モチベーションは楽しさ創造から

自分自身のモチベーションアップ、仕事を楽しくする方法から、部下・上司・顧客のモチベーションアップのヒントとなるノウハウ、コラムをまとめたブログです

新人育成担当者が壊れていく事を防ぐ為に考えるべきこと

そろそろ、各企業において新入社員の入社が迫ってきています。

管理職や先輩社員は、これから日頃の仕事に加えて、新人育成というイレギュラーの仕事が発生してきます。タダでさえも日常の仕事に追われているのですから、残業も増え、ストレスも増えてきます。よく、新入社員が入るシーズンになると、ストレスで身体を壊す管理職、先輩社員も最近では増えているそうです。





人は車と違って、買ってきただけ(採用してすぐに)では動かせるケースは少ないものです。

ある程度のレベルの仕事を行っていこうとすると、それを遂行するだけの能力が必要です。営業の仕事であれば、顧客ニーズをヒアリングする能力や商品を分かりやすく説明する力等々。




職場によっても、円滑に業務を行うために必要とされる能力があります。外資系の会社であれば、英語でのコミュニケーションできる能力は不可欠でしょう。(秘書が雇えるだけの業務能力があれば別でしょうが)





多くの新人は、

採用した時点での能力<基準以上の仕事をする為の業務遂行能力+職場で円滑に仕事をしていく為の能力

といった状況であると思います。





能力ギャップ=(基準以上の仕事をする為の能力+職場で円滑に仕事をしていく為の能力)−採用した時点での能力

を埋める事が会社での教育、現場の上司による教育となってきます。大抵の場合、新人には能力のインストール作業が必要になってくるのです。





この「能力ギャップ」が小さい人ほど、管理職や先輩社員にとっては有り難いものです。教育コストが非常に少なくて済む。

教育コストとは、教育する為に外部に研修に行かせるコストやテキスト代等だけでなく、最も大きいのが、現場で教える管理職や先輩の時間というコストです。新人育成や若手育成には、目に見えない時間というコストが非常にかかっています。





たぶん、上司の本音で言うと、何かのテキストを渡しといておけば、それを新人が勝手に自分から勉強してくれる。分からないところがあればそれを自分で発見してくれ、その質問に何度か答えるだけで、あっという間に「基準以上の仕事ができる社員」にまで育っているという事が理想だと思います。





企業としては、教育コストがかからない社員は良い社員です。一番いいのが、「目標達成の為に、自分のどんな能力が不足しており、それに対して自分で自己啓発してくれて能力アップに努めてくれる社員」です。このような社員への教育コストは、壁に当たったときに、フォローしてやるだけでだけでOKです。手間暇がかかりません。ホントはこのような社員は、教育コストがかからない分、高い給料を出してもいいと思うのです。(高い給料を払ってでも、教育コストのかからない人材のみを採っていくというのが外資系企業ではよく見られる人事戦略ですね。)





逆に、低い教育投資効率しか望めない社員もいます。例えば「躾ができていない社員」「自分で能力アップができない社員」などがいると大変です。そのような社員を抱えている企業は、多大な教育コストを支払っていく必要がでてきます。







日本企業の多くの人事戦略は、教育コストを払ってでも、「できる限り、色に染まっていない若者を採用して、我が社の色に染めた人材を育てていく」という戦略を採っている企業が多いモノです。日本の大学では「入社後、教育コストのかからない人材」の育成が教育目的にもなっていない為に、学生の中にそんな人材ははほとんどいないという事が、このような戦略を採用させているのかもしれません。中途採用の市場でさえも、「入社後、教育コストのかからない人材」は少ないのではないでしょうか?





そうなると、上司や先輩社員の苦労が生まれます。「能力ギャップ」を現場の上司、先輩社員が自分の時間を使って埋めていく必要が出てくるのです。

「上司や先輩が自分の貴重な時間を使って(ほぼボランティアのように)自分を育ててくれる事が分かる」ので、新人は恩義や感謝の気持ちを抱くようになり、組織へのロイヤリティを高めてくれるメリットもあります。しかし、最近では、「育てて貰うのが当たり前」と思う新人さんも増えてきているようで、この事も一概には言えないのでしょう。





今のように、育成がボランティア的位置づけなのも如何かとは思うのですが、「能力ギャップ」を埋める為の人材育成とは、どんな人材でも可能なのでしょうか?





特に、仕事ができる迄の「能力ギャップが大きい社員」しか入ってこない中小企業さんにとっては大きな問題です。





先日話をしたある社長さんとこの事について雑談を行いました。社長さんは、「どんな人材でも育てるのは可能だ」と考えられているそうですが、周りの幹部社員は、「育てる事が無理な社員もいる」」と言っているそうなのです。





「どんな人材でも育てる事は可能だ」と私は思います。但し、コストパフォーマンスという問題がそこにはあるという事。企業はビジネスです。「能力ギャップ」をどれだけのコストで埋める事ができるのかという事ですね。





教えるためには、本人にも給料を支払う必要があるし、教える側にも給料を支払う必要がある。一人前の仕事ができる迄、それを払い続ける必要がある。コストに見合うだけのリターンが合う「人材育成」と、「コストに見合わない人材育成」があると思うのです。中途半端な投資しか行われず、「一人前に育つ前で止まっている人材」ばかりで、企業内が溢れてしまうと、その企業はすぐに倒産してしまいます。





企業内教育も子供の子育てと同じです。私にも子供がいるのですが、子育てには、大変なコストがかかります。赤ちゃんのように獣状況から育てていかなければなりませんからね。ここで言うコストとは、学習塾へのコストなどの金銭的コストだけではありません。もっともかかるのが、親の時間、子育てへのパワーという事。





親であれば子供へ無償の愛情がありますから、コスト度外視で、徹底して人材育成を行っていきます。

子供に対しての教育で最も大変な教育が、躾と呼ばれるような「正しい習慣付け」という事です。我が家なども、娘に、「朝起きたら、すぐにおはようございますと言う習慣」を何度口を酸っぱくして言ったか分かりません。たかだか朝の挨拶という習慣づけをするだけでも、物凄い人材育成コストがかかっています。





もし、5歳時のような躾ができていない社員が入社したら、朝の挨拶を習慣化させるだけに「大変なコスト」をかけて人材育成をしなければなりません。担当上司が、自分の子供のようにその社員を思い、徹底して躾を行っていけば、「正しい習慣付け」はできていく事でしょう。





ただし、それができたところで「仕事が出来る」ワケではありません。仕事をする仲間に不快な気持ちをさせる事がなくなったというだけの話です。それに対してコストを支払っていって「採算がとれるのか?」という事です。





能力によって、教育のコストパフォーマンスの合うが見合う能力開発と、そうでないものが存在すると思います。一般的に家庭で行われるような「躾」は、「能力開発に時間とパワーはかかるが、能力開発後の直接利益貢献」は少ないものです。企業内で行っていては投資効率のよい教育ではありません。





みなさんの会社においても、自社の業務遂行を行う上で、職場での円滑な業務を行っていく上で絶対に必要な能力の中で、「教育のコストが多大に必要とされる能力」があると思います。「教育投資不採算能力」ですね。





もちろん、A社では「教育投資不採算能力」ではあるが、B社ではオリジナル教育システムが完備している為に、教育するとすぐにその能力が身に付くといったケースもあるとは思います。だから各社各様、この「教育投資不採算能力」は違ってくると思います。

そこで、

  1. 現在の自分の会社の中で、「教育投資不採算能力」は何か?(自社や自分たちの育成能力から考えて)
  2. それは採用の際に基準となっているか?
  3. また、社内にある「教育投資不採算能力」を一つでも少なくする為に、教育システムの見直しがされているか?(現場だけに任せるのではなく、人事部門等でもカバーしてやる為のシステム)

この3点は、「新人教育過労」で倒れことのないように、新人育成を担当する先輩社員、管理職を守る為の体制として、この3点だけは企業内で整備していくべき事のように思えます。





新人も大事なのですが、彼らを育成する「先輩社員。管理職」に過度の負担をかける事も避けていく事も避けていくべき話だと思うのです。

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