事、面倒しい仕事、ハードワーキングを要求するリーダーがいます。上司が部下に要求するコンテンツという事。





2つ目の切り口が「どんな伝え方」をするか?という事。部下に無理矢理に、高圧的に「要求」を押しつけたり、「やらない時の恐怖」で部下を震え上がらせるリーダーもいます。逆に、ソフトに自分の言いたいコとを伝えていく、部下の意見を聞きながら、部下にやらなければいけない事を気づかせてい(「自分でやろう」と部下の口から言わせていく)くリーダーがいると思います。コンテンツの伝え方という事。





そうすると、4つのリーダー像が出てくるのかもしれません。

伝え方
要求内容

(コンテンツ)
言いたいことを押しつける 相手に気づかせる
難しいミッション 2.鬼軍曹





1.モチベーションリーダー







簡単なミッション 4.馬鹿上司









3.いい人上司









悪い方言えば、以下のような順位になるのではないでしょうか?

  • 馬鹿上司
    強い要求はするが、その要求はトンチンカンという人。抽象的で現実性が乏しい要求ばかりしか与えないけど、威張って、高圧的な態度を取るリーダー。こんなリーダーだと最悪です。まさに馬鹿上司。
    部下のモチベーションは最悪になります。こんな人がリーダーをやっていると、上司の前だけ「やっているフリ」だけを行う組織になってしまいます。

    鬼軍曹と馬鹿上司は、紙一重だったりするので、鬼軍曹を志向している人の多くが、実は馬鹿上司だったりするのが多かったりします。


  • いい人上司
    具体的な要求は特にしないし、高圧的な態度で部下を強制しようともしないリーダー。「放任主義」なので、部下からは嫌われはしません。しかし、「何も指示をしない人」という事で部下からナメられた存在。上司から見ると、最もダメに見える上司です。このような上司がいる組織は「ゆるんで、だれた組織」になってしまいます。

    しかし、馬鹿上司に比べると、嫌われていない分、彼らがたまに発する要求については、一部は動こうとしてくれます。もちろん、ナメられているという存在でしかないので、部下のモチベーションはそれほど上がってきません。


  • 鬼軍曹
    的を得た要求を行うが、高圧的な態度で部下に指示を従わせるというリーダー。まさに、鬼軍曹のようなリーダーです。馬鹿上司と違うのは、論理的思考力も高いために、「的を得た要求」を出すことができるという所。上司にとっては、仕事をよくしてくれる、最も頼りになるリーダーです。

    しかし、部下にとっては仕方なくその要求に応えているだけ。「やらなければ、ヒドイ事になる」という恐怖感から行っている形になるので、せっかくの的を得た要求も、それほど高いモチベーションで取り組んでくれるワケではないのが現実です。

    しかし、「いい人上司」や「馬鹿上司」に比べると、大きな成果を出す事ができます。


  • モチベーションリーダー
    的を得た要求を、高圧的に上から指示するのではなく、部下自らに「これをやらなければいけない!」と気づかせるような指示をしていくリーダーです。「現在これらの問題が存在する。君たちなら、どうやっていけばいいと思うか?」と、部下に考えさせていく事で、「やらなければいけない」事を気づかせていくリーダー。


    自分たちで気づいた「やらなければいけない事」ですから、部下のモチベーションも高い状態になります。本来、目指すべきは、このようなリーダーではないでしょうか?


「上司は嫌われ者にならないといけない」という先の社長の発言。これは「上司は言いにくいコとでも、必要と感じたら要求しなければならない!」という事では的を得ている。「リーダーは、憎まれモノになるのを恐れてはいけない!」という事は、確かに正しいと思うのです。だからといって、嫌われるような、感情的にもつれるような言い方をしていては、人をモチベーションできない。部下は、子供ではないのですから・・

マジマネ5 部下の「やる気」を育てる!

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