モチベーションは楽しさ創造から

自分自身のモチベーションアップ、仕事を楽しくする方法から、部下・上司・顧客のモチベーションアップのヒントとなるノウハウ、コラムをまとめたブログです

カンタンに手に入れる事ができる成功事例をモノマネするとうまくいかない。

秀才型の人が大好きなのが「成功事例」です。

ある会合に出ると、社長さん達が望んでいるのは「成功事例の情報です。是非、情報提供をお願いします」と言われます。そんな発想から出てくるのが、中小企業IT経営力大賞IT経営気づきの事例集などです。





もちろん、このようなものが全く意味がないとは思いません。ベンダーさんが顧客に営業しに行く際のツールとしては使えますし、全く、自社の成功イメージがない人にとっては貴重な情報なのでしょう。ホントの成功事例の使い方という事で、ある社長さんとの会話をご紹介させて頂きます。





私 「社長は、成功事例の情報収集はよくされていますか?」





社長 「そんなに、熱心ではないけど、常識レベル程度は行いますよ。競争相手の事は知っておかないといけませんからね。ただ、その程度のレベルでしかありません。」





「成功事例をマネしていこうなんて思いませんか?」





社長 「そりゃビジネスの本質が分かっていない人の話ですよ。成功事例で参考になるのは、最低、このレベルまでの経営力を高めていかないとマズイという、最低基準の参考にしかならないんですよ。「最低基準」の参考値が成功事例であり、それ以上にはならないんです。」





「なるほど」





社長 「成功事例の使い方を多くの人は、間違って使っているんです。私などは、同業種の成功事例に書いてあるような事は、絶対にやらないようにしています。10年前であれば、モノマネ戦略というのは機能していたと思います。しかし今、これだけネットが普及した情報化社会なんですよ。成功事例としてネットなりに乗った瞬間、業界の中で、その成功事例は知れ渡っているんです。知っているという事は、みんなマネしようとするんです。マネすれば、自ら過剰競争の中に進んでいくようなもんです。」





「他が成功しているのなら、自社がやる価値はないという事ですよね。」





社長 「そう。ビジネスとは、そんなもんです。人と同じ事をやって、稼げると思う方がどうかしています。人と違う価値を企業は提供する事で、初めて高収益を上げる事ができるんです。人の歩いている道を後ろから歩いていっても、そこには美味しいものは転がっていません。特に、今の情報化社会ではそうなんです。



同業者の成功事例をマネするみたいなチープな感覚で、稼げるほど安易な経営でうまくいくんだったら苦労しないですよ。だから、どちらかというと、私にとっての同業種の成功事例とは、「やらないリスト」を作る為のものという感覚でしょうか?同業種の成功事例は、毒にはなっても、薬にはならないと思いますよ。」





「同業種の成功事例とは「やらない事リスト」ですか。面白いですね。例えば、リアルタイムな会計システム等の誰にも必要な話は除いてですよね。」





社長 「そりゃ当然です。成功事例というより、エクセレント企業にとって当然な標準っていう話ですよね。同業種の成功事例を無視するという事は、標準を無視するという事では当然、ありませんよ。

成功事例の使い方っていう事で言えば、私が大事にしているのは、他業種の成功事例です。私の会社はメーカーなのですが、飲食業やサービス業、小売業の成功事例は役に立ちます。同業者がやっていない発想で経営を行われていますからね。他業界の成功例を、自社の業界に応用するにはどうやればいいかという発想は、とても大事なんですよ。

誰もやっていない事でなければ、収益の上がるビジネスにはならないのです。誰もやっていない事だからこそ、私達が行う意義があるんです。



成功事例をトレースするような、単調な事をやったとして、社員は喜びませんよ。そんな誰でもできるような事」



「誰でも知っている情報、手に入れる事ができる情報(成功事例)というのは、基本的に、その情報のまんま食べよう等すると食えたものではないという事ですよね。情報を調理人が加工して、オリジナルな情報にする手間がなければ、チープすぎて情報とは呼べないという事ですね。」





社長 「その通り。誰でも簡単にマネしようと思えるものの方が、うまくいかないという事ですね。横着しないで、情報に一手間、二手間をかける事が大事だと思うんです。」






この社長との話はとても記憶に残るものでした。インターネットが普及したお陰で、私達の情報収集力は格段にレベルアップしました。情報収集ができると、私達は安心します。しかし、私ができるという事は、ライバル達もカンタンにできるという事です。情報収集ができただけでは、全く力の差はついていないのです。ライバル達も、「同じような情報を収集した」という現状認識に立った上で、その情報を活かして何をするかという事です。



ご紹介した社長さんは、「同業種の成功事例」を知る事を「やらない事リスト」にし、「異業種の成功事例の組合せを」を取り入れる事で、「新しいビジネスモデル」を作るという思考回路をとられていました。





情報を収集して、丸飲みをしないで、それをどう使うか?そこが、差別化の大きなカギになっている時代ですよね。




PS

私の本、「モチベーションが上がるワクワク仕事術」。増刷が決定しました。皆様のおかげです。
これからも応援よろしくお願いいたします。

めざせ!仕事のプロ モチベーションが上がるワクワク仕事術

めざせ!仕事のプロ モチベーションが上がるワクワク仕事術