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シルクドソレイユに学ぶ 「クリエィティビティ」を生み出す組織の秘

シルクドソレイユに学ぶ 「クリエィティビティ」を生み出す組織の秘密



ほぼ日でシルクドソレイユの代表の一人、ジル・サンクロワのインタビューがありました。ほぼ日刊イトイ新聞 - シルク・ドゥ・ソレイユからの招待状 。これが実に良い。





シルクドソレイユはご存じ、サーカスの世界的集団です。世界で7000万人の観客を魅了した、3800名の従業員を抱え、世界中で15のショーを運営する企業でもあります。





シルクドソレイユが出てくるまでのサーカスは、主役がゾウであるとかトラであるとかの動物でしたが、彼らが出てきてからサーカスの主役が変わりました。ユニークな演出、音や光とのバランス、人の超人的な演技、ユーモアなどのシルクドソレイユという組織のクリエィティビティが主役となったのです。斜陽産業とも言えたサーカス業界を、シルクドソレイユは成長産業に変えていったのです。





この世界的組織のクリエィテビティを生み出す秘密が、このインタビューでいくつか分かってきました。それを私なりに整理してみました。

  1. ユニークなものを作る事への情熱
    ジル・サンクロワが、シルクドソレイユを作る際、資金集めに苦労したそうです。なかなか頑張っても資金が集まらないジルに友人がアドバイスした事は、「有名」になること。「有名になる=ブランドになること」で、金は集まるという趣旨のアドバイスを受けたそうです。そして、彼は考えました。自分でできることで有名になるにはどうしたらよいか?


    その為には、「誰もやったことのないユニークなことをやらなきゃいけない!」と思ったのです。

    彼は、竹馬が得意だったので、それを活かしたユニークな事という事で、竹馬でベ・サン・ポールからケベック市まで22時間かけて移動するというイベントを思いつき、それを実行する事で、マスコミに取り上げられ、開業の資金を確保していく事になったそうです。

    恐らく、その最初の成功体験時の「誰もやったことのないユニークさへの挑戦こそ大事」という価値観が、この組織の根底にあるのではないでしょうか?


  2. 「最良のアイデアが勝つ」という原則
    「誰もやったことのないユニークさへの挑戦」をするには、組織の原則が必要になってきます。それが、「最良のアイデアが勝つ」という原則です。一般的な日本企業などで言うと、声の大きい人や役職が上の人が言っていることが勝つのが一般的です。所謂、「誰が言っているか?」ということ。


    シルクドソレイユでは、「誰」が言っている意見かは重要ではなく、それが「どんな意見か?」という事を純粋に評価していく組織文化が醸成されているのでしょう。関係をしている全ての人が、自由にクリエィティブな意見を言う。そして、その意見が、他の人のクリエィティビティを刺激して、新たな意見を創り出す。そのような「知の創造の仕組み」がシルクドソレイユの強みだと思うのです。
    ジル

    じつは、このシルク・ドゥ・ソレイユにはたくさんのミーティングがあります。

    たぶん、社外の人からすると多すぎると思えるくらいの数、ミーティングがあります。

    私たちは、ミーティングでつねに情報交換します。

    もっと重要なのは、アイデアの交換をすることです。

    イデアを出し合うとき、そこには一切の階層がありません。

    お互いがお互いの相談に乗るとき、この会社にいるあらゆる人は、ひとりひとり、すべてが重要です。

    掃除当番のおじさんから取締役まで、同じです。

    たとえば、ひとつのショーが成り立つには、アーティストがうまく演じなきゃいけませんし、コスチューム担当者がしっかりしなきゃいません。企画はしっかり練る必要がありますし、チケットは売らなきゃいけないし、フロアはキレイにしておかなきゃいけません。

    みんないっしょに仕事ができてはじめて、ショーはうまくいくと私は思っています。



    人々の仕事が重なり合って、ひとつのショーはできているんです。ですから、もしも誰かが、シルク・ドゥ・ソレイユに潜り込んで、

    ショーを盗もうとしても、それはできません。シルク・ドゥ・ソレイユは、有機的な組織なんです。
  3. パワーを極力使わない。大勢の人が気持ちよく働く組織作り
    これだけの大がかりなサーカス集団は、世界でも稀です。数多くの世界的なパフォーマーの協力が必要です。当然、これらの天才的パフォーマーは一匹オオカミ的な人も多いと思うんです。

    そのような天才達が気持ちよく働ける組織作りにシルクドソレイユは成功しています。その秘訣はパワーを使わない事。誰かが、決まりを押しつけるのではなく、各人の意見を引出し、決定していくという仕組み作りを行っているのだと思います。その事についてジルは次のように言っています。
    たとえば、もしも、私たちの会社が

    「これはこういうふうにやれ」

    「これはああいうふうにやれ」という

    命令のもとに動いていく組織だったら、みんな、6ヵ月とここにいられないでしょう。

  4. いっしょにモノを作り上げていくという精神  関係性を大事にする
    サーカスの芸などというと、個人作業のように思えます。しかし、シルクドソレイユは違うんですね。素晴らしいショーは、天才パフォーマーがいるだけでは生まれないという考え方です。

    素晴らしい照明、音響、演出、会場のセッティング、掃除など全てが揃ったときに、素晴らしいショーになる。素晴らしいショーを作っていこうとすれば、それらの仕事に関わる人達の協力が不可欠になる。

    だから、シルクドソレイユでは、誰か一人の独裁者が作っていくというワケではなく、「みんなでショーを作っていく」というポリシーを大事にしている。誰もが等しく影響を持つという考え方ですね。この部分などは、みなさんの企業でも本来、同じのハズですよね。しかし、このような事が実践されている企業は少ないのではないでしょうか?スターにばかりにしか照明が当たらない組織に普通の企業がなっており、スターのいるシルクドソレイユが、影になりそうな仕事の人にも照明を当てている。組織的なクリエィティビティを発揮できるかのカギは、こんなシンプルな所にもありそうですね。


    そして、「誰でもが、誰かにとって代わられる」状況を作り、そして「誰かにとって代わられることを喜ぶ」という組織を作っているという事。(この部分に関しては、どうしてそのような事ができているのかがまだよく分からない部分。)
    ジル

    やはり、つねにいっしょに仕事をする、という精神が重要だと思います。

    ひとりがすべてを決めたりしない。そして、ここでは、誰でも、誰かに取って代わられる可能性があるんです。

    私も、きっと誰かに取って代わられるでしょう。

    この会社にいる誰もが、誰かに取って代わられる。

    それは、いいことです。

    そういうふうにして、いいんです。

    それによって、独裁者が生まれることもなく、人が人を力で動かすこともなく、結果、人々は自分のやるべきことをほかの人といっしょにやっていく。シルク・ドゥ・ソレイユは、そういう有機体なんです。



    糸井

    説明を聞いて、いろいろ腑に落ちました。

    シルク・ドゥ・ソレイユは、世界的な成功を収めている企業でありながら、グローバルな企業にありがちな「パワーの文化」をまったく感じなかったんです。




    ジル

    ここでは、ひとりがパワーを持ちません。ショーがどうなるか、ひとりでは決めません。

    しかし、ショーがどういうふうになり得るかということについては、誰もが等しく影響を与えることができます。

    そのショーをクリエイトする人たちすべてがいっしょに働くことで、経験を蓄え、影響を与え合っていきます。それゆえ、ひとりがパワーを持たないのです。



    糸井

    関係性をとても重要視しているんですね。



    ジル

    そのとおりです。

    やはり、クリエイティビティというのは、会社の壁の中に入っているわけじゃありません。

    イデアは、人から出てくるんです。人と人が、真剣に、楽しく、1時間話すだけで、すばらしいアイデアというのは出てくる。

「クリエィティビティ」がこれからの企業、個人の付加価値の源泉です。しかし、この「クリエィティビティ」を発揮させる為に真剣に取り組んでいる企業は少ないのではないでしょうか?シルクドソレイユは、そういう意味でも希有な会社かもしれません。





皆さんの組織は如何でしょうか?全ての社員のクリエィティビティを発揮できる組織になっていますか?

PS

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