モチベーションは楽しさ創造から

自分自身のモチベーションアップ、仕事を楽しくする方法から、部下・上司・顧客のモチベーションアップのヒントとなるノウハウ、コラムをまとめたブログです

ブルーな気分の時こそチャンス!夢中になれる仕事に再設計

夢中になれる仕事に再設計梅雨のこの季節、毎日の雨で気持ちも憂鬱になってきます。憂鬱になったこの気分もまんざら全てが悪い子とではありません。憂鬱な時はエネルギーが外に発散されることなく、自分の中にため込まれていく状況だと思います。憂鬱な気分を逆にモチベーションアップの要因にして、仕事を見直してみませんか?私にしてもそうですが、人は動かざる得ない状況にならないと動こうとしません。ブルーな気分に陥った時とは、ある意味、動かざる得ない状況だと思います。これをチャンスに「自分の仕事を夢中になって取り組めるモノに再設計」しませんか?そんなエントリーです。


以前、チクセントミハイ博士の「退屈で無意味な生活を楽しさに変えていく」ための心理学をまとめたフロー理論についての概略は「成功しないと、仕事や人生は楽しくないのか?」でご紹介させて頂きました。かいつまんでまとめると、

・夢や目標が実現できなくても、幸福になれる
・幸福は、日々の生活や仕事を楽しめる事から生まれてくる
・だから、目標達成や成功を実現したいと思うのであれば、それを目指すのではなく、いかに日々を楽しく夢中で過ごすことができるかを考えなければならない。夢中で行動した結果が成功なのだ。
・「日々の仕事を楽しめた副産物として、夢や目標の達成=成功」があるという考え方が重要
・その為には、楽しさの心理学を知り、日々に活かさなければならない

今回は、その続き。「じゃぁ、楽しさの心理学」って何なのって事を整理しておきます。
彼は世界中で「夢中で時をたつのを忘れる感じで没頭している状態=フロー状態」を分析しました。(この為に世界中で数万人規模の実験が行われています)結果、いくつかの条件が揃える事ができれば、フロー状態を作り出すことができる事が分かってきました。


そのフロー状態を生み出す条件とは、以下の5つになってきます。(これは、私なりにまとめたものです。本では違う表現になってる部分もあります。詳しい内容が知りたい方はチクセントミハイの「フロー体験 喜びの現象学」をお読みください。)


1. 自己目的的な活動
2. 目標の設定とフィードバックの仕組み(ゲーム化)
3. 自己統制的な感覚
4. 能力の拡大実現
5. 注意の集中

ここでは、ワンポイント解説します。




1.自己目的的な活動

自己目的的活動とは
お金の為、上司の為、会社の為、○○の為という事ではなく、「活動そのものがやりたいから」「活動そのものが楽しいから」「活動そのものへの興味」という理由
で行っている活動の事。


趣味が魚釣りの人は、魚釣りに行ったときに没頭して、イキイキとしています。彼らは金の為に魚釣りをしているのではありません。魚釣りをするという行為が楽しいから行っているのです。自己目的的な活動になっていれば人は楽しむ事ができる、夢中で没頭できるという事。(当たり前っちゃ、当たり前の話ですが・・)


2.目標設定とフィードバック
活動が自己目的的な活動でなくても、楽しむ事はできます。私の携帯電話には、ゲームが標準で入っていますが、暇つぶしに始めたゲームをいつのまにか夢中でやって時が経つのを忘れています。私にとって、ゲームは自己目的的活動ではありません。暇つぶしにしかすぎないゲームにより、フロー状態に入っていたのです。そのゲームの「目標設定とフィードバックの仕組み」が私をフロー状態に誘っていったのです。


みなさん、点数が出ないゲーム、勝ち負けの決まらないスポーツを楽しいと思いますか?
やっぱり「前回より高い点数だそう、相手に勝ちたい」という気持ちが活動を楽しくしていきます。肝心なのが、その目標値。人間の脳にとって、もっとも興味を惹かれる対象は、ある程度は予想がつくが、半ば予想外のことがある状況です。遊びの勝敗が、最初から決まってしまっていてはつまらないですよね。誰が勝つのか、あらかじめ予想がついてしまうのではなく、誰にでも同じくらい勝つ可能性がある、そのようなゲームが脳にとっては一番面白いんです。


目標が高すぎると、「できるかなという不安」が強くなり楽しくなくなります。
また、目標値が低すぎると「簡単すぎて退屈」という気持ちになり楽しくなくなります。


そこで、自分が心地よいと感じる目標設定を行っていく事が仕事を楽しむ為には重要になります。また、目標ができたら、そのフィードバックという「目標と現状の確認作業」も活動を楽しくするには大事になります。ゲームも途中の点数が見えなければ楽しくありませんからね。

フィードバックのポイントは、結果にばかり着目しないこと。「トライした事」や「活動プロセス」に着目して、自分を褒めてやる事が大事になっていきます。(結果は時の運の場合が多いのです。)


3.自己統制的な感覚
他人があなたの活動を管理しており、やらされているという感覚になれば、どんな活動でも楽しくなりません。(例えば魚釣りが趣味の人でも、周りから無理に魚釣りをさせられれば楽しさはなくなります。)
活動そのものが自分で決めた物であり、自分で統制を行っている感覚という事が、楽しく活動を行うには重要になります。強制されている、ムリしてやらされている、管理されているという感覚が生じてくれば、「自己目的的活動」や「よい目標やフィードバックの仕組み」があってもその活動を楽しむ事が難しくなってくるのです。「活動や状況をコントロールしているのは自分なんだ」「選択しているのは自分なんだ」という感覚が楽しさや夢中で取り組める心理を作っていくのです。


4.能力の拡大実現(能力拡大の実感)

自分の足元を見つめ、確かに昨日よりは、今日の方が進歩しているという喜び。これが感じられると楽しくなってきます。小さな幼児の頃から我々には本能としてそれがあるのです。

「少しづつでも能力が高まっているという実感」、活動を通して「昨日よりできるようになったという能力アップしている実感」が楽しさの一つです。毎日、同じような作業の繰り返しでも、その中で生まれるたった一つの能力アップの実感が楽しさを創造していく事になります。得意になる、上達してくると急に楽しくなってくるのです。


例えばランニング。ランニングを楽しんでいる人からこんな能力アップを実感する為の工夫を聞きました。「昨日500メートル走れたら、今日600メートル走って、100メートル長く走れたという能力アップの実感。昨日より1秒早く走れた、連続ランニング記録1日更新等の能力アップの実感。無意識だったけど、そんな能力アップの実感の繰り返しで、ランニングが楽しくなっていったのです。」
着目次第でどんな事にも見つける事は可能です。能力アップの実感も工夫次第という事なのです。


5.注意の集中

楽しさは、活動への没頭により生まれます。何かに集中して、時の経つのも忘れた感覚が楽しさを生むのです。しかし我々の日常には、様々な邪魔が入ってきます。その代表選手が携帯電話。せっかく集中して作業を行っていても邪魔が入れば、その集中は途切れてしまいます。

また注意の集中を妨げる最大の障害は、携帯電話のような外部からの話ではなく、心配事、やり残している事等の内面的な話です。
心配事ややり残している事がたくさんあると、楽しい趣味をやっている時でも、心配事等があなたを支配していき、楽しさがなくなってきます。

あなたの注意力を妨げるものを上手に管理し、注意を集中していく工夫が、仕事を楽しむには必要になるのです。


もちろん、この5条件が全て揃わなければフロー状態に入ることができないワケではありません。この条件が揃えば揃うほど、フロー状態に入りやすくなるという事。

陰鬱な時、あなたの仕事はどうなっていますか?んな時こそ、チャンスです。仕事を抜本的に見直す事ができるのですから・・フロー理論を参考にして頂き、みなさんの仕事を「5条件が入るような仕事」に再設計しなおして頂き、モチベーションアップにつなげていって下さい。また経営者や管理者等のの仕事を設計する方々の役割は、この事は更に重要になります。組織としてどう整備するのかは、職場全員の夢中度に影響してきます。


フロー理論を実際のビジネスや仕事の中でどう活かしていくかは、また別の機会にご紹介していきます。

フロー体験 喜びの現象学 (SEKAISHISO SEMINAR)

フロー体験 喜びの現象学 (SEKAISHISO SEMINAR)