お茶の心〜利休7則に学ぶ プレゼン7則
一期一会のデザイン:DESIGN IT! w/LOVE で利休7則の事を知りました。
茶会の心得として「茶会に臨む際は、その機会を一生に一度のものと心得て、主客ともに互いに誠意を尽くせ」といわれます。
千利休の門弟であった山上宗二が著した茶書に次のように記されているといわれます。
朝夕寄合いの間なりとも、道具の開き、または口切の儀は申すに及ばず、常の茶湯なりとも、路地へはいるから立つまで、一期に一度の参会の様に、亭主をしっして威づべき
『山上宗二記』
これって、プレゼンテーションする時も同じですよね。
プレゼンの機会を1回だけのものと心得て、誠意を尽くしてプレゼンを行っていくということ。
その千利休が「一期一会」の場を作る為に、7つの心遣いとして奨めたのが利休7則だそうです。これって、まさにプレゼンの際に必要な心遣いになっていると思いますのでご紹介。
- 茶は服のよきように
- 炭は湯の沸くように
- 夏は涼しく、冬は暖かに
- 花は野にあるように
- 刻限は早めに
- 降らずとも雨の用意
- 相客に心せよ
数百年も伝えられてきた、この言葉。やっぱり奥深さがありますよね。相手と素晴らしい一瞬を作り出すためには、自分は何をやればいいのかが整理されていると思います。この7つの言葉の意味は、利休七則 に書かれています。こちらを参照してください。
- 茶は服のよきように ……「事を行うには、相手の気持ち・状況を考えて。」
- 炭は湯の沸くように……「準備・段取りは、要となるツボを押さえて。」
- 夏は涼しく、冬は暖かに……「ものの表現は、本質を知り、より簡潔に。」
- 花は野にあるように……「もてなしは、相手を想う心で。」
- 刻限は早めに……「ゆとりは、自らの心掛けによって。」
- 降らずとも雨の用意……「備えは、万人の憂いを想定して。」
- 相客に心せよ……「何事に接するにも、無垢な心で。」
今回、これをプレゼンテーションを上手に行っていくための7則として考えてみると
- プレゼンテーションを聞いたとき、相手が「役に立つ話を聞いた」と思うように行え
- 自分が主張したい事を伝えるためにプレゼンを行わないという事。
相手が喉がカラカラの時に、どんなによいお茶を、よい器で提供しても、火傷するようなお茶では、相手が喜んでくれないのと同じですね。こちら側が思う「よいお茶」と相手が望む「よいお茶」は違うのです。どちらを優先すべきかは明白ですよね。
だけど、お茶に詳しくなればなるほど、「せっかく買ったよい器を見せたい」等の自分にとってよいお茶を提供したがるので、このような「則」を利休は作ったのではないでしょうか
自分の言いたい事だけを、自分のペースでプレゼンする人に出会います。そんなプレゼンは、聞く側としては、とても退屈です。「早く終わらないかなぁ」と思いながら聞いてしまいますよね。
一方、話すのが上手でなくてもプレゼンが巧い人もいます。そんな人は、聞く側にとって「プレゼンする内容が私の抱えている問題をどう解決してくれるのか? どれだけ役に立つのか? メリットがあるのか?」という形でプレゼンをしてくれます。
相手にとっては、こちらの言いたいことなどどうでもいいのです。相手の興味は、「自分にとって、いかにメリットがあるのか?」という事だけです。
「私達が言いたいこと、主張したい事」(お茶を出す)は「相手にどうメリットがあるのか?」(相手が今、欲しているお茶)という機軸に変換をして伝えていかなければ、相手に真意が伝わらないのです。
ベテランになればなるほど、上手にプレゼンを行うには、「相手にとって役立つプレゼンを行おう」という姿勢を忘れてはいけないのではないでしょうか?
- 自分が主張したい事を伝えるためにプレゼンを行わないという事。
- プレゼンに入る前の準備をエレガントに済ましておけ
- プレゼンの為の資料をしっかり準備しておくのは、もちろんの事ですが、それだけではありません。
この準備とは、実際にプレゼンに入る瞬間までの準備の事です。
よくプレゼン会場に行くと、バタバタと慌てて準備をしている人がいます。本人は気づいていないのですが、周りはそれを見ているのです。プレゼンが始まる前から、「このプレゼン大丈夫なの?」と無意識に思ってしまいます。
相手がプレゼン会場に入った瞬間からプレゼンが行われているのです。エレガントに、手際よくプレゼンの準備を行っていき、プレゼン冒頭から相手を引き込んでいくのです。
どんなにお茶の道具などを揃えてお茶をお出ししようとしても、バタバタとお湯を沸かしているようでは、よいお茶の場を提供できないのと同じですよね。
私達の気持ちとしては、「プレゼン会場についた時からプレゼンは始まっている」と考えていく必要があるのでしょう。
- プレゼンの為の資料をしっかり準備しておくのは、もちろんの事ですが、それだけではありません。
- シンプルに本質のみを簡潔に語れ
- プレゼンで訴えたい事は、シンプルに絞った方がインパクトを持たせる事ができます。
枝葉末節の話を行うのではなく、本質の部分が何なのかをしっかりと整理して、それをしっかり相手に理解して貰う事が大事です。
どうしても不安が走ると、パワーポイントの枚数が増えてきたりします。そうなると、ホントに伝えたい事が相手に薄まって伝わってしまうのです。
できるだけ、無駄な言葉、無駄な資料は削っていく。削って、本質的な事を簡潔に、相手にとって分かりやすい形で語るプレゼンにしていきましょう。(専門用語なども使わず、その専門用語の本質を語る必要があるのです。)
- プレゼンで訴えたい事は、シンプルに絞った方がインパクトを持たせる事ができます。
- 目的に添った雰囲気・場作りを演出しろ
- あなたは、いろんな場面でプレゼンをしていると思います。プレゼンの場をどんな雰囲気にしたいでしょうか?
プレゼン目的によって、その答えは違ってきますよね。
笑いに溢れて楽しい場にしたい時もあれば、ビリビリと緊張感の溢れる場にしたい時もあると思います。
自由な雰囲気にしたければ、会場の照明も明るく、お茶やお菓子などもフリーで取りながら、イスや机の配置も、みんなでワイワイできるように設置した方がよいでしょう。
もちろん、ピリピリした雰囲気を作りたかったら、設定は全く違ってきます。
どのような場にしていけば、「相手があなたのプレゼンを心地よく聞いてくれるのか」を理解して、雰囲気、演出をしていく事もプレゼン以上に大事になってきます。
- あなたは、いろんな場面でプレゼンをしていると思います。プレゼンの場をどんな雰囲気にしたいでしょうか?
- ゆとりを持ってプレゼンしろ
- 心に焦りがあると、自分の言いたいコとも言えずに終わってしまいます。
焦らずに、常に心に余裕を持ってプレゼンを行っていく事が大事です。焦りはパニックをもたらし、そうなれば自分で何を言っているのか分からない状況になってしまうからです。
その為には、
- ゆとりを持った準備を行う
- 細かいタイムスケジュールを作っておく(例えばシート1〜3は5分、4〜6は、10分等)
- タイムスケジュールの終了時間は、相手に伝えている時間より若干早く終了するようにセッティングする(もし、何かで躓いてもタイムオーバーにならないように)
- 今やっているプレゼンの次に何をするかという事を意識しておく(先回りの奨め)
- 心に焦りがあると、自分の言いたいコとも言えずに終わってしまいます。
- 相手の心配事への対応をしろ
- あなたがどんなに相手にメリットのある話しをプレゼンしたとしても、相手は何かの不安を感じているはずです。
その不安を相手より先回りして、プレゼン前に事前に考えておきましょう。
プレゼンが終わった後、相手が何も質問をしてこなかったり、乗り気なポーズを見せてこなかったら、相手にはあなたのプレゼン内容に不安や心配があるのです。(もちろん、メリットを感じさせない提案になっている可能性もありますが)
その時「この提案には、恐らく皆さんは、○○のような不安、ご心配があるかと思います。」とプレゼンできる準備をしておくのです。もちろん、その不安に対する解消策、解決策を次にプレゼンしていってください。
- あなたがどんなに相手にメリットのある話しをプレゼンしたとしても、相手は何かの不安を感じているはずです。
- 同席した参加メンバー全てに心配りをしろ
- 一期一会とは、利休七則によると、、「見馴れた物にも新鮮な気持ちで、親しい関係にも等閑な態度をとらずに、その縁を大事にする」ということだそうです。
私達がプレゼンをする場合に、プレゼンを聞いているキーマンだけに気配りを行い、他のメンバーへの気配りを忘れる事がよくあります。そうすると、キーマンは納得してくれたのだが、キーマン以外の人が反対者になる事も多いモノです。
キーマンへの気配りも大事ですが、それ以外の人への気配りも絶対に忘れてはいけないのです。
個への気配りだけでなく、全体を見回した気配りの重要性を伝えているのではないでしょうか?
- 一期一会とは、利休七則によると、、「見馴れた物にも新鮮な気持ちで、親しい関係にも等閑な態度をとらずに、その縁を大事にする」ということだそうです。
この利休7則、プレゼンだけでなく、応用範囲の広いハックになりそうですね。