日本GDP3位確定への政府対応から危機対応リーダーシップを学ぼう。
集団をやる気にさせる!モチベーションアップさせようとする時、タイミングはとても大切です。
素晴らしいリーダーは、このタイミングを決して見逃しません。
人のモチベーションアップをもっともやりやすいタイミングとは、「危機」に直面した時です。
危機に直面すれば、「今のままではいけない。立ち上がって、戦わなければ!変わらなければ!」という気持ちが最も起きやすいからです。
そのような意味でおいては、先日のGDPランキングが3位に落ちたというニュースは、国家のモチベーションアップを鼓舞する絶好のタイミングではなかったかと思います。
読売新聞 日本、GDP3位確定…中国に抜かれる
内閣府が14日発表した2010年の名目国内総生産(GDP)は前年比1・8%増の479兆2231億円で、3年ぶりにプラスとなった。
ドルに換算すると5兆4742億ドルで、同年の中国の5兆8786億ドルを下回り、経済規模で42年間守り続けた世界2位の座を明け渡すことが確定した。
今、中国やインド、第3諸国に負けないように、私達日本人全体がやる気復興、モチベーションアップが必要な時代だと私は思っています。後ろから追いかけている国々、追い抜いていく国々がある中、もう一度、「絶対に俺たちは負けない。もう一度、日本は経済大国と誇れる国にするんだ。その為に、もう一度、一からスタートしていこう!」という気持ちを、国民全体が持つ事ができれば、絶対にまた明るい未来がやってくると思うのです。
失われた10年と言われたバブル崩壊後から、ずっと暗い時代を歩いてきた日本を、今、明るい未来に変えることのできるキッカケになるのが、この事実、或いは国債の引き下げのニュースではないかと思うのです。(リーダーにはこの暗いニュースが、日本人を奮起させるための千載一遇のチャンスだと思うのです。)
この事実を使って、
「日本は世界第2位の経済大国から滑り落ちてしまった。そして、国債の格付けも大きく下がった。
今、私達の国は、誇れる経済大国ではなくなったのです。普通の、何も特色がない国になってしまったのです。
この現実を直視しなければなりません。
大金持ちだった資産家が、資産を使い果たし、いつのまにか普通の庶民と同じような状態になる。これはよくある話です。そうなった時、2つの生き方があります。一つは意識を変えることができず、大金持ちだと思い込み生活をしてしまい破産をしてしまうというケース。もう一つは、私達は一度、大金持ちになれたのだ。真摯に懸命に働けば、また、もとの暮らしを築くことができる。苦しいかもしれないが、再度チャレンジしようとし、また大金持ちになるという道。
私達、日本人は、もう経済大国ではなくなったんだ!という自覚を持たなければいけないのです。
今までのような私達ではダメなのです。大きく変わらなければいけないのです。
第2次世界大戦で敗れた後、日本は奇跡の復興を成し遂げました。戦後の焼け野原をたった20年ほどで経済大国にしたのです。
私達の先輩にはそのようなチカラがあったのですから、私達にもできるハズです。
GDPが3位になったニュース、格付けが落ちたニュースは、ある意味2000年代の終戦記念日です。今までのやり方では、もうダメだといういことなのです。
この終戦記念日を期に、私達はまた、第2の奇跡の復興を起こしていきませんか!」
みたいなスピーチを、国のリーダーがしてくれればいいのに…
現実は全く逆。時事ドットコムの中国の活力取り込み重要=枝野官房長官ら強調
枝野長官は「国単位のGDPは逆転されたが、1人当たりのGDPは約10倍で日本の方が大きい」とも語り、3位転落を冷静に受け止めた。
玄葉光一郎国家戦略担当相も内閣府で記者団に「隣国の成長は基本的にいいことで、どう取り込むかの戦略が求められる」と強調。また、「中国も15年から生産年齢人口が減り始める。世界に先駆けて少子高齢化社会、現役世代の大幅な減少を迎えている日本が、真っ先にその問題を克服してみせることこそ大切だ」と指摘した。
とか、日経の菅首相、GDP日中逆転「近隣諸国の経済成長は歓迎すべき」
菅直人首相は14日夕、同日発表された2010年の名目国内総生産(GDP)が中国を下回ったことについて「近隣の国々が経済成長していくということは、大変歓迎すべきことだ。そういう元気の良い国々と協力し合い、日本経済の発展につなげていきたい」と述べた。
首相官邸で記者団に語った。〔日経QUICKニュース〕
という反応です。
これらの反応などは、危機の事実をごまかそうとしているとしか思えません。一人当たりのGDPで中国の10倍あると偉そう官房長官は言っているが、日本はとっくの昔に、アジアナンバー1の一人当たりGDPからも転げ落ちており、アジアではすでに5番目。台湾、韓国にも抜かれる寸前という現状です。
1位・シンガポール 5万795ドル
2位・ブルネイ 4万8194ドル
3位・香港 4万3464ドル
4位・オーストラリア 3万7132ドル
5位・日本 3万2620ドル
6位・台湾 3万1727ドル
7位・韓国 2万8368ドル
2010年9月、アジア開発銀行は報告書「2010年アジア太平洋地区重要指標」による
それを知っているだろうに、「中国は日本に比べ一人当たりGDPが10分の1だから安心しろ」みたいな話をだすというのは、その場をごまかそうとしているとしか思えません。(シンガポールなんて日本の1.5倍以上の一人当たりGDPがあり、農業国家みたいに思っていたオーストラリアにも負けている有様が現実です。)
確かに、今までは日本は経済大国であり、経済が強いという事が私達の重要なアイデンティティの一つでした。しかし、これが壊れようとしている(既に壊れている?)事実があるのです。確かに、直視すれば、愉快な話では全くありません。だからといって、現実から目をそらし、都合のいい事実ばかりに目を向けるというのは、戦前、戦中の時のアメリカとの戦争に入るときとある意味そっくりではないでしょうか?
第2次大戦前から、大戦中にかけてマスコミは、日本軍のことを「世界で一番強い」かのように政府は伝え、マスコミもそれを無批判に報道し、社会もそのような雰囲気でした。「日本軍は強いのだから、アメリカなんかに負けるモノか!打ち砕いてやれ!(誰がどう考えてもアメリカと戦争しても負けると分かっているにも関わらずプライドだけのために)」と戦争に突入し、戦時中は、「日本軍は強い。百戦百勝だ!」という具合に言い、結果、日本は焼け野原になってしまいました。
事実を直視せず、都合のいい事実だけに着目し、、日本は戦争に突入し、負けが決まっても日の丸特攻隊のように玉砕をしていきました。
このGDP3位転落のニュースが流れたあとの、政府の反応や、マスコミの風潮はそれとそっくりではないか?と思います。
「日本は3位に転落しました。中国は人間が多いから仕方ないよね。だけど、実質は日本のほうが遙かに上さ。実質は、日本は世界第2位の経済大国さ。俺たちは未だに凄いんだ。心配することなんかないよ」みたいな雰囲気。本来は、「今このような状態にまで落ちてしまいました。経済大国とは言えない状況になりました。だから、もう一度ハングリー精神を呼び起こし、復興目指して、自分達を変えていきましょう!」というべきなのがリーダーだと思うのですが・・
そんな、国民を鼓舞し、日本という組織のモチベーションアップができる千載一遇のチャンスを、みすみす見逃しているようにしか思えません。
本来は今、政府、全国民、全ビジネスマンが、他人が悪いと人のせいにするのではなく、真摯に自分を見つめ自分を変えるべき時代だと思うのですが、こんなニュースの後でも、ボーッとした雰囲気では、悪くなる一方のように心配でなりません。(オバマさんが話した、スプートニックの話のような事を、国民に伝えるのがリーダーの役割、オピニオンリーダーのマスコミの役割だと思うのですが、この国では機能していないようですね)
うーん。危機的な話ですよね。
しかし、ぼやいていても何も生まれませんので、菅さん達から反面教師として、リーダーシップについて教えて貰った事をまとめておきます。
- 「どう危機を使うか?はある意味リーダーシップの腕の見せ所」だということ。
- 真のモチベーションは、現状を率直に語ることから生まれる。
- 危機を直視し、それを語ればチャンスになるし、誤魔化せば組織は「茹でカエル現象」になってしまう
- 危機の時こそ、最高のモチベーションアップのタイミングだ
- タイミングを逸すれば、効果は半減
危機に陥ったとき、それを誤魔化し取り繕うことだけに懸命になるのか?それとも危機を正面から受入れ、率直に語るのか?リーダーシップが試される場面でどう達振る舞うのか?私達は彼らのようになってはいけませんね。
PS
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