モチベーションは楽しさ創造から

自分自身のモチベーションアップ、仕事を楽しくする方法から、部下・上司・顧客のモチベーションアップのヒントとなるノウハウ、コラムをまとめたブログです

人が金を愛する3つの理由

モチベーション要因として、まず考えられるのが金だ。
一昨日のあなたのまわりの羽賀研二さんの話ではないが、金だけがモチベーション要因の人がいるくらいだ。
羽賀さんまでいかないまでも、仕事をする際に、金はいらないという人はあまりいないのではないか?では、なぜ金がモチベーション要因になるのだろうか?人はナゼお金を愛するのだろう?
これは社員のモチベーションを考える上でも、あるいは経営戦略、マーケティング(顧客のモチベーションアップ)を考えていく上でも整理しておく必要のある命題だ。

脳が「生きがい」を感じるとき

脳が「生きがい」を感じるとき

『脳が「生きがい」を感じるとき』という本では、「なぜ我々がお金を愛するのか」という事を3つにまとめている。お金は記号だ。金そのものの触感が好きとか臭いが好きとか、見た目が好きとかいう理由で私達は金を愛しているのではない。金で手に入れる事ができるものを愛しているのだ。金は、3つのものを手に入れる事ができる記号だという事。


一つは、金があれば生存の欲求を満たすことができるという事。
目先の食べること、住む事、着ることといった最低限の欲求を満たす事。その為には金がいる。最低限、この金が必要でないという人はいないだろう。しかし、我々は生存本能を満たす為だけに金を使っているのではない


2つめは、金があればリスクを回避し、安全でい続ける事ができるという事。
貯金も「使う事」と考えて頂ければ理解しやすい。将来訪れるリスクとして、自分のお金の面での将来に備えて不動産資産を買う、健康のリスクを考えて保険に入る、子供の将来を考えて塾にやるといった行為。お金を使うことで未来のリスク(老後への不安、先の読めない未来への不安、仕事の不安、子供の将来への不安)を減らしていく事が可能になるのだ。だからお金を愛しているのだ。一般的に金を使うと気分がよくなると考えられるのだが実際はそうでもないのは、金を使う事で手持ちの金が減るという事が発生し、リスクへの対応力が弱くなるから、なんとなく気持ちが晴れないのだ。特にリスク志向の強い人はその傾向がある。(ちなみに私はそうかもしれない。)


3つめは、金があれば新しい刺激を体験することができるという事。
私達の脳は、新しい体験をする事で快楽を感じます。

  • 美味しいモノを体験する
  • 知らないところに旅してみる
  • プライベートビーチで日常とは異なるゆっくりした贅沢な気持ちを味わう
  • 他人から羨ましく思われる
  • 奥さんがいるのに新しい恋人に夢中になる
  • 新しいベンツを体験したくなる
  • 他人に自慢ができる等々

といった新しい刺激を感じる為に金を使うのだ。今の我々の消費傾向から考えると、この部分への支出が一番多いのだろう。
刺激は「同じものを買っても、同じ刺激を得ることができる」とは限らないという複雑なものだ。例えば、子供の頃に美味しくて毎日食べようと思っていたアイスクリームも、食べる度に刺激が減っていく。最後には飽きて、そして二度と買わなくなる。一度得た刺激よりも、もっと強い刺激を求めて我々は金を使っていく。
ビジネスを提供する側の論理から考えると、刺激を与え続けることができなければ金を使い続けてくれる事はないという事だ。現代のマーケティングを考えていく上で、この「新しい刺激」という概念もっと大事なんかもしれない。今、提供している刺激と、今後提供していく刺激。刺激は飽きられるという事。


人材のマネジメントという視点からも、この視点から考えていかなければいけない。金を愛する理由がこれらだとすると、給料として単に金を渡しているだけでは芸がない。「安全さ」「刺激」という事を意識した人事制度、組織設計がモチベーションアップ手法には重要になる。働くモチベーションの再生で述べた、報酬以外のモチベーション要因として上がっていたモノがこの事ではないだろうか?
リスク回避・安全

  • 「顧客から感謝されること」
  • 「同僚や後輩から信頼されたり感謝されたりすること」
  • 「上司から高い評価や承認が得られること」
  • 「給料が安定しない、雇用が安定しない」状況を作る事は効率の悪化をもたらす。(安心して働ける雇用体系)

新しい刺激

  • 「自分だけにしかできない仕事」
  • 「新しいスキルやノウハウが身につく仕事」
  • 「自分の実績として誇れる仕事」
  • 「仕事自体の面白さや刺激」

社内モチベーションという観点から考えると、金だけのモチベーションを単純に考えるのでなく、報酬と同時にこれらの2つの提供が大切になるのではないだろうか?